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音楽使用料 今度は映画業界衝撃 定額制→「興行収入」案

洋画の音楽使用料の流れ
国内での洋画興行収入トップ5
洋画の音楽使用料について記者会見するJASRACの浅石道夫理事長(右から3人目)といではく会長(同2人目)=東京都新宿区で11月8日、木村光則撮影

JASRAC 「タイタニック」なら18万円が5億円超に

 JASRAC(日本音楽著作権協会)が、来春から洋画に使われている音楽の使用料について徴収方法を改める方針を示したことが、波紋を広げている。現在は上映時に「1本18万円」の定額制だが、将来的には興行収入(興収)の1~2%にする意向で、事実上の大幅値上げ。興収の2%になれば、「タイタニック」(国内興収262億円)だと音楽使用料が約5億2400万円にもなる。映画館や配給会社の負担が大きく、入場料の値上げにつながる恐れもある。

 「小さな配給元が興収の2%を徴収されればやっていけない。結果的に大資本が配給するハリウッドやディズニーの洋画しか上映されなくなる。音楽使用料の負担を入場料に転嫁する動きが出るかもしれない」。ある配給会社の経営者は不安を漏らす。

 日本で放送やカラオケ、店のBGMとして使われている楽曲の約98%は、JASRACが使用料の徴収を著作権者から任されており、徴収方法は使用者との協議の上でJASRACが決めている。映画音楽の使用料は、配給会社から全国の映画館などで構成する「全国興行生活衛生同業組合連合会」(全興連)を経て、JASRACに渡り、著作権者に分配されている。

 日本では一律18万円の洋画の音楽使用料も、欧州各国では興収の1~6%。例えばフランスは興収の2%で、2014年の徴収総額は約22億7300万円。日本だと同年は約1億6600万円だが、もし2%を徴収されると、洋画だけでも約17億2600万円に達することになり、業界全体が被る負担は増大する。

 国内では洋画の興収が年々、目減りしており、10年の約1025億円から、昨年は約869億円まで落ちている。音楽使用料の負担が増大すれば、規模を問わず配給側の打撃は大きい。

 一方、邦画はJASRACが定めた音楽使用料に公開時のスクリーン数を掛けて徴収するが、公開後の館数の拡大やロングランは反映されず、JASRACは邦画についても将来的な見直しを示唆している。

 今回の方針変更の背景を、浅石道夫理事長は「海外の著作権者から是正を求める多くの意見を受けており、直接、権利行使されるような事態を恐れている」と語る。

 しかし、こうした方針は配給会社や映画館の経営に打撃を与えかねない。映画専門誌「キネマ旬報」元編集長の掛尾良夫城西国際大教授は「大ヒット作の陰にヒットしない作品が何十本もある。興収に応じた使用料の負担は大きい。映画業界がJASRACと話し合い、値上げ幅を抑えてもらうしかない」と語る。

 音楽の著作権問題に詳しい中谷寛也弁護士は「音楽を使う側は権利者が提示した条件を受けて判断するほかない。定額制よりも興収に応じた使用料のほうが合理的なのは事実」と指摘する。

 全興連は「弁護士と対応を協議しており、コメントできない」としているが、関係者によると、JASRACに対し、上映館数に応じた使用料の支払い方法などを提示し、値上げ幅の抑制を求めている模様だ。【木村光則】

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