ほとんどの人は、ロードバイクをサイクリング、ロングライド、レースなどに使っていると思います。なぜロードバイクが街乗りに向かないのか、その理由は?
★ 一般的な街乗の想定です。
・歩道走行もある。
・駐輪する(駐輪場もしくはお店の外など)
・どちらかというと低速走行
こんなところでしょうか・・・。
まさか歩道でトップスピードで走るとも思えませんが、低速というのはせいぜい25キロ程度までという意味です。※そもそも歩道を自転車が走ることは、違法性があります。
★ロードバイクが街乗りに向かない理由
①タイヤが細いから
ロードバイクは23c(23mm)もしくは25c(25mm)のタイヤが主流です。これ以上太いタイヤは、物理的に入らないフレームがほとんど。タイヤが細いということは、タイヤ内に入る空気量がママチャリなどと比べたら少ないということです。自転車の衝撃吸収のほとんどはタイヤですが、細いタイヤは衝撃吸収力が少ないということが大前提です。
歩道も走るということですが、歩道には様々な段差があります。ママチャリのときは、段差のたびに減速して・・・なんて考えてもいなかったと思いますが、細いタイヤのロードバイクは段差のたびにかなり減速してお尻を浮かせて通過しないと、リム打ちパンクを起こします。リム打ちパンクというのは、タイヤ内にあるチューブがホイールに打ちつけられて起こるパンクです。そもそも衝撃吸収力に乏しいロードバイクで歩道の段差を通るのは、かなりガタガタして不快に感じる人がほとんどでしょう。
さらに言うと、駐輪場にある前輪固定式のスタンドがあると思います。あれはママチャリの太いタイヤを基準に作られているため、あそこにロードバイクの前輪を乗せると大きく横に倒れるような形で自立します。みれば分かりますが、前輪のスポークにものすごい力がかかっているような形になるため、ホイールの寿命は早まってしまうでしょう。そして隣の自転車ともぶつかり、壊れやすくなると考えます。
②スタンドは付けられない
ロードバイクは駐輪するための設計ではなく、軽量性と走りを重視しているため、スタンドを付けるような強度は全く考慮せずに設計されています。そのためフレームに付けるようなスタンドは、フレームを壊す可能性があるため絶対に避けるべきです。
クイックに付けることでフレームに負荷をかけないスタンドもありますが、そもそもロードバイクはママチャリの半分程度の重量しかないため、スタンドで自立させようとしてもちょっと風が吹けば倒れてしまいます。
③ロードバイクは低速走行に向かない
自転車の基本ですが、3点支持といってペダル、サドル、ハンドルに体重を預けています。ロードバイクのサドルは硬いですが、なぜ硬いかというとペダリングのしやすさを追求しているわけです。で、硬いサドルでなぜお尻が痛くならないかというと、一つはロードに乗る人のほとんどは、パッド入りのパンツを履いているからということです。
さらにですが、スピードを上げようとするにはペダルに体重をかけるわけですが、ペダルに体重をかけるとその分、サドルにかかる圧が減るのです。なのでロードバイクの場合、サドルは「座っている」というよりも「お尻を安定させている」程度の圧しかかからないわけです。
ロードバイクを低速で乗るとどうなるかというと、ペダルにかかる圧が減る分はサドルに圧がかかりますので、お尻が痛いです。また街乗りのたびにパッド入りパンツを履くという人もいないでしょうから、早い段階でお尻は痛くなるでしょう。
あと、ロードバイクのフレームは、ママチャリよりもホイールベースがかなり短いのです。ホイールベースというのは、前輪と後輪の距離です。ここが長いと低速安定性や直進安定性が良くなり、短いとその逆で低速でフラフラします。そのため、ホイールベースが短いロードバイクを低速で乗ると、ものすごくふらつきます。スピードを出してなんぼの乗り物ということです。スピードを出したときに安定します。
④フレーム自体の脆弱性
ママチャリと比べて、ロードバイクは走りのために軽量化されているので、外力がかかるような出来事では破損しやすいです。ママチャリなんて思いっきり倒しても壊れやしませんが、ロードバイクはガッツリ倒してしまうとあまりよろしくありません。街乗りで適当なところに駐輪して店に入り、その隙に倒れると精神衛生上もよくありません。
⑤目立つので盗難リスクが高まる
ドロップハンドルは目立ちますし、明らかに【高そうな感じ】です。ママチャリよりも盗難されやすく、駐輪するような使い方は向きません。どんなに頑丈な鍵でも、工具さえあれば破壊可能です。 1キロ以上もあるような頑丈なチェーンロックとかでは工具でも破壊するのに時間がかかりますが、そんな重たい鍵を持ち歩くほうが不便です。
★クロスバイクはどうなのか?
段差でのパンクリスクを避けるなら、クロスバイクで32c以上の太いタイヤだと確かに効果はあります。クロスバイクはロードバイクよりもホイールベースも長く、ロードバイクより街乗り向きだと思います。
とはいえ、最近のクロスバイクはやたらと軽量化に走っている車種もあり、タイヤも無駄に細い車種もあります。タイヤ幅はあとから変えることができますが、クロスバイクで街乗りに向く車種は無駄に軽量化されていないものかと思います。最近のクロスバイクの中には、やたらとロードバイクに近づくことを目指しているものもあり、そういうクロスバイクは街乗りでは使いにくいです。
★正直、ママチャリのほうがラク
正直なところ、街乗りはクロスバイクとかママチャリのほうが圧倒的に楽です。いろいろ気を遣うロードバイクで街乗りしたいとは思いません。ロードバイクに乗る人は、基本的に駐輪しません。駐輪しないというと語弊がありますが、長時間ロードバイクから離れるような使い方をせず、コンビニでトイレに行く短時間とかしか駐輪しませんし、お昼を食べる時もなるべく店の中からバイクが見えるような場所に入る人が多いです。要はバイクから目を離す時間が非常に短いということです。これは主に、盗難対策です。
ロードバイクに憧れる人は多いですし、どんな使い方をしようと買った人の勝手です。ですが何でもそうですが、モノには向き、不向きがあります。ロードバイクは元々はレース機材で、そこからサイクリングなどに使う人が出てきています。クロスバイクなんかは最初からサイクリングや街乗り向きに開発されていると考えていいでしょう。
確かにロードバイクは、軽くてスピードも出てカッコいいですが、その軽さも加速性も、街乗りでは意味がない要素です。むしろ、そういうロードバイクの良さを活かせないだけでなく、その良さがむしろデメリットにすらなりかねません。なので個人的には、ロードバイクで街乗りというのは全くお勧めしません。クロスバイクならまだいいと思います。ですがどう使うかは、買った人の自由です。(cycle雑誌)
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