[ ICT ]
(2017/11/16 05:00)
大手IT各社は、仮想化技術を用いた「ドッカー」と呼ばれる、軽量で移行性に優れたコンテナ式アプリケーション(応用ソフト)実行基盤の普及拡大に乗り出す。日本IBMは自社クラウドに依存せず、オンプレミス(自前運用)でも使えるコンテナ式の実行環境「IBMクラウドプライベート」の提供を始めた。NECはドッカーの利便性を生かし、人工知能(AI)の利活用を促進するサービスを立ち上げた。ITの新潮流であるコンテナ型の仮想化技術が日本でもいよいよ本番稼働に入る。
ドッカーはアプリやミドルウエアなどを抽象化して、コンテナ方式でコンパクトにまとめ上げる技術。大がかりなシステムが不要な上、場所を問わずに多様なクラウドやオンプレミスなどを実行できる。
この技術はオープンソースとして複数提供されているが、中でもドッカーは米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や米マイクロソフト(MS)がクラウドサービスに採用し、ここ数年で急速に利用が広がっている。
日本IBMやNECもドッカーをベースに新展開を図る。日本IBMはこれまでクラウド向けアプリの開発・実行環境では「クラウドファンドリー」と呼ぶコンテナ方式を採用していたが、新たにドッカーにも対応した。
これを機に、クラウドサービスの“先兵”としてきたアプリ開発・実行環境を拡充し、オンプレミス展開にも力を注ぐ方針。これにより、データを社外に持ち出したくないユーザーの要望に応える。併せて「ウェブスフィア」などの既存ミドルウエア群もドッカーに対応させ、AWSやMSからの攻勢を巻き返す。
NECが提供するAI活用プラットフォームサービスは独自AIの「異種混合学習」に加え、業界標準のオープンソースソフト群を搭載し、多様な分析手法を試しながら最適な分析モデルを作れる。ドッカーの採用により、複数ユーザーが一つの環境を共有できる。ドッカーと分析ソフトを組み合わせたサービスはNECが初めて。
外資勢では日本ヒューレット・パッカードやPivotalジャパン(東京都港区)もいち早くドッカーに対応。ユーザーが任意のインフラに移植できる分散型アプリを短期間で作成できる。
(2017/11/16 05:00)
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