外国人が萌える「ニッポン」はどこにあるのか

ゴールデンルートがすべてじゃない

「ゴールデンルート」では体験できない日本とは(写真:毛のない羊/PIXTA)

もっとも、「訪日外国人バブル」に沸いているのは一部都市だけなのも事実だ。旅行口コミサイトのトリップアドバイザーがまとめた、外国人観光客が訪れた日本の場所トップ30(2017年版)では、トップが京都の7カ所(トップ10内に3カ所)で、2位は東京の5カ所(トップ10内には2カ所)だった。そのほか、トップ30内にランクインしたのも、東京あるいは京都・大阪近郊の地域だった。

ゴールデンルートだけでいいのか

国土交通省のデータも、同様の結果を示している。2014年後半に集計された、ツイッター上の日本を訪れた観光客によるツイートのキーワードの統計では、「東京」「京都」「渋谷」「大阪」が上位を占めており、「交差点」(渋谷スクランブル交差点)、「メイドカフェ」(秋葉原)、「御苑」(新宿御苑)、「ヨドバシ」と、関東および関西の主要な街の中心部に関係したものも目立っていた。

より広い範囲のソーシャルメディアをカバーする、2015年の同様の国交省のデータでは、新宿、ミナミ、浅草、上野公園、道頓堀、渋谷といった地域が人気で、ほかには広島、富士山、沖縄などの有名観光地に関するツイートも少なくなかった。より最近の国交省による外国人観光客の滞在場所に関する報道発表でも、東京や大阪などに観光客が偏っていることが見て取れる。

が、ここで問いたいのは、外国人観光客はこうした場所を訪れていればいいのか、ということだ。東京に始まり、箱根、富士山、京都、奈良などの場所に立ち寄って、大阪の関西国際空港から旅立つ、いわゆる「ゴールデンルート」は、確かに回りやすいルートではある。

しかし、これが「ゴールデン」なのかどうかは、議論の余地がないだろうか。誤解を恐れずに言えば、特に北米や欧州からの観光客から人気のある京都や広島などは、本当に訪れる価値のあるところなのだろうか。

答えはイエスでありノーでもある。イエスなのは、これらの場所が興味深い現地の文化と、日本の有名な見どころを日本初心者に提供してくれるすばらしい場所だからだ。

次ページ外国人に行ってもらいたい地方
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

  • NO NAME19cd3819093d
    地方は外国人観光客がいない、ありのままの日本だからこそ良いのだと思います。
    ありのままのヨーロッパを見たくて、フランスやスペインの無名な田舎に行ったのに観光客だらけじゃあ、私だったら萎えます……
    地方は、日本人の日本を見たい通な観光客だけ来ればいいし、どこもかしこも観光客だと外国人にしても好ましくないのでは…?
    up20
    down5
    2017/11/18 07:10
  • NO NAME246b6433651c
    山陰もそうですが、観光誘致は自治体がかなり頑張っていますよ。ひと昔のように見るに堪えない英語のパンフレットばかりではないです。各地の英語のウェブサイトを見てみると、想像よりはるかにまともなものが多いと思います。
    観光誘致の最大の障害は貧弱な宿泊施設にあると思います。外国人ではなく日本人が喜べば良いではないかという意見が必ず出ますが、日本人の感覚でも良い宿泊先がごく限られます。東横インなどの格安ビジネスホテルしか駅前にないというのが、地方都市の典型的な光景になっています。
    需要がないからと言ってしまえばそこまでですが、これ以上の発展もないとも言える状況です。
    up13
    down1
    2017/11/18 09:45
  • NO NAMEb3800e2b1183
    文中にもチラッと触れられてるけど観光に成功しているところって、
    結局わかりやすい大都市が定番化してる国なんだよね。

    そもそも、
    すでに観光地化されてた白川郷だって既に混乱が始まっており、
    国内の大観光地であった富士山なんて目も当てられない状況なわけで、
    先進国の観光立国は都市観光を基本にしない限り無理でしょ。
    GDP世界3位の日本経済がそれじゃなくて達成できる訳は無いよ。

    観光立国に関してはトリクルダウン以外ありえんと思う。
    up9
    down2
    2017/11/18 07:44
  • すべてのコメントを読む
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
いま買える株・投資

26年ぶりに日経平均2万3000円超え。歴史的大相場の始まりか?チャンスとリスクを点検する。見逃せない株価材料&銘柄、割安株ランキング、好成績の投信を掲載。緊急投資ガイド。