「億万長者通り」で超高級物件転売の夢破れる-損失確定の取引続出

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The One57 skyscraper in the Midtown Manhattan.

Photographer: Machado Noa/LightRocket via Getty Images
  • ペントハウス売却価格が3600万ドル-14年の購入価格より29%安い
  • 差し押さえ競売でも「市場実勢の範囲内」-ジョナサン・ミラー社長

マンハッタンの超高級マンションタワー「ワン57」の79階1フロアを占めるペントハウスが差し押さえ競売で、2014年の購入価格を29%下回る価格で落札された。一時は際限なきぜいたくの象徴ともされた同タワーで、転売が利益を生まないパターンがまたもや繰り返された。

  6240平方フィート(約580平方メートル)のこのペントハウスは先週、3600万ドル(約41億円)で売られた。競売に参加した5人(貸し手を除く)の提示価格では最も高値だったが、ナイジェリアの実業家コラウォレ・アカンニ・アルコ氏が14年に購入した際の5090万ドルを下回った。

  ニューヨークの鑑定士ミラー・サミュエルがまとめたデータによると、ワン57での転売が損失につながるのは15年以降4回目。その中でも今回の値引き率は最大で、差し押さえ物件で想定される水準さえも上回った。不動産関連サイト、ストリートイージーのシニアエコノミスト、グラント・ロング氏が指摘した。 

  同氏は「超高級物件で手っ取り早く利益を上げられると思う人にとって、今回の転売は多くの疑問を生じさせることになるだろう。どれほど迅速に利益を上げられるのかという疑問が湧く」と述べた。

  09年に着工したワン57の超高級住宅は投資の格好の対象となり、販売が6カ月で10億ドルに達した。その成功は不動産開発業者を大いに刺激し、ウェスト57丁目は超高級マンションが並ぶ「億万長者通り」になった。今でも、ワン57が14年に取引完了した1億50万ドルの住宅販売はニューヨークで過去最高記録だ。

  だが、状況は変わった。高級マンションが増えるにつれ、金持ちは値下げを見込んで買い控えるようになった。ストリートイージーによれば、ワン57の65階のマンションは今年4月に2250万ドルで売られ、14年の購入価格を23%下回った。また、62階の物件を14年に3170万ドルで購入したオーナーはその6カ月後に3890万ドルで転売しようとしたが、昨年に結局2350万ドルで売却し、損失を出した。今回の競売は1500万ドルから始まり、最低10万ドルずつ引き上げられた。3000万ドルを超えても、大半の競売参加者は粘ったという。

  ミラー・サミュエルのジョナサン・ミラー社長は差し押さえ物件の競売でも、「物件を巡って複数が競い合ったなら、そこで決まる価値は信頼できるベンチマークだ」とし、「市場実勢の範囲内の取引に位置付けられる」と話した。

原題:One57 Foreclosure Shatters Price Dreams at Billionaires’ Tower(抜粋)

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ソフバンク、投資関係強化でサウジに最大2.8兆円投資へ-関係者

更新日時
  • サウジが建設する新都市NEOMやサウジ電力に投資へ
  • ソフトバンクの孫正義社長はサウジとの関係を強化

ソフトバンクグループは向こう3-4年でサウジアラビアに最大250億ドル(約2兆8400億円)を投資する計画だ。孫正義社長率いるソフトバンクはサウジとの投資関係を深める。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  ソフトバンクはサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が紅海沿岸に建設を計画する新しい都市「NEOM」に最大150億ドルを投じる計画。同社の1000億ドル規模の投資ファンドである「ビジョン・ファンド」も、再生可能エネルギーや太陽エネルギーといった電源を多様化する取り組みの一環として、サウジアラビア電力公社に最大100億ドルを投資する。情報は部外秘だとして関係者は匿名を条件に話した。ソフトバンクはまた、傘下企業の一部にNEOMでオフィスを開設させる方針だという。

孫正義社長
孫正義社長
Photographer: Pau Barrena/Bloomberg

  資源が減少する中で石油依存から脱却し経済の多角化を目指すムハンマド皇太子にとって、ソフトバンクによる投資計画は追い風となる。

  ソフトバンクの担当者はコメントを控えた。サウジアラビア電力公社の担当者は現時点でコメントはないと述べた。ソフトバンクの株価は16日の東京市場で一時2.1%高まで買い進まれた。

  孫氏はビジョン・ファンドでサウジの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)から今年、450億ドルの出資を受けて以来、同国との関係を強化している。PIFが先月主催した投資サミットにも孫氏は、金融界の重鎮と共に主要なゲストの1人として招かれていた。PIFに取材を試みたが現時点でコメントは得られていない。

  先月のビジネスサミットの発表資料によれば、サウジのNEOMプロジェクトには同国政府や政府系ファンド、国内外の投資家から5000億ドル余りの資金援助を得る見通し。計画では紅海に架かり新都市とエジプトなどアフリカ大陸を結ぶ橋も建設する。ヨルダンやエジプトにつながる都市の開発用地として1万平方マイル(2万5900平方キロ)を割り当てている。

  ソフトバンクは技術投資から資産運用に事業を拡大する中でサウジ投資を進める。同社は通信事業で得た資金を半導体設計の英アームやチャットサービス大手スラック・テクノロジーズ、協働オフィスのウィーワークに投資。孫氏はさらに、3000億ドル規模の資産運用部門を創設するため買収を模索しているとブルームバーグ・ニュースは9月に報じた。

原題:SoftBank Said to Plan Up to $25 Billion in Saudi Investments (3)(抜粋)

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