【長州力インタビュー〈1〉】来年1月14日、後楽園ホールでプロデュース興行を開催「リングの中が重くなればいい」
プロレスラー長州力(65)が来年1月14日、後楽園ホールでプロデュース興行「POWER HALL2018」を行う。長州の自主興行は2015年1月15日に後楽園ホールの「LEGEND」以来、3年ぶり。このほどスポーツ報知のインタビューに応じ、今回の大会、今のプロレス界、そして、アントニオ猪木(74)、故ジャイアント馬場の両巨頭、永遠のライバル、藤波辰爾(63)…今、革命戦士が思うことを明かした。スポーツ報知では3日間に渡り、長州の言葉を届けます。
長州が2018年に立ち上がる。自主興行まであと2か月。どんな構想を描いているのだろうか。
「どんなアイデア?って聞かれても、難しいですよね。プロレス自体がちょっと変わってきている。だからって言って、じゃぁ今度やるやつが違うのかって、そんなこともないだろうし、その辺がちょっと難しいなって思っている」
言葉を慎重に選びながら、1・18への考えを少しづつ絞り出した。その中で明かしたのが今のプロレスファンへの意識だった。
「だから、ファンがどの違いを見るのかなぁって、そういうところもちょっと懸念しているところですね」
1982年10月8日、後楽園ホール。6人タッグマッチで藤波へ突然、牙をむき革命戦士となった長州。「維新軍団」を率い長髪をなびかせ、リング上で体制に挑む姿勢は、昭和のプロレスファンの心をわしづかみにした。平成に入ってからは新日本プロレスの現場監督として東京ドームなど数々のビッグマッチをプロデュースしてきた。そして、今、新日本を中心に再びプロレス人気が復活している。そんな中、かつて声援を送った昭和のファン、さらに長州の全盛期を知らない今のファンにどんなメッセージを届けるのだろうか。
「まぁどうなるんですかね。こういうインタビューで(昔と今のプロレスは)いやぁ全然違うんだとかね、言ったところでやることは変わらないわけでね。プロレスはプロレスなんですよ。ただ、時代と共にプロレスの中身はどんどん変わってきているのは間違いない。じゃぁ、今のプロレスを、(自分は)今は完全に年を取っているし、じゃぁ若くてそれをやれって言ったってできるのかって、やれるっていう自信もないし、それぐらい今は違ってきているし。その中でこうやって(プロデュース興行を)打ち出してきたからどうやっていったらいいのか。少しぐらいリングの中が重くなればいいなということは考えていますよ。(ファンの)年代層も違ってきている。そういうところをちょっと頑張ってやってみようかなって。ただ、今のプロレスと今回のはそんなに違いはないと思いますよ」
伝えたいのはリングの重さ。ボディスラム一発で会場がどよめいたあの長州プロレスを今のファンに伝えたい思いを明かした。伝えたいのは、ファンだけではない。今、最前線で戦っているレスラーもそうだった。
「ずっと自分で見続けてきた選手たちがいる。こいつ重くて面白いなっていう選手がいるから、それは今、声をかけていますよ。重い個性を持った選手がいいんじゃないかなと思っている。自分から見ても頑張っている選手いるな、とそういう選手を使ってやりたいなという思いはありますよ」
現時点で参戦選手は未定でマッチメイクも決まっていない。ただ、長州が気になる選手に参戦を呼びかけたいという。今、最前線で戦う選手と長州の対決の可能性はあるのだろうか。
「あるかもしれないですね。対決というあれはないですから、肌を合わせるというか。やる所も後楽園ですから。昔みたいに両国とか国技館とかドームとかじゃないから。キャパが小さくなってきているから。ただ、名前が先に先行してできないよりは、名前が先行しない方がいい。昔だったら妥協したとこもあるんだろうけど、キャパに足を向けてもらうためにはそういうことも多々あったなぁと思ってね」
今の選手と肌を合わせる不安も率直に明かす。
「今はケガが多いからね、昔と違って。昔もケガでとんでもないことになった事故が起きたこともあったけど。最近多いでしょ。あんまり合わせ過ぎちゃうと怖いなっていうのはありますよ。ただ、今のファンの人たちはそういうものを楽しんで来る、見たいってファンの人たちもいる。一番いいのは何事も起きないで終わればいいなって思ってますよ」
今回のプロデュース興行は、長州が顧問を務める広告代理店「エス・ピー広告」が主催する元新日本のフロントで同社のだった武田有弘執行役員が大会を企画した。大会のテーマは?などの抽象的な質問には「こだわってない。そういうものを打ち出していこうというものはないし、どうのこうのってまったく(他と)違うんだっていうものはないんですよ。武田君がやってくれるから。いろいろアイデア出してやろうって。ボクには分かんないですよ」と明かす。どんなメッセージを届けたいのかを聞くと「メッセージって…そこまで重く考えてもないですよ。どういう風に今のファンの人たちからどう見てもらえるのか」と長州を知らない世代に「重さが伝わるプロレス」を感じて欲しい気持ちを繰り返し吐露した。
今年は藤波が主宰する「ドラディション」の興行など数試合に参戦した。テーマ曲「POWER HALL」が会場に鳴り響くとわき上がる歓声は65歳の今も色あせていない。
「今のボクはそこまでですよ。(リングの)中でどうのこうのって。そこまでですよ。自分が一番よく分かってますよ。自分のスタンスってよく分かっていますよ」
ただ、長州力がリングに上がる姿を見て今も勇気をもらう昭和のファンは多くいるだろう。
「ファンを無視しているわけじゃないですよ。そこまで考えて上がらないですよ。オレを見て頑張るってとんでもない話。いつも無事にリングから下りてこられてホッとしているだけですよ」
毎週4日間ほど都内の新日本道場でトレーニングは欠かしていない。
「道場で週4。2時間ぐらいですかね。ゆっくりやってますよ。健康のためにやっているだけで。本当に。安心感っていうか。ほっとするんですよ。疲れが気持ちいいんです。1週間も2週間もトレーニングしててない時は体調悪いなってなっちゃう。なるべく気持ち良く過ごすためには、道場行って汗を流せば気持ちいいですね。気持ちいい疲れでね。
新日本道場では、同じようにトレーニングに来ている坂口征二(75)=現新日本プロレス相談役=と会うこともある。
「坂口さんともたまに会いますよ。坂口さんもいろんな悪いところが出てきているから、なぜこんなに悪くなっているかって本人が一番分かっているから、道場行ってトレーニングしてるんじゃないですかね。それはいいことですよね。坂口さんと話してて楽しい。昔を振り返るような話題も多いし、あの時間帯は坂口さんにはいい時間じゃないですかね」
今の新日本の選手と道場で会うこともある。
「今の選手は、巡業とかで忙しいと思いますけど、合間を縫ってよくトレーニングしていますよ。永田(裕志)とか中西(学)とかは、よく会いますよ。よく練習している。あれで試合数が少なくなっているのかなぁって思って。もったいないなって思って」
そう明かすと今の新日本への思いを長州は続けた。(続く。敬称略)