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マンガはなぜ子どもたちに読まれなくなったのか?(1,976字)
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マンガはなぜ子どもたちに読まれなくなったのか?(1,976字)

2017-11-17 06:00
  • 37
来週の火曜日に、新宿のロフトプラスワンで行われる、こちらのイベントに登壇します。

2017年のマンガの語り方 ~兎来栄寿が迫る、みなもと太郎はHUNTER×HUNTERをどう読むか?〜

ところでみなさん、本の売上げって全盛期の半分くらいになったのをご存知ですか? ピークは1996年だったのですが、そこから20年かけて半分になりました。2兆6千億が、1兆3千億になったくらいの規模感です。

そういう状況ですから、出版社の経営はなかなか厳しい。しかしそれ以上に、本屋さんの方が大変でしょう。本屋さんの数も今は最盛期の半分になってしまいました。そのため、人が本と出会える場所はますます少なくなり、今後のさらなる規模縮小が予測されています。

本が売れなくなった一番の理由は、やはりインターネットの登場でしょう。インターネットが特に「情報の流通」を担うようになったおかげで、それまで「情報の流通」を担っていた雑誌は全く売れなくなりました。前年比はここ15年くらい続けてマイナスですが、今年の落ち込みは特にひどくて、前年比でマイナス15%くらいです。

では、「情報の流通」ではない「エンターテインメント」はどうなのか?
これもやっぱり、売上が大きく下がっています。中でも、マンガが子どもたちに読まれなくなったといいます。子ども自体も少なくなっているのですが、それ以上に子どもたちがマンガを読まない割合が増えた。これは、にわかには信じがたいことなのですが、しかし本当らしいのです。

今は、大学にマンガ学科というのがあって、それはだいたい15年くらい前にできました。そこにお勤めの方から面白い話を聞いたのですが、15年前のできたばかりの頃には、先生が生徒に「マンガばっかり読んでちゃダメだよ。視野が狭くなるんで、小説とか映画とか、あるいはリアルな恋愛とか、さまざまなことに取り組みなさい」と説諭していたそうです。

しかし今は、こう言っているのだそう。
「きみたちマンガ学科の学生なんだから、少しくらいマンガを読んだらどうだい?」
それくらい、今の子どもたちはマンガを読まないらしいのです。

なぜなのか?
最も大きいのは、「他にすることができた」からでしょう。マンガを読むよりしたいことができたのです。それは、アニメ観覧だったり、ゲームプレーだったり、あるいは友だちとラインでおしゃべりだったりします。

いずれにしろ、マンガがそれほど子どもたちを夢中にできなくなったのは確かです。アニメやゲームやおしゃべりの魅力に抗えないから、そういう事態が引き起こされる。
誤解を恐れずにいえば、マンガは面白さでそれらのものに勝てなくなった。それはなぜなのか?

40年前は、マンガが子どもたちを夢中にしていた時代が確かにありました。その時代は、ゲームはありませんでしたがアニメはありました。カラーテレビはありましたがビデオがなかった。もちろんスマホやパソコンもありません。

その時代に、子どもたちは砂に水が染み込むようにマンガを読んでいました。特に際立っていたのが「少年チャンピオン」です。『ドカベン』がその筆頭ですが、『ブラック・ジャック』や『ガキでか』『マカロニほうれん荘』など、歴史的名作が目白押しだった。

ぼくをはじめとして多くの子どもたちは、文字通り夢中になってそれらを読んでいました。誰かが声をかけても返事ができないくらい、マンガに魅入られていたのです。

そういう奇跡のような活況が、40年前にありました。
こういうと、「そういう面白いマンガは今でもあるよ」という声も聞こえてきそうです。確かに、あの頃と同等か、もしかしたらそれ以上に面白いマンガもあるでしょう。

しかしながら、あの頃の「熱狂」が失われたのは確かです。以前は、誰か特定の人というよりは、ほとんどの子どもがそんなふうにマンガに対する熱狂の渦の中にありました。またその矛先も、特定の作品というよりは、ジャンルそのものに向かっていた。

ぼくは、そのことの理由が知りたい。そしてできうるならば、その熱狂をもう一度取り戻したい。子どもたちが夢中になることの秘密を知って、それを現代において再現したいと考えているのです。

その、「子どもたちが熱狂していたマンガ」というものの構造を解き明かそうとしたのが、今回のイベントです。思えば、ぼくの人生の中でも最も熱狂したのが40年前のマンガです。とにかく、マンガに対する飢えと乾きがひどくて、一日4、5時間は必ずマンガを読んでいました。

しかし今は、ほとんど読みません。読んでも、あの頃のような熱狂は味わえない。
それはなぜか?
あの熱狂の正体は何だったのか?
そしてそれは、再び取り戻すことができるのか?

そういったことを、このイベントでは漫画家のみなもと太郎さんと、マンガ評論家の兎来栄寿さんとともに、じっくり掘り下げていきたいと考えています。
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他27件のコメントを表示
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漫画全体の売り上げ推移って別に落ちてないよね?電子も含めるとむしろ増えてたはず。
単にメジャー誌がニーズの多様化に対応できてないだけじゃないの?
それと漫画自体の対象年齢が上がっているのは感じる。
3時間前
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漫画の内容で読む読まないの選別もあるが、他にもさほど調べていないが、赤ちゃんの出生数がほぼ半減していないか?
総務省統計局の人口ピラミッドで見ても半分は切っていなさそうだが、そのくらい減っているように見えたが・・・
子供の区分が不明で大雑把な感覚だが、同じ人口ピラミッドの図で15~30年ほど前に子供だった年齢層の25~50歳程の範囲で、20年分の世代の人口を見るとなあ
内容と人口減の両方の影響があるのに条件が良かった頃のデータと比較したら、大体相応に悪い程度の範囲なら自然だと感じる
2時間前
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>>27
個人的に「絵を用いたメディアを作りたきゃ本(小説と資料)を読め」、
そして「いいネタ(脚本)を書きたきゃ(物理的にも対人的にも)外に出ろ」
が面白いアイデア集めの極意だと思ってる
2時間前
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100%海賊版のせいなんだよなあ。
なんだよネタバレサイトって・・・漫画をzipで完全に丸上げしてあるじゃねえか。
こんなのあるなら金の無い学生は漫画を買うわけがねえよな。
2時間前
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読んでるんじゃない?漫画村とかで。そうじゃなくても漫画喫茶あるし。コレクション目的でしか漫画なんて買わないでしょーっていうコンテンツになってるね。
2時間前
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どう考えても今の子供も親も一昔前より貧しいでしょ。
毎週ジャンプ買う余裕なんてないと思う。
1時間前
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漫画喫茶、電子書籍・・・ゴミの分別面倒・・・家に置くスペースが無駄・・・大きい部屋の家が買えない・・・経済問題・・・という可能性が微レ存!?
1時間前
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時代錯誤だと思われているのだよ
58分前
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でも某掲示板とかで1ページだけ漫画貼って「続きは?」って気になったりいい加減な事言い合って喧嘩したり
っていうくっだらないベクトルでの漫画への熱狂は今の方が良く見る気がする
29分前
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電子書籍ってすっごい便利やで?いつまで紙をわざわざ買ってんの?とか漫画マニアに言ったら滅茶苦茶アナログの良さについて語られた、訴訟
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