おもちゃと呼ぶには本気過ぎた任天堂「ウルトラスコープ」

おもちゃと呼ぶには本気過ぎた任天堂「ウルトラスコープ」

おもちゃと呼ぶには本気過ぎた任天堂「ウルトラスコープ」の画像

11月21日は、任天堂が過去に年末商戦向けの大型タイトルを多数発売したことから、いつしか一部のファンのあいだで『任天堂の日』と呼ばれています。


世界的ゲーム会社となった任天堂ですが、わたしのような1970年代に少年期を過ごした人間には、他社では絶対に企画・製造しないような『ウルトラマシン』『光線銃SP』など、ユニークな玩具をたくさん発売していた会社という印象が強いですね。


大仕掛けなそれらは生産コストが高く、もし売れなかったらイッパツで経営が傾きかねません。さすがは“花札”から出発した会社だけあって博打がうまい。


なかでも異彩を放っていたのが1971年に発売された『ウルトラスコープ』です。



鏡を組み合わせることで光を屈折させ、高い塀の向こう側など見えない所が見えるようになる、潜望鏡を模した玩具です。



しかし、果たしてこれを「おもちゃ」と言っていいものか…。そのままスパイ映画に出てきてもおかしくない、ガチな“秘密道具”なんですよ、これが。



金属部品が多く、持つとズシリとした手応え。持ち運びがしやすいよう、ちゃんと持ち手もついています。あくまでも道具としての扱いなんですね。この辺の配慮がニクイ。



まず、潜水艦の潜望鏡のようなデザインのスコープ部を手前に引き出します。このひと手間が気分を高めるんです。そして、左右についたふたつの赤いボタンで連結したパイプを自在に伸縮させて、鏡を上下に操ります。


特筆すべきはモーター駆動で鏡が上下するところでしょう。普通の玩具メーカーなら、コストや生産性を考慮して、ここは手動で伸び縮みする仕様にするはず。



でも、ボタンを押すだけでパイプが「ウィ~ン」と音をたてて伸びていくところが、本物の秘密ギアっぽくてたまらないんです。


巻き尺のようなスチール製の細いテープをモーターで押し出したり、巻き取ったりすることで、およそ70センチも伸びる機構をコンパクトなボディーに破綻なく組み込んでいます。


発売から46年たったいまでも完全に作動するのですから、その堅牢さ、設計は完璧だと言えるでしょう。


いや~、いま55歳を過ぎたおっさんがいじっているだけでシビれます。それは子供騙し的な要素が微塵もないからにほかなりません。


2980円という高価格だったため、売り上げはイマイチだったようですが、当時、これを買ってもらった幸運な子供は、自分がスパイ映画の主人公になった気分を存分に味わったことでしょう。


『ウルトラスコープ』から感じられる、採算を度外視し、既製品にはないトンガったものを作ろう、というトライ精神。それこそがのちの『ゲームウォッチ』、『ファミコン』、そして数々の名作ゲームの誕生につながったのだとわたしは思います。


(写真・文/おおこしたかのぶ)


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