撮影&文:uri
~うちの子がうちにくるまで No.6~
愛犬を家に迎えるまでの葛藤を、飼い主自身が、自分の言葉で綴ったエッセイのシリーズです。
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ディアンを見つけたのは主人でした。
ホームセンターに、ひとりで買い物に行ったときに、ふらっと覗いたペットショップの一角で光を放っていたそうです。主人はこのミニチュア・ブルテリアの子犬を見つけた時、「脳天に雷が落ちたようだった」と言っています。
その際、普段は写メなど滅多に使わない主人が、「こんなに、かわいいコが居たよ」って、家にいた私に、写メを送ってきました。
驚きました、びっくりです。
一瞬、ぬいぐるみが2個写っているのかと思いました。
そこには、茶色いぬいぐるみにじゃれている、白くてちっちゃな、ミニチュア・ブルテリアの姿があったんです。
主人が家に帰ってきたところで、早速PCを立ち上げて、ミニチュア・ブルテリアについて、調べてみました。
……
――闘犬種――
……
――飼いにくい――
……
嗚呼!
それ以上に落胆したのが、ジャック・ラッセル・テリアと相性が最悪で、ドクロマークまで付いていること。
この時、先住犬のジェッツ(ジャック・ラッセル・テリア)は1歳……
私たちは潔く、諦めることにしました。
しかしお話はここから。
諦めたつもりだったのに、私たちは次の週末も、また次の週末も、そのまた次の週末も……、未練がましくお店にそのコを見に行きました。
毎週来る私たちを見て、店員さんが、「抱いてみますか?」と訊ねてきます。
抱いた感想は……
書かなくても、お分かりですよね。
でもこの時もやはり、後ろ髪引かれながら、お店を後にしました。
先住犬と、犬種として相性が悪いからというのが理由の1つですが、もう1つ大きな理由があったんです。
それは……、お値段が高いとういう事。
「ジェッツより、価格が安くなったらな」
でもそれは無理な話です。なにしろ、一番大きい桁の数字が、1つ? 2つ? 上でしたからね。それは自分自身を納得させる口実でした。絶対クリア不可能な難問を設定することで、諦めようとしていたんです。
写真:YouTube
次の週は、もうそのコに会いに行きませんでした。その次の週も……
ジェッツの幸せのため、あのコの幸せのためと自分に言い聞かせながら……
時は2011年、劇的な女子サッカーW杯優勝が決まったその週末。
私たちが、『W杯FIFAワールドカップ、なでしこジャパンの優勝記念セール』に出かけた時のことでした。
私たちは久しぶりに、あのペットショップに立ち寄りました。
さすがに、よい飼い主さんが見つかっただろうなと、清々しい思いで。
その頃は、主人が最初にそのコに出会った日から、もう1カ月半近くも経っていましたからね。
私「もう、いないよね?」
主人「あぁ、いないよ、絶対!」
二人「えっ、えーー」
その時、運命の歯車が、回り始めました。
優勝記念セールで『この日だけの大特価』と、ビックリマークのラベルが貼られたその値札は……
何と私が自分を納得させようと設定していた難問を、税抜き価格ながらもクリアしていたんです。しかも店員さんも、私たちのことを覚えていました。
ハチャメチャな難問をクリアしたのですから、私はOK。
主人はラブラブ。
最終決断は、主人に任せました。
ジェッツとうまくいかないようなら、別々に育てようと腹を決めて、私たちは、後にディアンと名付けられるこのコを、家に連れて帰ったのです。
名前は、なでしこジャパン優勝記念にちなんだものにしよう。
でも単に『なでしこ』では、あまりにも芸がない。
そこで、私の趣味の園芸本を引っ張り出し、なでしこを調べたところ学名が dianthus ディアントゥス。この学名から、名前を頂きました。
これがディアンとの出会いのお話。
君に決めた!
~うちの子がうちにくるまで No.6~
犬の名前:ディアン
犬種:ミニチュア・ブルテリア
飼主:uri
※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。
――うちの子がうちにくるまで、前話――
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