「WISE FORUM 2016」のご報告

「WISE FORUM 2016」のご報告 「豊かな暮らしを創造する」を理念に掲げて毎年秋に開催するWISE FORUM。
創業20周年に当たる本年は「にっぽんの未来を考える3日間」と題して特別企画シンポジウムを開催し、10月26〜28日の三日間で約400名もの方々にお出で頂きました。
全国各地には地域・環境づくり、ひと・モノづくりに熱い情熱を傾ける方々が数多く居られます。このシンポジウムではワイス・ワイスが歩んできた20年間にご縁を頂きました先生、先輩諸氏をお迎えし、環境、社会、経済、生活、教育など多角的観点で「この国の未来」を語って頂きました。登壇された皆さまからは深いお考えとメッセージ、そして具体的事例が次々と強い説得力で語られ、続くパネルディスカッションでは多様な価値観が交錯し、さらに会場からも鋭い意見質問が飛び出して、文字通りにっぽんの未来を深く問い熱く語り合う充実の三日間となりました。

講演動画ダウンロード 資料ダウンロード ※ディスカッションのレポート及び映像は編集中です。(12月6日付)

DAY1 10月26日(水) テーマ「環境・フェアウッド」

多様な生物の命を育む森林、人と自然が織り成す美しい里山、先祖代々の技と知恵を受け継ぐ木の文化。今こそ皆で豊かな森林木文化を次世代に継ぐ為に連携するとき!

沖 修司/林野庁次長 沖 修司氏/林野庁次長
オープニングは林野庁沖次長から『森林がつくる未来のデザイン』と題して第一日テーマの基調を成す示唆に富むお話を頂きました。日本列島は南北に3千キロと長く、世界的に観ても狭い国土の中にこんなにも多くの植物種がある国はないと、自ら公務員として全国を渡り歩いて来られた経験と実証値、各地域の木や植物の紹介を交えて、日本の自然の豊かさを改めて気づかせて頂きました。木を上手に使い分け暮らしに生かしていた日本人の生活が戦後一変し、その結果山がどのように様変わりし今の状態に至るかを包括して頂きました。生命の連鎖を子どもたちに教えること、木に携わる人達が連携をとることの重要性を強調されました。

大場 隆博氏/株式会社くりこまくんえん
大場 隆博氏
/株式会社くりこまくんえん
今村篤/岩手県岩泉町林業水産室室長
今村 篤氏
/岩手県岩泉町林業水産室室長
宮原元美 /株式会社ミヤケン取締役
宮原 元美氏
/株式会社ミヤケン取締役
次に地域で先進的な森の経営や木の産業づくりに取り組む宮城県栗駒山麗で活動している大場隆博氏、岩手県岩泉町の今村篤氏が続きました。大場さんは岩手宮城内陸地震に続き東北大震災を経験、今村さんの岩泉町は先日の台風10号により甚大な被害を受けた地域です。その大変な状況下でも、森林や木のある暮らしを地域社会の復興・発展の柱として据え、その取り組みについてお話し頂きました。続いて宮原元美さんは東京を中心に、フェアウッド・自然素材を極力使った住居、地域コミュニティーとつながりをもった暮らしを提案する賃貸不動産の事例を紹介しました。

1日目 ディスカッションの様子

☆講演映像と資料のダウンロードはこちらから

基調講演:沖 修司氏
資料ダウンロード(PDF:4.9MB)

講演:大場 隆博氏
資料ダウンロード(PDF:4.7MB)

講演:今村 篤氏
資料ダウンロード ①(PDF:3.5MB)
         ②(PDF:5MB)

講演:宮原 元美氏
映像・資料は非公開とさせていただきます。
モーラの家、ミドリムシ不動産に関しましては、公式サイトでコンセプト等を説明させていただいております。
▼モーラの家
http://www.moora-house.net/
▼ミドリムシ不動産
http://midorimushi-estate.com/

DAY2 10月27日(木) テーマ「生活・教育」

子どもたちが夢と希望を持って成長していける教育、そして地域社会とは。現場で日々奮闘するリーダーたちの取り組みと思いが、大人たちのやる気を奮い立たせる。

柳沢 幸雄氏/開成高等学校・中学校 校長 柳沢 幸雄氏/開成高等学校・中学校 校長
『未来を創るのは子供?それとも大人?』と題した基調講演、柳沢校長は諸外国と比べ日本の若者は自信が欠如し自己肯定感が希薄、特に20~24歳の若者に顕著でそれが社会に出て個性を発揮できない今の傾向を生んでいると問題提起し、親の姿勢こそが重要と指摘されました。子供を褒める時、周囲や親の理想と比べずその子自身の以前の姿と比べ具体的に褒めること、そういう気持ちで接すれば成長している点、褒められる部分がきっと見つけられます。次世代のため大人の私たちは何ができるかを考えて!と強く訴えられました。

