PCゲームで人気だったゲームやゲームジャンルが、コンシューマでも人気になることはしばしばあることですよね。「Minecraft」から発するサンドボックス系ゲームや、ここ数年で一気に人気となったサバイバル系ゲーム、FPSなんかもそういう節が少なからずあるでしょう。最近だと、MOBAをコンシューマに移植しようという動きが活発ですね。今後の展開に期待がかかります。
ですが、そうした広く受け入れられるゲームがたくさんある中、PCゲーム内でのみ強い盛り上がりを見せるジャンルがあります。RTS、リアルタイムストラテジーです。いや、この辺は人によって意見が分かれるところです。コンシューマでもたくさん名作は生まれていますし、コンシューマで盛り上がっていないというのは、ウソになります。ただ、PCゲームではそれはもうたくさんの新作RTSが発売されており、コンシューマとは圧倒的にユーザー数が違うであろうことが想像できます。
多くの方に、熱く盛り上がるRTSの波を体感してもらいたい! ぜひ手にとって遊んでほしい! ……ただ、やはりRTSはルールや操作、戦略に至るまですべてがややこしいジャンルです。なかなかとっつきにくいジャンルです。うーん。なにかとっかかりがあれば違うのかも……。
ということで、皆さんのまだ知らないであろうPCゲームの世界を紹介する「PCゲーム極☆道(きわめみち)」。今回は、ロマンがぎゅぎゅぎゅっと詰まったRTS「Planetary Annihilation: TITANS」を紹介したい。
「Planetary Annihilation: TITANS」はアメリカのワシントンに拠点を置くUber Entertaimentが開発したRTSで、2015年8月に発売されました。本作のコンセプトは惑星間戦争! 星を股にかけた大規模戦争を体験できます。そして、何といってもその大規模戦争に見合うだけの超ド級兵器たちがスゴイ! RTSでは核兵器が最終兵器として登場することがままありますが、本作の核兵器は兵器全体の中の上くらいの立ち位置です。核兵器なんか足元にもおよばない。とてつもない兵器がたくさん登場します。
争いも何もない平和な星。そこにロボットたちが舞い降りる。何もかもを焼き尽くす、戦争の幕が切って落とされたのだ……! プレーヤーは宇宙を漂う、戦うことだけをプログラムされた戦争AIとなり、大義も名誉もない、戦争をするためだけに、戦争を始めることになります。おなじ戦争AIである敵を蹂躙することだけが、ただ一つの目的です。
なので、本作には政治要素はないし、文化勝利といったのもありません。敵軍を制御するボスを破壊することだけが、このゲーム唯一の勝利条件です。
政治要素や操作する陣営毎の特殊ユニットといったものがないため、プレイヤー毎の個性が出づらいです。でも、その分非常に早いゲーム展開となり、どのユニットを建造する工場を建設していくか? というところで戦略の幅が出るようになっています。初心者にも覚えやすい……という風にとることもできますが反面、初心者だと展開についていけない面もあります。ううむ。やっぱりRTSはなかなかどうも、勧めるのが難しい。どうしたって練習が必要かもしれません。
でも、そのモチベーションを保てるだけのロマンがこのゲームには詰まっている! もうね。細かいことを説明するのはあとにして、この作品に登場するヤバい兵器の数々を紹介したほうがいいでしょう。
まず、星を蒸発させる惑星砲「annihilaser」です。もうどっかで見た感じバリバリですが、まさしく見たことあるままの性能を発揮します。
本作のマップは惑星間戦争を実現するため球体、星になっています。この惑星が複数存在する宇宙が対戦のフィールドとなんですね。別々の惑星に分かれてそれぞれの惑星を攻め合うなんてこともできるわけです。
ということはですよ。敵本拠地を惑星ごと破壊してしまえば、勝ちはもらったも同然でしょ?「Anihilaser」はそれを可能にする超兵器というわけです。
しねええええ! 敵は滅びた! すさまじい威力です。敵の本拠地をすべて破壊する兵器はいろんなRTSにありますが、それが存在するフィールドごと消し去る兵器というのは、そうそうありません。
他にも惑星ごと敵を屠る手段はいくつか存在します。このゲームのマップはランダム生成ができて、大きさや惑星の特性などなど、毎回違った星系で遊ぶことができます。まあ当然、自分で細かく設定もできるのですがそれはさておき。星の違いあるならば、当然惑星のサイズも変わってくるわけです。衛星なんかも出てきます。
じゃあ。この小さな星、敵にぶつけてしまいましょう。敵は惑星ごと粉みじんに砕け散ります。必殺の惑星落とし、ハレーユニットです。
小さな惑星に巨大ジェットエンジンを取り付け星をミサイルに変えます。あとは敵の本拠地めがけ、飛ばすだけ。見たかざまあみろ! がっはっはっ!
