ワンワールドとは、世界的な規模の航空連合(航空会社間の連合組織)の1つで、スターアラインアンス、スカイチームと共に世界3大アライアンスに数えられています。
日本の航空会社では、JAL(日本航空)が加盟しており、JALの上級会員になれば、自動的にワンワールドの上級会員になることが可能です。
ワンワールドの上級会員になると、JALの飛行機を利用する場合だけでなく、他の加盟航空会社においても特別なサービスを受けることが出来ます。
私の場合、2017年のJGC修行(JGP修行)によって、ワンワールドの最上級会員である「エメラルドメンバー」になりました。
また、昨年(2016年)はANAのSFC修行・ダイヤ修行で、スターアライアンスの最上級会員「ゴールドメンバー」になることが出来たので、世界3大アライアンスのうち2つで最上級会員に到達したことになります。
以下では、ワンワールドの最上級ステータスである「エメラルド」の魅力について、スターアライアンス「ゴールド」との比較をしながら、私自身の経験を交えて解説していきます。
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ワンワールドのステータスランク
ワンワールドのステータスは、ランクの高い順に「エメラルド」「サファイア」「ルビー」の3つがあります。
このステータスは、基本的にワンワールドに加盟している航空会社の飛行機に乗り続けることでランクアップしていきます。日本在住の方であれば、JALの飛行機を利用して、JALの上級会員と共にワンワールドのステータスを獲得していくのが一般的・効率的でしょう。
私は、今年の4月からJAL修行を始め、台湾・クアラルンプール・沖縄・大阪等々、国内外に飛ぶこと9回(フライト回数22回)。6月下旬に晴れてJGCプレミア(JGP)に到達しました。
JGCプレミアは、 JALの中ではJMBダイヤモンドに次ぐ2番目の上級会員です。
JGCプレミアは、JGCカードの発行が条件となっているものの、ダイヤモンドメンバーとほとんど遜色のない特典を享受できる他、ワンワールドアライアンスの最上級会員「エメラルドメンバー」にもなることができます。
JMBダイヤモンドになるためには年間10万FOPが必要となりますが、JGCプレミアであれば年間8万FOPで到達可能ですから、より安い費用でワンワールドのエメラルドメンバーになることができ、コストパフォーマンス高め。
JAL修行をするのであれば、個人的にはJGCプレミアを目標とするのがオススメです。
ワンワールドのエメラルド特典
それでは、ワンワールドの最上級会員「エメラルド」に到達すると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ワンワールドエメラルドメンバーは、加盟航空会社において、搭乗クラスを問わず、以下の特典が利用可能となります。
- ファーストクラスチェックイン・ビジネスクラスチェックインの利用
- 優先搭乗
- 座席の優先指定または事前予約
- 優先空席待ち(指定が可能な場合)
- 国際線搭乗の場合、プレミアム・ファーストクラス、ビジネスクラス、フリークエント・フライヤー・ラウンジを含む600以上の空港ラウンジが利用可能(同行者1名まで)。
- 手荷物許容量の優待(個数制の場合、通常の手荷物許容数に加えてさらに1点無料。重量制の場合は、 さらに20kg(44lbs)まで無料となる(British Airwaysの「機内持ち込み手荷物のみ」運賃では利用不可)。
- 手荷物の優先返却
- 一部空港におけるセキュリティでの優先ライン利用
最上級会員だけあって、かなり充実した特典となっていますね。
ちなみに、ルビー、サファイア、エメラルドの特典を比較すると、下記のような違いがあります。
| ワンワールドのステータス特典 | ルビー |
