エアビー社に立ち入り 独禁法違反疑いで公取委

社会
2017/11/17 10:37 (2017/11/17 14:10更新)
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 民泊仲介サイト世界最大手の米・Airbnb(エアビーアンドビー)が民泊の代行業者に対し、他社の仲介サイトを利用しないよう求めていたとして、公正取引委員会は17日までに、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで同社の日本法人(東京・新宿)を立ち入り検査した。

 関係者によると、エアビーは民泊物件の掲載を依頼してきた代行業者に対し、掲載の条件として他社のサイトとは取引をしないことなどを求めた疑いが持たれている。他社のサイトを利用しないよう記載した契約書にサインさせることもあったという。

 独禁法は、取引先に対して競合他社を利用しないよう強要するのは他社のビジネスの機会を不当に奪うとして、不公正な取引方法の一つにあたる「排他条件付き取引」として禁じている。

 公取委は押収した資料の調査とともにエアビーの関係者らから事情聴取。エアビーが競合他社の取引機会を減らし、自社の利益確保を図っていた可能性があるとみて実態解明を進める。

 代行業者は民泊物件の貸主と契約。貸主の代わりに仲介サイトとの取引や室内の清掃、料金設定などを行い、宿泊料から数割程度の手数料を得る。国内には代行業者が数百社程度、仲介サイトは10前後あるとみられている。

 エアビーは2014年に日本進出し、国内に民泊が普及する契機をつくった。代行業者らは室内の写真や最寄り駅などの基本情報を登録し、利用者は物件をエアビーのサイトで検索する。エアビーに登録されている部屋数は5万室以上で、年間利用者は500万人を超える。

 18年6月に住宅に旅行者を有料で泊める住宅宿泊事業法(民泊法)の施行が決まり、国内企業も続々と市場に参戦し、登録物件の獲得競争の過熱が予測される。海外からの観光客が大幅に増加する20年東京五輪・パラリンピックに向け、市場競争はさらに激しさを増すとみられている。

 エアビーアンドビー日本法人の話 公正取引委員会には全面的に協力している。ただ、民泊物件の貸主や代行業者に対して自社サイトへの掲載を条件として他サイトと取引しないよう要求した事実は一切ない。

 ▼民泊 旅行者に一般住宅を有料で貸す宿泊サービス。国は2016年4月から旅館業法に基づく「簡易宿所」として、許可制で認めている。
 旅館やホテルより割安な料金で人気が高まり、外国人観光客がインターネットの仲介サイトを通じて予約、利用することが多い。
 東京都大田区や大阪府などでは国家戦略特区の規制緩和を利用し、首長の認定を受ければ営業できる。受け入れ客の増加とともに近隣トラブルも頻発。政府は民泊を対象にした「住宅宿泊事業法」を18年6月から施行するなど、制度面の整備を進める。

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