「自分探し」を支援する、デンマークの仕組み

時に立ち止まり、学び直す選択肢が必要だ

デンマーク・ヘルシンオア市にあるフォルケホイスコーレ、International People’s College の概観 (写真:未来教育会議)
人生100年といわれる時代。終身雇用は過去のものとなり、定年後にもまだ長い人生が待っている。乗り切るために必要になるのは、人生やキャリアの途中でときに立ち止まり、必要に応じて柔軟に人生・キャリアを再構築することではないだろうか。
デンマークでは、社会人と学生を行き来する中で、自分が世の中でより役に立てる仕事を求める“自分探し”“学び直し”を行う仕組みがある。
デンマークならではの学びの現場から、今回は3つの事例を紹介したい。

生涯にわたり、「自分発見をする場」を持つ

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現在は世界一幸せな国ともいわれるデンマークだが、かつて度重なる戦争への参加により1813年に国家財政が破綻した過去がある。その頃から「デンマークの資源は“人々の頭脳”しかない」と説き、国民の眠れる才能を開花させるために教育運動を行ったのが、宗教家、作家、そして政治家でもあったニコライ・F・S・グルントヴィだった。彼の理念から、民衆の知識と教養を高めることを目的に1844年に誕生したのがフォルケホイスコーレという独自の教育機関だ。

フォルケホイスコーレは17.5歳以上であれば誰でも入学できる全寮制の学校で、これまでの最高齢は96歳。国内に68校ある。費用の6割強を政府が助成しているものの、教育内容は各校に任されている。芸術、スポーツ、国際問題、福祉、ジャーナリズム、食など、各校にさまざまな特徴がある。

私たちが訪れたフォルケホイスコーレの1つ、IPC(インターナショナルピープルズカレッジ)は、コペンハーゲン市近郊の港町ヘルシンオア市にある。

IPCは“グローバルシチズンシップ”を学ぶことを理念に掲げ、世界25カ国から約70人の生徒が在籍。デンマークにあるフォルケホイスコーレの中で、唯一すべての授業を英語で行う学校でもある。

異なる文化背景を持つ生徒たちが4~6カ月、もしくは1年間にわたり寮で共同生活をしながら、環境、政治、哲学、国際問題、音楽、スポーツなどのレッスンを週に28コマ受講する(サマースクールのみの受講も可)。授業は生徒同士の対話を重視し、多様な意見をどのように統合していくかを学んでいく。

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  • NO NAMEeb1c8fc078eb
    日本人に一番欠けているのは柔軟性と多用途だと思う。子どものころから部活は一つにしか打ち込まないし、学力、学歴以外の価値観はなかなか認められない。政治的談義をすると右翼と言われ、(何故か左翼の方が偉そうなのは、某朝日、毎日、TBSなどの三流マスゴミの影響だが)もっといろんなことを、オープンに語れるようにして判断力を身につけよう。学校教育を根本的に変えないと。既得権益の文科省は解体すべき。
    up7
    down1
    2017/11/16 08:46
  • 20代女f8f966cbc3f6
    良い教育は早期の成功をもたらす。
    そうすると、人生の後半に苦労や失敗が待っている。苦労は人生のどこかで必ず通る道。それが早いか遅いかの違いだけである。
    一方、若いうちに失敗や挫折を味わっておくと年を取ってから免疫があるというか大した苦労を感じない。
    どちらが良いか・向いているかは人それぞれだろうが、
    教育の質は悪いほうが良いこともある。自分で気づくべき時に気づき学ぶべき時に学ぶほうが結果的に良いこともある。直らない教育制度をどうにかしようとするより、下手に金かけず現状で良いとも思いますけどね。
    up1
    down0
    2017/11/16 15:18
  • NO NAME9b480233628b
    ゆとり教育の喧噪を思い出します。どういう学び方がいいのか、歴史は繰り返す。
    up2
    down1
    2017/11/16 10:56
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