米 バノン前首席戦略官 中国に圧力で北朝鮮の非核化を

米 バノン前首席戦略官 中国に圧力で北朝鮮の非核化を
アメリカのトランプ政権で、一時は「陰の大統領」とも言われたバノン前首席戦略官が、NHKの単独インタビューに応じ、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への対応について、「中国に圧力をかけ続けることが、北朝鮮の非核化につながる」と述べ、中国が、石油の禁輸措置など圧力を強化すべきだという認識を示しました。
トランプ大統領の元側近で、一時は「陰の大統領」とも言われた保守強硬派のバノン前首席戦略官が、日本を訪問し、15日都内でNHKの単独インタビューに応じました。

バノン氏は、ホワイトハウス内の路線対立で混乱が続く中、ことし8月に解任されましたが、トランプ大統領との関係について、「今でも数日に一度は連絡を取り、大統領執務室内でのやり取りについて、意見交換している。トランプ大統領を尊敬しており、非常に良好な関係だ」と述べました。

そしてバノン氏は、日米同盟について「日本は最も古い同盟国だ。トランプ政権が掲げるインド・太平洋地域を守る戦略とは、アメリカと、日本、オーストラリア、インドの海洋国家が、封じ込めとまでは言わないが、中国を包囲するものだ」と述べ、アジアで影響力を高めている中国をけん制するうえで日米同盟が重要だと強調しました。

また核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への対応について、「北朝鮮情勢は、こう着しているわけではない。トランプ大統領は、北朝鮮問題の解決に向けたプロセスに関与している」と述べました。
そのうえで、「すべての選択肢は、テーブルの上にあるが、私は、直接的な軍事行動はとても限られていると思う。北朝鮮は中国の従属国だ。アメリカと中国との直接交渉で対応すべきで、中国に圧力をかけ続けることが、北朝鮮の非核化につながる。それは中国の利益にもなる」と述べたうえで、中国が、北朝鮮に対して、石油の禁輸措置など圧力を強化すべきだという認識を示しました。

またトランプ政権が、TPP=環太平洋パートナーシップ協定からの離脱を表明したことについて、「私は、TPPに強く反対する。もともとのTPPのままなら、アメリカが参加することはない」と述べ、現状では、TPPに復帰することはないという考えを示しました。
そのうえで、「貿易関係は、互恵的なバランスが必要だ。トランプ大統領が掲げるアメリカ第一主義は、多国間の協定ではなく、2国間のパートナーシップを求めることだ。日本や韓国との貿易協定に焦点が当てられるだろう」と述べ、2国間での交渉を進め、貿易赤字の解消を目指すべきだと主張しました。

一方バノン氏は、トランプ大統領と安倍総理大臣との関係について、「私がホワイトハウスにいたときも2人は、別荘やゴルフ場で時間を過ごし、とても近い存在だと思う。世界のどの首脳よりも、安倍総理大臣と会っており、特別な絆がある。オバマ前大統領は、アジア重視政策を掲げていたが多くのことは達成できず、トランプ大統領のこの9か月の方が、安倍総理大臣などと関係を強化し、進展があった」と述べました。

バノン前戦略官とは

スティーブン・バノン氏は、南部バージニア州出身の63歳。
ホワイトハウスの前の首席戦略官として、トランプ政権で強い影響力を発揮し、一時は、「大統領の最側近」とか「陰の大統領」とも言われ、雑誌タイムの表紙ではトランプ大統領を背後から操る「偉大な操縦者」とも紹介されました。

バノン氏は、大学を卒業したあと、海軍への入隊を経て、アメリカの大手金融機関、ゴールドマン・サックスなどに勤務しました。その後、白人至上主義的な論調が目立つ保守系ニュースサイト、「ブライトバート」の会長に就任しました。

バノン氏は、去年のアメリカ大統領選挙でトランプ陣営の選挙対策本部の責任者を務め、TPP=環太平洋パートナーシップ協定からの離脱に代表される保護主義的な貿易政策や、強硬な不法移民対策などを訴えたトランプ大統領に大きな影響を及ぼし、勝利の立役者となりました。

また、過激な言動でも知られ、「ヨーロッパでイスラム教徒による侵略が起きている。キリスト教徒は滅びつつある」とか「アメリカは、5年後、10年後に南シナ海で中国と戦争に突入する」などと発言していました。

トランプ政権が発足すると、ホワイトハウスの首席戦略官として、中東など7か国の人の入国を禁じる大統領令や、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの脱退などを主導しました。

一方で、保守強硬の路線とは一線を画す、トランプ大統領の長女イバンカ氏の夫、クシュナー上級顧問や、安全保障担当のマクマスター補佐官などと対立を深めました。さらに、ことし8月にバージニア州で白人至上主義などを掲げるグループとこれに抗議するグループが衝突した事件をめぐって、白人至上主義的な立場を取るバノン氏の更迭を求める声が高まりました。

こうした状況を受け、トランプ大統領はことし8月18日にバノン氏を解任しました。バノン氏はその直後に保守系ニュースサイト、「ブライトバート」の会長に復帰しましたが、バノン氏が解任されたことについて、「ブライトバート」は、「トランプ政権の終えんの始まりとなる可能性がある」と伝えています。

