絶好調だったサンマルクが急失速した理由

4期連続で最高純益を更新してきたが…

既存店の苦戦が続くサンマルクホールディングス。新規出店も思うように進んでいない(編集部撮影)

拡大路線をひた走ってきたサンマルクホールディングス(HD)に“異変”が起きている。

 同社はカフェ「サンマルクカフェ」やベーカリーレストラン「サンマルク」を柱に事業を展開し、前2017年3月期まで4期連続で最高純益を更新するなど好調な業績を維持してきた。

ところが、11月14日、今2018年3月期の通期業績計画を下方修正した。期初時点では売上高718億円(前期比6.4%増)、純利益47億円(同6.0%増)と、過去最高純益を達成する計画だった。

人手不足で接客ができない店舗も

今回の修正計画では売上高692億円(同2.5%増)と増収を維持するものの、純利益が36億円(同16.9%減)と、一転して大幅減益の見通しとなった。15日に行われた決算説明会の席上で、サンマルクHDの綱嶋耕二専務は「急な好転は望めない」とうなだれた。

チョコレート入りのクロワッサン「チョコクロ」が若い男女に支持されるなど、固定ファンの多いサンマルクHDの業績にブレーキがかかった理由はいくつかある。

 1つ目は既存店の苦戦だ。当初は通期で前期並みと見込んでいた既存店売り上げが、今回の修正で前期比2.5%減の見通しとなった。

上期(2017年4~9月期)の立地別の状況を見ると、駅ビル内店舗などは前期比1~2%減で推移。ショッピングセンター内店舗は5~6%減、郊外型店舗も5%減と落ち込んだ。綱嶋専務は「顧客の節約志向の流れが続いている」と、個人消費が本格回復に至っていないことが既存店不調の要因だと説明する。

外食業界全体の人手不足を受け、十分な人材を集めることができなかったことも痛い。一部店舗では、満足いく接客ができずに来店客が帰ってしまうケースも散見された。

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  • NO NAME525819b54678
    「人手は不足している。しかして給料は?」
    バイト頼みの接客業。人手不足とはいえ、正規雇用で賄う訳では無いだろう。
    世の中、まともに食えない労働と人を育てない現場ががあまりにも増え過ぎた。
    さもありなん。
    up134
    down5
    2017/11/19 05:41
  • NO NAME13a0b18acd2d
    サンマルクって昔は生ピアノ演奏入れたりして結構プチ高級感あるレストランで人気が出たらどんどんチェーン展開して料理の素材も質も量産化されてどんどん安っぽくなり美味しくなくなった。
    不景気だからファストファッションにファストフードも流行ったけど もうそろそろそんな時代でもなくなってきたんじゃないのかな?
    今お金を使える世代は高品質で安全で誠意や愛情の感じられる物を求めているのです。
    そこを解らず人件費だのばかりに目をやってたら結局このまま下がっていくばかりだと思いますよ。
    up79
    down2
    2017/11/19 06:55
  • NO NAME96ed1d81a13f
    昔の人は屏風と商売は拡げすぎると倒れると言いました。出店攻勢に頼る経営は危うさをはらんでいます。
    up63
    down1
    2017/11/19 06:20
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