福山、府中で障害者112人解雇 A型事業所、経営不振で17日
福山市曙町の一般社団法人「しあわせの庭」が福山、府中市で運営する就労継続支援A型事業所2カ所を経営不振を理由に閉鎖し、雇用契約を結ぶ障害者計112人を一斉に解雇することが16日、分かった。解雇は17日付。7月には倉敷市の一般社団法人「あじさいの輪」などが運営するA型事業所計7カ所で障害者283人が働く場を失うなど大量解雇が相次いでおり、利用者らに動揺が広がっている。
福山市の事業所(2015年5月指定)は67人、府中市の事業所(広島県から16年3月指定)は45人をそれぞれ雇用。パン、ポップコーンの製造販売や食品包装材加工などの軽作業をしていた。
16日にしあわせの庭の山下昌明代表理事から閉鎖の申し出があり、所轄する広島県と福山市は同日、障害者総合支援法に基づき、再就職支援や賃金の支払いを求める利用者保護の命令を事業者側に出した。福山市で17、19日、府中市で17日に利用者対象の説明会を開くほか、再就職に向けて企業などによる合同面接会も開く予定。
同法人は10月16日に事業所廃止の意向を示し、県や福山市から障害者の再就職を支援するよう2度の勧告を受けていた。一時は勤務時間短縮などの経営改善策を打ち出し、事業継続を模索したが、山下代表理事は「設備投資などが経営を圧迫し、継続的な運営が難しくなった」と説明しているという。
福山市の小野裕之福祉部長は「再就職支援の計画が示されない中での解雇は悪質であり、障害者間で不安が広がっていることから命令に踏み切った」と話している。
破綻相次ぐ「A型事業所」
障害者の就労継続支援A型事業所の経営が行き詰まり、多数の利用者が一斉に解雇される問題が後を絶たない。16日、福山市と府中市で障害者112人が職を奪われることが分かった。100人を超える規模では今年に入り3例目とみられ、解雇の障害者は計548人に上る。公金頼みで事業収益では障害者の賃金を賄えない実質赤字の事業所は多く、今後も同様の事態が続く恐れがある。
A型事業所は、障害者と雇用契約を結び、最低賃金以上を保証して職業訓練をする。2006年施行の障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)で位置付けられた障害福祉サービスの一つ。運営者には障害者数に応じ、訓練給付金や雇用開発のための助成金が手厚く支給されるため、施設数は今年4月現在で全国3630カ所と5年前の3・2倍に急増している。
障害者雇用の可能性を広げる一方で、公金を当てにした“補助金ビジネス”が問題視されてきた。事業の収益を十分に確保できなくても参入できるため、助成金が支給されなくなると支援の継続が難しくなる矛盾を抱えている。
今年7月には、一般社団法人「あじさいの輪」(倉敷市)とグループ会社が、同市と高松市で運営する7事業所を閉鎖して283人を解雇。8月には愛知県や関東地方で事業所を展開する会社が破産を申請し、153人を解雇した。
NPO法人・就労継続支援A型事業所全国協議会(東京)の久保寺一男理事長は「よほど生産性の高い仕事を確保できない限り、20人以内の障害者数でなければ事業を続けるのは難しい」と指摘。同協議会が全国のA型事業所を対象に行った今年2月の調査では、回答した365事業所のうち7割超が実質赤字だった。
厚生労働省は「A型事業所は障害者が地域で自立した生活を送るために公金が投入されており、事業所のための事業ではない」としている。
福山市の事業所(2015年5月指定)は67人、府中市の事業所(広島県から16年3月指定)は45人をそれぞれ雇用。パン、ポップコーンの製造販売や食品包装材加工などの軽作業をしていた。
16日にしあわせの庭の山下昌明代表理事から閉鎖の申し出があり、所轄する広島県と福山市は同日、障害者総合支援法に基づき、再就職支援や賃金の支払いを求める利用者保護の命令を事業者側に出した。福山市で17、19日、府中市で17日に利用者対象の説明会を開くほか、再就職に向けて企業などによる合同面接会も開く予定。
同法人は10月16日に事業所廃止の意向を示し、県や福山市から障害者の再就職を支援するよう2度の勧告を受けていた。一時は勤務時間短縮などの経営改善策を打ち出し、事業継続を模索したが、山下代表理事は「設備投資などが経営を圧迫し、継続的な運営が難しくなった」と説明しているという。
福山市の小野裕之福祉部長は「再就職支援の計画が示されない中での解雇は悪質であり、障害者間で不安が広がっていることから命令に踏み切った」と話している。
破綻相次ぐ「A型事業所」
障害者の就労継続支援A型事業所の経営が行き詰まり、多数の利用者が一斉に解雇される問題が後を絶たない。16日、福山市と府中市で障害者112人が職を奪われることが分かった。100人を超える規模では今年に入り3例目とみられ、解雇の障害者は計548人に上る。公金頼みで事業収益では障害者の賃金を賄えない実質赤字の事業所は多く、今後も同様の事態が続く恐れがある。
A型事業所は、障害者と雇用契約を結び、最低賃金以上を保証して職業訓練をする。2006年施行の障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)で位置付けられた障害福祉サービスの一つ。運営者には障害者数に応じ、訓練給付金や雇用開発のための助成金が手厚く支給されるため、施設数は今年4月現在で全国3630カ所と5年前の3・2倍に急増している。
障害者雇用の可能性を広げる一方で、公金を当てにした“補助金ビジネス”が問題視されてきた。事業の収益を十分に確保できなくても参入できるため、助成金が支給されなくなると支援の継続が難しくなる矛盾を抱えている。
今年7月には、一般社団法人「あじさいの輪」(倉敷市)とグループ会社が、同市と高松市で運営する7事業所を閉鎖して283人を解雇。8月には愛知県や関東地方で事業所を展開する会社が破産を申請し、153人を解雇した。
NPO法人・就労継続支援A型事業所全国協議会(東京)の久保寺一男理事長は「よほど生産性の高い仕事を確保できない限り、20人以内の障害者数でなければ事業を続けるのは難しい」と指摘。同協議会が全国のA型事業所を対象に行った今年2月の調査では、回答した365事業所のうち7割超が実質赤字だった。
厚生労働省は「A型事業所は障害者が地域で自立した生活を送るために公金が投入されており、事業所のための事業ではない」としている。