サファイア |
エメラルド |
| ビジネスクラスチェックインのご利用 | |||
| お座席の優先指定または事前予約のご利用* | |||
| 優先空席待ち* | |||
| ビジネスクラス専用ラウンジのご利用 | |||
| 優先搭乗 | |||
| 手荷物許容量のご優待 | |||
| 手荷物の優先的なお取り扱い** | |||
| セキュリティ・レーンでの優先ライン | |||
| ファーストクラスチェックインのご利用 | |||
| ファーストクラスラウンジのご利用 |
※ワンワールド公式HPより抜粋
スターアライアンスゴールドメンバーとの比較
一方、ANA(全日本航空)が加盟する航空連合スターアライアンスでは、「スターアライアンスゴールド」というステータスが最上級とされています。
ワンワールドの「エメラルド」とスターアライアンスの「ゴールド」は、いずれも各アライアンスの最上級会員というステータスであるため、特典内容もかなり似ているのですが、その条件には大きな違いがあります。
分かりやすいように、ANAとJAL各社のステータスを、アライアンスステータスに当てはめてみましょう。各ステータスの到達条件(「プレミアムポイント」=PP、「フライオンポイント」=FOP)が揃うように表にしてみました。
| スターアライアンス | ワンワールド | ||||
| ゴールド | ANAダイヤモンド | 10万PP | エメラルド | JMBダイヤモンド | 10万FOP |
| − | − | JGCプレミア(JGP) | 8万FOP※ | ||
| ANAプラチナ | 5万PP | サファイア | JMBサファイア | 5万FOP | |
| SFC | 5万PP※ | JGC | 5万FOP※ | ||
| シルバー | ANAブロンズ | 3万PP | ルビー | JMBクリスタル | 3万FOP |
※SFCはスーパーフライヤーズカードの発行が必須、JGCプレミア、JGCはJALグローバルクラブカードの発行が必須。
まず、決定的な違いは、ステータスランクの数。スターアライアンスの会員ランクは「ゴールド」と「シルバー」の2段階であるのに対して、ワンワールドの会員ランクは、「エメラルド」、「サファイア」、「ルビー」の3段階となっています。
ワンワールドの会員ランクの方が、より細分化されているということですね。
また、ステータスランクの数が異なることで、スターアライアンスとANA、ワンワールドとJALのステータスの対応関係にも違いが出てきます。
例えば、スターアライアンスであれば、ANAダイヤモンド、ANAプラチナ、SFC(スーパーフライヤーズカード会員)のいずれも最上級会員「ゴールドメンバー」になることができますが、ワンワールドは、JMBダイヤモンド、JGCプラチナしか、最上級会員「エメラルドメンバー」になることができません。
ANAプラチナやSFCに相当するJMBサファイアやJGCは、ワンワールドでは2番目に高いサファイアステータスとなります。
スターアライアンスの方がお得?
上記の比較結果だけを見ると、スターアライアンスであれば、年間5万PP獲得が条件となっているANAプラチナやSFCでも、最上級会員の「スターアライアンスゴールド」になることができます。
一方で、ワンワールドは、年間5万FOP獲得が条件となっているJMBサファイアやJGCでは、最上級会員の「ワンワールドエメラルド」になることはできません。
・JALで5万FOP獲得→ワンワールド最上級会員にはなれない×
つまり、アライアンスの最上級会員へのなりやすさを考えると、スターアライアンスの方が簡単です。
しかし、スターアライアンスゴールドとワンワールドエメラルドには、その特典内容に違いがあります。このため、単純にスターアライアンスの方がお得とは言えません。
ファーストクラスラウンジが使えます!
