気がつけば「ハラスメント」とつく用語で溢れる社会になっていました。
血液型にまつわる相手への言動が「ブラッドタイプ・ハラスメント(ブラハラ)」と言われるハラスメントに該当する、という個人的には驚愕の事実。分からなくもないけど、それなら干支も星座もおみくじの結果も聞いてはいけないことになるのでは…という違和感のような倦怠感のような何かに襲われました。
30種類以上ある
ネットを見ていると、ハラ的な言葉で定義づけされているものが少なくとも25種類以上は存在するようで、抜粋するとこんな感じ。
エアー・ハラスメント
特定の者を不特定多数の前で意図的に陥れるために場の雰囲気を極端に悪くすること。精神的ダメージを与えるばかりか、評価を著しく下げることに繋がり名誉毀損になることもある。
カラオケ・ハラスメント
本人の意志に反しカラオケといった場において歌うことを強要すること。意図的に歌わせるよう仕向けることや、上下関係の中で断れない状況での強要するのもこれに該当する。
セカンド・ハラスメント
セクシャルハラスメントの解決による被害の訴えを起因とする二次的被害のこと。閉鎖環境下で起こりやすく、問題解決が難しい。
テクノロジー・ハラスメント
専門分野(主にIT系)に長けた者が反対に知識のない者に対し不当に扱うことの総称。(中略) 相手にとって分からない用語を意図的に並べて不快な思いをさせればこれに該当する。
そういう状況に遭遇したこともあるし、不快に思う人がいるのも分かります。ですがハラスメントの本来の意味(嫌がらせ)を飛び越えているような印象のものもあり、この風潮自体がハラスメントに近いのでは、というのが主な感想です。
社会的認知
恐らくそれまでは「嫌がらせ」とかいう言葉で括るしかなかったような行為の数々。社会的認知が深まることで、受けた人が理不尽な言動に泣き寝入りしないで済む確率は上がり、被害者予備軍を守る手段にもなります。
周囲の道徳的意識も正すという意味では、ハラ概念の効果もあると思います。
言葉の裏側で
他者との関係性を円滑にするために積極的に行われている言動が「ハラ認定」を受けるという事実。「これはハラスメントになるかも」という危惧があることでコミュニケーションの機会が喪失される社会になってしまうのだとしたら、それはどこか残念なことだと思います。
ハラスメントに細心の注意を払っていたお偉方本人が、「それはハラスメントだ」と他人に発言し、言われた相手は相当傷ついていました。ハラスメントという言葉そのものが凶器になり得るとも思います。
ハラスメントを決めるもの
「ハラ」かそうでないかを決めるのは受け手の主観のみ。そのため、身体を触るとか不当な恫喝といった明らかな言動以外にも、相手が変われば結果も変わるのが途方もなく難しいところ。何でもかんでもハラスメントという称号をつけるのは正直しんどいような気がしています。
正しいこと、良かれと思って行っていることがハラスメントと呼ばれることも充分あり得る社会。誰もが加害者・被害者になる可能性をもっています。自分の思いを伝える時は、相手に応じて慎重な姿勢を保ちましょう。
まとめ
生きている限りコミュニケーションは不可欠な要素です。
思わぬ事態を避けるためには、相手が嫌がるようなことは避けるべきであり、ハラスメントがここまで叫ばれるようになった事態を軽視して良い人などいません。
さすがに多すぎてもう把握しきれないので、そういう意味でもこれ以上ハラスメントがつく言葉が増えないでほしいと願います。
本日の名言。
場所ちがいの善行は悪行だと私は思う。
エンニウス