文春のセールに次いで今度は早川文庫のKindle50%オフセールが開催中。
今回は、海外SFに限定のセール。
国内SFならまだしも、海外SFはジャンル的に得意ではないのでちょっと記事は書けないな―……と思ってポチりながらセール対象を眺めていたところ一部、SF以外の作品も混ざってる。
そこで今回はそんな非SFな作品をいくつかオススメしたい、という記事。
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ジョージ・R・R・マーチン
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ドラマ「ゲーム・オブ・スローン」の原作といえば伝わりやすい。
あのドロドロとした壮大すぎるファンタジー世界は、この原作で色々補填できる。
登場人物の年齢が、原作の方が平均的に低いのはキャストの関係でしょうが、その違和感さえ除けばドラマがこの原作を「できるだけ正しく」映像化しようとしたのがよくわかる。
モンスター満載なダーク・ファンタジーというより結構かっちりした人間ドラマなのも面白い。
エルリックサーガ
ムアコックのエターナルチャンピオンシリーズは、多元宇宙ですし、たしかにSFといえばSFなんですが、高度に発達した科学はファンタジーと区別がつかないわけで、エルリックサーガは単体であればファンタジーなんです七つの闇の王アリオッチ。
まだ天野絵の表紙↓の時に読んだ。
早川書房
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呪われた黒い剣「ストームブリンガー」が巻き起こす悲劇の連鎖は間違いなくダーク・ファンタジーの金字塔。
生まれつき貧弱な皇子エルリックが手にした呪われた黒い剣ストームブリンガーは、他人の魂を啜り活力を得る呪われた剣。
エルリックは神の名を唱えながら、ストームブリンガーで魂を貢ぐ。
英雄譚、ヒーローがイメージされるファンタジー世界とは全く違う血と闇の物語。
さらば、友よ。我は汝の千倍も邪悪であった
ちなみに「夢盗人の娘」から始まる後期三部作はあんまり読まなくてもいい気が……。
エターナルチャンピオンをコンプリートするならいいですが。
カート・ヴォネガット
日本では村上春樹に多大な影響を与えたことでも知られるカート・ヴォネガット作品も今回のセール対象。
「ヴォネガットはSF作家だろうがゴルルウウウァ!!」という声も聞こえますが、「タイタンの妖女」「スローターハウス5」などの有名SFではなく「ローズウォーターさん、あなたに神のみ恵みを」や「ジェイルバード」「母なる夜」辺りは非SFと呼んでいいかと。
中でも前述した「ローズウォーターさん」はアメリカが今あんな感じになってる今、資本主義を捉える上で一読の価値は間違いなくある。
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昔からアメリカ人は、働こうとしない人間や働きたくても働けない人間を憎むように、また、それとおなじ理由で自分自身をも憎むように教育されてきました。その残酷な常識は、いまはなくなったフロンティアのおかげともいえます。しかし、いまはまだそうでなくても、新しい時が近づきつつあります。それがもはや常識でなくなるときが。それがたんに残酷であるだけのときが。
アメリカ社会で14位に入る大富豪が、己の身を顧みないほどの慈善事業を行うとき、現代社会ではそれを「狂っている」と認識される。
この頃のヴォネガットは現代の寓話として物語を書いているけれど、その視点は非常にシニカルで辛辣にも感じる。
今だからこそ、さらに面白い。
われわれが表向き装っているものこそ、われわれの実態にほかならない。
だから、われわれはなにのふりをするか、あらかじめ慎重に考えなくてはならない。
ナチスに協力し対アメリカ宣伝に関わったアメリカ人作家ハワード・W・キャンベル・ジュニアが自身の戦争中の行為を回顧しながら書いた手記、という物語。
もちろんヴォネガットですから一筋縄ではいかないストーリー。
「スローターハウス5」と同じく自身の戦争体験が色濃い作品。
好きなので是非読んでほしい一冊だったりする。
ハヤカワのセールは、20日までですのでお早めに。
ちなみに海外SFはあまり抑えていなかったので、今回のセールで古典の有名どころを買い込み。
抑えていなかったヴォネガットのエッセイも購入。
毎回ですが早川と東京創元社はセールやると資金が一気に減るので勘弁してください。
積読が一気に増えた……。