フィールドもろとも敵を消し去る兵器が多数存在するのがこのゲームの大きな魅力です。ワクワクが止まらないですね!
しかし、こうした最終兵器はなかなか実践では使えません。となれば、もう少し作るのが楽な決戦兵器が必要ですよね? 本作にはロボ、車、飛行機の三種の基本ユニットと、海を行く艦船ユニットと、大気圏外を行く宇宙ユニットの合計4つが存在します。
そして、このうち艦船ユニットを除いたユニットに超巨大兵器「タイタンユニット」が用意されているんです。巨大ロボ! 巨大戦車! 巨大戦闘機! そして殺戮衛星! ああ!ロマンがあふれ出てます! タイタンユニットは当然超強力。ロボのタイタンユニット「アトラス」は一回の攻撃が核攻撃と同等レベルの強い衝撃を放ちます。こいつを送り込むだけで、敵陣地が壊滅するわけです。
うわっはっはっは!宇宙の王とはこの私のことよ! 逆らったことを悔やむがいい!
このタイタンユニットは、実は後から追加された追加要素なんです。本作は前作「Planetary Annihilation」のアップデート版に位置する作品で、前作発売から一年後、突如として発売されました。そのとき追加されたのが、この夢の巨大兵器というわけ。だから、タイトルがTITANSなんです。
前作が開発途中であったのに追加要素付きが単品販売されたという経緯からちょっとばかし騒動になったんですが、さすがに発売から期間が経って落ち着きを取り戻しています。やっぱり巨大兵器はロマンですから、ユーザーの不満に勝る魅力があったということでしょう。
とまあ、そんな感じでロマン兵器ばかり説明してきました。ただ、本作の基本はこうした超強力ユニットを中心に立ち回るのではなく、大量のユニットで勝負するのがメインのRTSです。あくまでロマン兵器はフィニッシャーなんです。
ただ、その数がすごい。RTSにもいろいろジャンルはありますが、こうした政治要素薄めのゲームってヒーローユニットメインのタイプか、ユニットの数で勝負するタイプが多いんですよ。本作もそうした数で勝負するタイプなんです。んで、この数で勝負するタイプっていうのが、基本的に半端ない数のユニットを操るゲームでして……。そりゃあもう、すっごい数なんですよ。10や20は当たり前、100や200をバンバンぶつけあうんです! 本作も当然、大量の兵器で敵を蹂躙します。大量の破壊兵器が押し寄せる……燃えますよね!
勝利条件が敵将の撃破だけではありますが、その撃破方法がいくつも用意されている。どういったプランでいけば、敵を蹂躙せしめるのか。プレーヤーは頭を悩ませることになります。自分の本陣を囮にして、こっそり惑星破壊兵器を作ってしまうなんて戦略もありえない話ではないですからね。非常に楽しい作品です。もちろんシングルモードに加え、オンラインマルチもありますから、みんなで遊ぶもよし、世界のプレーヤーと腕を競うのもよいでしょう。
ただ、やはりRTS慣れしてない人にはこのゲームのペースについていけるのか。不安が多いです。結構コンピュータも強いので、ルールやゲームのいろはを覚えるまで、コンピュータにボッコボコにされるかもしれません。まあ、「Planetary Annihilation: TITANS」になってからチュートリアルも追加されましたし、何とかなるかな……。うーん。わかんないや。ロマン兵器以外はけっこう普通なRTSですから、慣れるのは早いかなという気はします。気がするだけですが。
とにかく、興味をもった方にはぜひ触れてみてほしい作品です。心揺さぶるロマンがこのゲームにはあります。
さて、話は変わって開発であるUber Entertaimentは「Monday Night Combat」シリーズで名前の知れた会社で、長くSteamを利用している人ならピンとくるチームです。ここはけっこうRTSやMOBAといった、PCゲームシーンで盛り上がる作品に以前力を入れていた会社で、前述のシリーズではMOBA要素をいち早く取り入れたり、新作RTSのクラウドファンディングを実施して失敗したりと、PlayStation VR向けにRTS作品を作ったりと、RTSとそれにまつわるジャンルに愛のあるチームなんです。おお! コンシューマでも勝負してんじゃん!
PCゲームで特別盛り上がるRTS。でも、もっともっと多くの人に楽しんでほしい。その思いは開発者も感じているんでしょうね。インディゲームがどんどんコンシューマで展開される昨今、今後RTSを取り巻く環境も変わってくるでしょう。今後の盛り上がりにぜひとも期待したいですね。