【長州力インタビュー〈2〉】注目している選手は飯伏幸太「今の時代にあって、客を引きつけている魅力がある」

2017年11月16日11時50分  スポーツ報知
  • プロデュース興行のポスターを背にする長州力

 プロレスラー長州力(65)が来年1月14日、後楽園ホールでプロデュース興行「POWER HALL2018」を行う。このほどスポーツ報知のインタビューに応じた長州。前日に続く2回目は、今のプロレス界への思いを明かした。

 週4で新日本プロレスの道場でトレーニングを行っている長州。今の新日マットはどう映っているのだろうか。

 「見なくはないけど、テレビでパパってチャンネル変えて、おっプロレスやってんなってチラッと見たりしますよ。今の時代に合っているんじゃないですか。それはもう僕たちがああだこうだ言う問題じゃ全くない。ここまで盛り上げたし。選手はみんなよく練習してますよね。ただ、トレーニングしてもケガはしますから。他の団体だって道場があるところはよくやっている。全日本だって道場2回ぐらい見たけど、しっかりしてます。そういうしっかりしている環境が選手にとっていい所だし」

 その上で今、注目している団体について言及した。

 「見る角度が違うのかも分からないけど、全日本の試合を見ると、懐かしさを感じますね。それは本来、レスラーが持っているデカさですよね。体がデカいと、ひとつひとつが動かなくても補えるものがある。おぉ全日本がデカイのがいっぱいいるなって思いますよね。リングでぶつかった時、見ている人たちは驚くんだろうなって。そういうところですね。それで今、(観客動員も)上がってきている。あんなに苦戦していたのにね」

 さらに注目している選手も明かした。真っ先に上げたのが飯伏幸太(35)だった。

 「一番、今の時代にあって、客を引き付けている魅力がありますよね」

 現在、フリーで新日本を主戦場にしているが、その驚異的な身体能力は「見てみたいっていうのがある。感じたいっていうのがある」と断言した。

 さらに大日本プロレスの関本大介(36)と岡林裕二(35)も高く評価した。2人は全日本の世界タッグ王座も奪取した実績を持つ。

 「関本君も好きですよ。あとタッグ組んでいる岡林もいいですよ。アッて思える力強さがこいつら持っていますよね」

 そして、新日本時代に徹底的に指導した弟子とも言える永田裕志(49)、中西学(50)も道場で懸命に汗を流す姿を目の当たりにし「永田とか中西も一生懸命トレーニングしている」と評価。現在、試合数が少ない状況に「もったいないなと思っていますよ」ともう一花咲かせて欲しい気持ちを明かしていた。

 一方で今年に入りリング上で事故が続いたことへ業界として対策が急務と訴えた。

 「この業界が全体でしっかりした業界だったら安心できるんだけど、(ケガで)終わってしまったら終わるという不安感がある。協会とか、今小さな団体とかすごい増えてきているから、組織だったものを作ってきちんとケアできるような、選手がケアしてもらえる組織みたいなもの補償みたいなものがあったらと思う。(衆議院議員で元文科相の)馳(浩)がなるとか(参院議員の)猪木さんとかやってもらえればいいんじゃないかなぁと思うんだけどね」

 警鐘を鳴らした長州は今の選手の試合を見て感じたことも告白した。

 「なぜこんなことやるのかなっていう選手がいますよね。なぜこんなことやっちゃうのかなっていう選手いますよ。お前、何をしたいのかって。せっかくこんないい試合やっているのに、ひとつの動作でひとつの声でお前、ダメになってしまうぞって」

 その上でレスラーにとって大切なことを説いた。

 「選手から客に求めちゃうとダメでしょうね。選手が客から求められるものがリングの中にあるといいでしょうね。選手が客の方に求めると、こんなに体張ってやっているのに、そこでなぜお前の余分なことがいるのかって思いますね。何を客とやり取りしようとしているのか。そうすると笑いも出るだろうし。そんな笑いも起きるところでオレはくたばりたくもないし。選手が客に余計に求めちゃう。なんでそんなことするのかな。(観客に)こびるというよりやり取りをしようとするのか。こびたところで客にそれが分かるものじゃない。客はリングの中とやり取りしながら試合を見ている。それをなぜ受けちゃうのかなっていうものは、どこのあれでもある」

 いかに観客を引き付けるか。レスラーにとっての永遠のテーマを長州は、表現した。そして、それは師匠のアントニオ猪木(74)から学んだことだという。

 「ボクが言っていることは正しいとは思わないけど、ボクはただそう思っている。ボクはそうですね。(猪木)会長なんか何となく見ていて、こういうリングだから、こういうものをリングに打ち出している。決して客とは(やり取りは)ないですよね。だからあれだけのスーパースターになれたんだろうし、客は少しでも(猪木会長に)近づきたいと思っていた。その辺りのあの人の切り方ってスゴイですよね」

 その姿勢が猪木が標榜し新日本が掲げた「ストロングスタイル」なのか。

 「(ファンから)そうやって見えたのかもしれないし、(ファンは)そうやって見て楽しんだのかも。この仕事はお客さんは自由ですから」

 アマレスでミュンヘン五輪に出場し1974年に新日本に入門。以来、追いかけ挑み、そして確執も生じた猪木。今は1年に「何回かぐらい会うかな。元気な姿を見るとホっとしますよ」という。猪木から学んだことを聞くと「プロレスですよ」とたった一言だけ漏らすと表情をゆるめた。その中身を尋ねたが「言ったってわかんないですよ」と笑った。

 ただ、猪木についてこう表現した。

 「会長はプロレスの歴史がどのぐらいなのか分からないけど、ある意味、間違いなく歴史を作った人」

 そしてこう続けた。

。 「その反対の面にいたのが代表だしね」

 代表とは99年1月に亡くなったジャイアント馬場。長州が馬場、猪木の「BI両巨頭」への思いを明かした。(続く。敬称略)

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