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KADOKAWA Technology Review
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人間の体内で遺伝子編集する初の試みが実施へ

For the First Time, Gene Editing Is Taking Place Inside the Human Body人間の体内で遺伝子編集する初の試みが実施へ

ブライアン・マドゥーという男性が文字どおり実験台となる。マドゥーは公式に、自分の体内で遺伝子編集を実施する最初の人間になるからだ。今回の遺伝子編集では、断片化したDNAを含むIV遺伝子を、自身の遺伝物質に挿入する。

AP通信が報じたところによると、サンガモ・セラピューティクス(Sangamo Therapeutics)が開発した治療法では、「ジンクフィンガー」として知られる手法を用いて、マドゥーのDNAを切り取り、修復遺伝子を挿入するのだという。計画通りに進めば、マドゥーが患う肝臓疾患のハンター症候群に効果のある酵素を、自らの体内で生成できるようになる。マドゥーは心からそうなることを祈っている。というのも、彼はこの病気のせいで、現在までに26回も手術を受けているからだ。

遺伝子編集が人体に用いられた実績はもちろんある。サンガモはこれまでにもHIV用の治療法などの開発をしてきた。しかしそれらの治療法では、細胞を体外に取り出して遺伝子を改変し、体内に注入していた。実際に人体の内部で遺伝子を編集するのは今回の実験が初めてである。クリスパー(CRISPR)遺伝子編集ツールを体内で利用する手法は、まだ開発途中なのだ。

他の多くの治療法と同様に、遺伝子編集による治療で取り返しのつかないことが起こる可能性は否定できない。遺伝子編集は人間のDNAを恒常的に変化させ続けるのだ。つまり、この治療が目論みどおりに成功すれば、患者の体への効果が持続するが、この手法によりDNAが不正に編集されれば、事態は悪化の一途をたどるかもしれない。私設の研究施設で独自に開発した遺伝子編集の試みがとんでもないリスクを伴うというのは、これが理由だ(「One Man’s Quest to Hack His Own Genes」を参照)。

3カ月後にマドゥーは、この治療法への適性があるかを判断するための試験を受ける。遺伝子療法による治療についてマドゥーは、「ナーバスになっていますが、興奮もしています」とAP通信に語った。「このリスクを取るのは本望です。この治療法が自分や他の人々の救いになることを望んでいます」。

ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe] 2017.11.16, 10:58
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