油井 元太郎氏/公益社団法人MORIUMIUS理事
油井 元太郎氏
/公益社団法人MORIUMIUS理事
和田 賢治氏/岐阜県立森林文化アカデミー 講師
和田 賢治氏
/岐阜県立森林文化アカデミー 講師
田中 寿幸氏/諸塚村立荒谷小学校 教諭
田中 寿幸氏と田中 凛香さん
/諸塚村立荒谷小学校 教諭・児童
続いて登壇したのは東日本大震災の被害に遭った石巻市雄勝町で「モリウミアス」(築93年の木造校舎を環境教育体験学習の複合施設として手作りで再生)を運営する油井元太郎氏。「教材は雄勝。そこで暮らす人々と豊かな自然に触れ合うことで子供達の未来が拓けるきっかけを作りたい。新しい教育のカタチを発信したい」と熱く語られました。スクリーンに映し出された子供達の表情、目の輝きがモリウミアスの素晴らしさを伝えてくれました。替わって和田賢治氏は高校時代父親からミャンマーでの一人暮らしを強いられたこと、苛酷で貴重な体験が自信に繋がったこと、その父親から机を譲り受けたことがやがて木工の道に辿り着く、と自身の半生をユーモアたっぷりに語って子供達には「くらしを自分でつくること」を教えて行きたいと「アベマキ学校机プロジェクト」を始めた想いを紹介。六年生が新一年生のため地元の木で机をつくり贈ることは「愛を伝えることを惜しまないこと」も教えていると語りました。

田中凛香さん 田中寿幸氏は、子供達が教室を飛び出し地域の大人と交わる総合学習を紹介されました。子供達は調べ発表することで村への誇りと自信を育んでいる、その自信があって「15の春」に村から巣立って行ける、と結びました。そして特別ゲスト六年生の凛香ちゃん、林業立村諸塚の誇りを7分間のプレゼンを通じて堂々と謳いあげ感動の拍手が鳴り止みませんでした。夢や希望を持って子供が成長していくことの素晴らしさ、安心と自信を作り出す地域社会づくりの重要性を再確認した意義深い一日となりました。

2日目 ディスカッションの様子

☆講演映像と資料のダウンロードはこちらから

基調講演:柳沢 幸雄氏
資料ダウンロード(PDF:1.2MB)

講演:油井 元太郎氏
資料ダウンロード(PDF:4.7MB)

講演:和田 賢治氏
資料ダウンロード(PDF:2.4MB)


講演:田中 寿幸氏と田中 凛香さん

DAY3 10月28日(金) テーマ「社会・経済」

どんな社会をつくりたいのか。ともに生きる社会・結び合いや関係性の中に、本当の幸せがあるのではないか。この考えを考察し行動を起こせば、新しい社会が見えてくる。

内山 節氏/哲学者 内山 節氏/哲学者
基調講演の内山節氏のタイトルは「経済のゆがみ、社会のゆがみを正していく時代」。イスラエル人でフランス国籍を持つ世界的文化人類学者の辿った道を紹介しながら、何となく居場所の無い現代人の悩み、不幸ではないのに幸せ感が薄い現代という時代について考察を披露されました。資本主義社会の結末として、一つはポジションをとることが価値目標になってしまったこと、もう一つはシステムが変更されては困るという保守的世界が広がってしまったと述べられました。経済や労働、社会や地域、文化や土着的信仰など色々な要素がバラバラになってしまった現代はどうしたら良いのか。信仰という言葉が生まれる前の、山への祈り、家族への祈り、村に持続して欲しいと願う祈りのように、どこか一体になっている社会をもう一度つくる。「暮らしをどう一体性・統一性のあるデザインにするか、そのデザイン力が問われている」と結びました。

野老 真理子氏/大里綜合管理株式会社 代表取締役
野老 真理子氏
/大里綜合管理株式会社 代表取締役
山口 美知子氏/東近江市市民環境部森と水政策課 課長補佐
山口 美知子氏
/東近江市市民環境部森と水政策課 課長補佐
次の登壇は野老真理子氏。本業である不動産綜合管理業務をしながら、社員一人一人が地域環境整備・ライフサポート等を行う「地域活動を自ら企画・即実行する」会社で、その地域活動は社員22名でなんと300種を超えています。地域の方にまずお役に立つ、目の前にあることを一つ一つ考えすぐに行動することが確かな地域づくりを生む、と熱く訴えられました。山口美知子氏は、緑のジャンヌ・ダルクと呼ばれ琵琶湖の美しい景観をつくるため川を遡り山側からまちづくりを手掛けています。近江商人の発祥の地「東近江三方よし基金」を立ち上げ、地域資源を地域活性化に転換。ひとのつながりを数値化し時間化することで、地域活性の支援を得る仕組みを構築した例を紹介されました。

3日目 ディスカッションの様子

☆講演映像と資料のダウンロードはこちらから

基調講演:内山 節氏
資料ダウンロード(PDF:74KB)


講演:野老 真理子氏

講演:山口 美知子氏
資料ダウンロード(PDF:4.5MB)

ご来場頂きました皆様におかれましては、誠にありがとうございました。また、報告をご覧いただきご興味をお持ちいただいた皆さま、「WISE FORUM」は来年も開催いたします。ご期待ください! 佐藤岳利/ワイス・ワイス社長
佐藤岳利/ワイス・ワイス社長

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