東アジアの緊張続く、中国の策にはまった日米韓

トランプ氏は大統領ではなくやっぱり経営者だ

2017年11月16日(木)

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トランプ大統領の初のアジア歴訪は成功と言えるのか(写真:The New York Times/アフロ)

 トランプ大統領は11月14日、初のアジア歴訪を終えて帰途についた。とりわけ9日の米中首脳会談の内容は、日本のマスメディアの予想が大きく外れた展開となった。僕の予想も大外れだった。そのせいで、翌日の新聞各紙には批判的な見出しが並んでいた。

 朝日新聞は「巨額商談、かすむ『北朝鮮』」。東京新聞は「米中首脳会談 利害優先、違い封印」。毎日新聞は「理念失うトランプ外交」。読売新聞は「米中首脳会談『北』への危機感にズレがある」と報じている。

 トランプ氏は、日本、韓国を訪れた時は、「北朝鮮に対する圧力を最高限度まで強める」と強調していた。安倍晋三首相も、韓国の文在寅大統領も、それに対し「完全に一致した」と表明した。

 当然ながらトランプ氏は、最高限度まで圧力をかけるその先には、武力行使も視野に入れている。安倍首相は、それにも同意した。

 その中で、韓国で一つ理解し難いことがあった。文在寅氏とトランプ氏の7日の晩餐会で、元慰安婦の女性が招待されて、「独島エビ」を使った料理が出されたことだ。

 トランプ氏が、日韓米で完全に同一歩調で北朝鮮に対峙すべきだと言っているところで、韓国はわざわざ日韓の間に溝を作ったのだった。これらの行動は謎だったが、中国との関係改善に向けた動きだと言われている。後で触れるが、これは日米韓の3国合同演習を韓国が拒否したことにも繋がっている。

 トランプ氏は、日本と韓国を訪問した時に「北朝鮮の圧力を最大限に高める」と主張していたが、日韓は圧力をかける具体的な手段を持っていない。

 一方、中国は立場が全く異なる。中国は、北朝鮮に圧力をかける具体的な手段を持っているのだ。例えば、北朝鮮の貿易は、約9割が中国との取引である。もし、中国がこれを完全にシャットアウトすれば、北朝鮮経済は破綻する。

 あるいは、中国が北朝鮮に原油を送り込むためのパイプを閉めてしまえば、北朝鮮の国民の生活は成り立たなくなる。中国が本気になれば、北朝鮮は核廃棄も認めざるを得なくなるだろう。

 その点から、米中首脳会談の行方は全世界に注目されていた。トランプ氏は北朝鮮に対する圧力について、どこまで習近平に迫るのか。習近平は、どのように対応するのか。

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「東アジアの緊張続く、中国の策にはまった日米韓」の著者

田原 総一朗

田原 総一朗(たはら・そういちろう)

ジャーナリスト

1934年滋賀県生まれ。早大文学部卒業後、岩波映画製作所、テレビ東京を経て、フリーランスのジャーナリストとして独立。「朝まで生テレビ!」「サンデープロジェクト」等のキャスターを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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小澤 竹俊 めぐみ在宅クリニック院長