高校黒髪強要で提訴 府争う姿勢

大阪・羽曳野市の府立高校に通う女子生徒が、生まれつき髪が茶色いのに、黒く染めるよう強要され不登校になったとして、大阪府に賠償を求めた裁判が、先月、始まり、府は争う姿勢を示しました。
裁判の記録や代理人の弁護士によりますと、大阪・羽曳野市にある府立懐風館高校の高校3年の女子生徒は、入学する前から生まれつき髪が茶色いことを学校側に説明していたのに、黒く染めるよう強く求められたということです。
女子生徒は、頭皮に痛みを感じながら指導に従って髪を黒く染めましたが、学校側は「染め方が不十分だ」と、4日に1度のペースで繰り返し黒く染めるよう指導し、修学旅行や授業への参加も禁じるなどしたため、女子生徒は不登校になったということです。
母親や弁護士が対応を改善するよう求めたのに対し、学校側は、「黒く染めるのがルールで、たとえ金髪の外国人留学生でも黒く染めさせる」と説明したということで、女子生徒は黒髪を強要され精神的苦痛を受けたとして、大阪府に慰謝料などおよそ220万円の支払いを求めています。
先月、大阪地方裁判所で始まった裁判で、府は争う姿勢を示しました。
代理人の弁護士によりますと、女子生徒は不登校になったあと、本人も母親も知らない間に高校の名簿から名前がなくなって一見、退学させられたような状態になり、学校の机などの割り当てもなくなっていたということです。
母親と弁護士は学校に強く抗議し、その後、校長から弁護士に電話があり、名簿に名前を戻したことを告げられたということです。
【大阪府が緊急調査】。
大阪の府立高校の女子生徒が、生まれつき髪が茶色いのに黒く染めるよう強要され不登校になったとして、大阪府に賠償を求めている裁判に関連し、大阪府の向井教育長は、府立高校での頭髪指導の実態を把握するため、緊急の調査を始めたことを明らかにしました。
これに関連して、大阪府の向井教育長は、記者会見で、「教育庁としては、生まれつきの自然な状態を尊重することが基本だと考えている」と述べました。
そのうえで、向井教育長は、「今回は、生まれつき黒髪だったということを前提に指導した。3人の教諭が髪の根元を確認した」と述べました。
また、向井教育長は、今回の件を受けて、府立高校での頭髪指導の実態を把握するため、今月13日から緊急の調査を始めたことを明らかにしました。
調査は、▼校則で髪の染色や脱色を禁止しているか、▼地毛が黒くない生徒に申告や証明などを求めているか、▼生まれつきの髪の色を変えるように求めたことはあるかなど、18の項目からなり、府教育庁では、今月中に結果を公表したいとしています。
また、大阪府教育庁は、学校が、教室に、この女子生徒の机を置かなかったほか、座席表や名簿に生徒の名前を記載していなかったことを明らかにしました。
これについて向井教育長は、記者会見で、「こうした対応は許されるものではなく、是正の指導を行った」と述べ、今月14日に、名簿への名前の記載などの措置が取られたことを説明しました。