スターアライアンスゴールドにはない、ワンワールドエメラルドの特典は、「ファーストクラスチェックイン」が利用可能な点と、「プレミアム・ファーストクラスラウンジ(一部対象外施設あり)」が利用可能な点です。
これらの特典は、基本的に国際線ファーストクラス搭乗客を対象としているサービスですが、ワンワールドのエメラルド会員であれば、例えばエコノミークラスに搭乗するような場合でも利用することができます。
特に、航空会社のファーストクラスラウンジは、ラグジュアリーな空間で美味しい食事やアルコールを無料で頂くことができ、かなり満足度の高いサービスです。
一方、スターアライアンスでは、海外の空港でラウンジを使う際、最上級のゴールドメンバーであったとしても、原則としてファーストクラス用ラウンジを利用することは出来ません。
スターアライアンスでは、ほとんどの航空会社で、ビジネスクラス搭乗客向けのラウンジまでしか解放していないのです(例外:ルフトハンザドイツ航空セネターラウンジ)。
・スターアライアンスゴールド⇒ファーストクラスラウンジが使えない×
スターアライアンスの場合、ANA上級会員がANA直営ラウンジを使う分には、ダイヤモンドメンバーがスイートラウンジ、プラチナ・SFCがANAラウンジと棲み分けられるのですが、加盟他社のラウンジを使う際には、上記ランクの会員はすべて同格のスターアライアンスゴールドとして扱われ、差別化されません。
スターアライアンス加盟の航空会社のファーストクラスラウンジを利用したい場合は、原則としてファーストクラスに乗る他ないということになります。
自社便のファーストクラス利用者でないと入室できないと規定している場合もあります。
例:フランクフルト・ミュンヘン空港ルフトハンザドイツ航空HON(ファーストクラスラウンジ)、チューリッヒ・ジュネーブ空港スイスインターナショナル エアラインズHON(ファーストクラスラウンジ)、ウィーン空港オーストリア航空HON(ファーストクラスラウンジ)、バンコク空港タイ国際航空スパラウンジ
※ワンワールドにも同様の規定あり
スターアライアンスゴールドのメリットは?
上記と逆に、スターアライアンスのメリットはというと、毎年飛び続けずともスターアライアンス最上級ステータス「ゴールド」を維持できるという点です。
というのも、JMBダイヤモンドやJGCプレミアに到達することで、ワンワールドエメラルドステータスを取得した場合、一年限りのステータスとなるため、継続させるためには毎年それなりに飛行機を利用し続ける必要があります(最低でも毎年8万FOPを稼ぎ続けなければいけません)。
一方スターアライアンスの場合、ANA SFCを取ってしまえば、カードの年会費を支払うことで、半永久的にスターアライアンスゴールドステータスを持ち続けることが出来るのです。
・スターアライアンスゴールド⇒毎年飛行機に乗り続けなくても維持できる○
その他、スターアライアンスゴールドは、ワンワールドサファイアに比べて手荷物許容量が5kgまたは1個増えます。
また、スターアライアンスメンバーの方が加盟社数、就航都市数が多いため、自然ラウンジの数も異なります。ワンワールド600ヶ所に対し、スターアライアンスはなんと1,000ヶ所以上。
スターアライアンスゴールドの方が、より広範囲でステータスを活かすチャンスがあるというわけですね。
まとめ
あくまで個人的見解ですが、ワンワールドとスターアライアンスの最上級ステータスについて比較してみた結果、
・ワンワールドエメラルドの魅力は、何と言っても加盟他社ファーストクラスラウンジを利用できること。
・スターアライアンスゴールドのメリットは、年会費を支払えば維持できることと、手荷物許容量や利用可能ラウンジ数が多いこと。
…というお話でした。
どちらのステータスの方が取りやすいかというと、運やタイミングもありますので一概には言えませんが、やはり獲得PPが少なく、比較的貯めやすいANAマイルを使って無料で到達可能なスターアライアンスゴールドの方が容易なのではないでしょうか。
スターアライアンスは欧米路線が充実しているため、ヨーロッパ好きな我が家にはとても重宝しています。
ワンワールドはまだそれほど活用の機会に恵まれていませんが、いずれ近いうちに、キャセイパシフィック航空の香港ファーストクラスラウンジ「ザ・ウィング」など、評判の珠玉ラウンジを訪問してみたいものですね。
とても質の高いサービスを提供しているとのことなので、今から実現する日が楽しみです。