9月に入ると、バノン氏は中国を訪れ、習近平国家主席の信頼が厚く当時最高指導部の政治局常務委員だった王岐山氏と会談したり、UAE=アラブ首長国連邦を訪れてアブダビ首長国の皇太子と面会したりしたと報じられました。

また、バノン氏は共和党の主流派がトランプ大統領の選挙公約の実現を阻んでいると主張していて、来年の中間選挙では、共和党の候補者に、党主流派ではなくトランプ氏の考えに近い人物を擁立しようとする動きを見せています。

アメリカのメディアは、「バノン氏は、依然としてトランプ大統領と言葉を交わす関係であり、政権への影響力を保っている」とか、「ことし9月にトランプ大統領が国連総会で行った演説も、バノン氏が助言したという話がある」などと伝えており、バノン氏の動向は高い関心を集めています。
米 バノン前首席戦略官 中国に圧力で北朝鮮の非核化を

米 バノン前首席戦略官 中国に圧力で北朝鮮の非核化を

アメリカのトランプ政権で、一時は「陰の大統領」とも言われたバノン前首席戦略官が、NHKの単独インタビューに応じ、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への対応について、「中国に圧力をかけ続けることが、北朝鮮の非核化につながる」と述べ、中国が、石油の禁輸措置など圧力を強化すべきだという認識を示しました。

トランプ大統領の元側近で、一時は「陰の大統領」とも言われた保守強硬派のバノン前首席戦略官が、日本を訪問し、15日都内でNHKの単独インタビューに応じました。

バノン氏は、ホワイトハウス内の路線対立で混乱が続く中、ことし8月に解任されましたが、トランプ大統領との関係について、「今でも数日に一度は連絡を取り、大統領執務室内でのやり取りについて、意見交換している。トランプ大統領を尊敬しており、非常に良好な関係だ」と述べました。

そしてバノン氏は、日米同盟について「日本は最も古い同盟国だ。トランプ政権が掲げるインド・太平洋地域を守る戦略とは、アメリカと、日本、オーストラリア、インドの海洋国家が、封じ込めとまでは言わないが、中国を包囲するものだ」と述べ、アジアで影響力を高めている中国をけん制するうえで日米同盟が重要だと強調しました。

また核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への対応について、「北朝鮮情勢は、こう着しているわけではない。トランプ大統領は、北朝鮮問題の解決に向けたプロセスに関与している」と述べました。
そのうえで、「すべての選択肢は、テーブルの上にあるが、私は、直接的な軍事行動はとても限られていると思う。北朝鮮は中国の従属国だ。アメリカと中国との直接交渉で対応すべきで、中国に圧力をかけ続けることが、北朝鮮の非核化につながる。それは中国の利益にもなる」と述べたうえで、中国が、北朝鮮に対して、石油の禁輸措置など圧力を強化すべきだという認識を示しました。

またトランプ政権が、TPP=環太平洋パートナーシップ協定からの離脱を表明したことについて、「私は、TPPに強く反対する。もともとのTPPのままなら、アメリカが参加することはない」と述べ、現状では、TPPに復帰することはないという考えを示しました。
そのうえで、「貿易関係は、互恵的なバランスが必要だ。トランプ大統領が掲げるアメリカ第一主義は、多国間の協定ではなく、2国間のパートナーシップを求めることだ。日本や韓国との貿易協定に焦点が当てられるだろう」と述べ、2国間での交渉を進め、貿易赤字の解消を目指すべきだと主張しました。

一方バノン氏は、トランプ大統領と安倍総理大臣との関係について、「私がホワイトハウスにいたときも2人は、別荘やゴルフ場で時間を過ごし、とても近い存在だと思う。世界のどの首脳よりも、安倍総理大臣と会っており、特別な絆がある。オバマ前大統領は、アジア重視政策を掲げていたが多くのことは達成できず、トランプ大統領のこの9か月の方が、安倍総理大臣などと関係を強化し、進展があった」と述べました。

バノン前戦略官とは

スティーブン・バノン氏は、南部バージニア州出身の63歳。
ホワイトハウスの前の首席戦略官として、トランプ政権で強い影響力を発揮し、一時は、「大統領の最側近」とか「陰の大統領」とも言われ、雑誌タイムの表紙ではトランプ大統領を背後から操る「偉大な操縦者」とも紹介されました。

バノン氏は、大学を卒業したあと、海軍への入隊を経て、アメリカの大手金融機関、ゴールドマン・サックスなどに勤務しました。その後、白人至上主義的な論調が目立つ保守系ニュースサイト、「ブライトバート」の会長に就任しました。

バノン氏は、去年のアメリカ大統領選挙でトランプ陣営の選挙対策本部の責任者を務め、TPP=環太平洋パートナーシップ協定からの離脱に代表される保護主義的な貿易政策や、強硬な不法移民対策などを訴えたトランプ大統領に大きな影響を及ぼし、勝利の立役者となりました。

また、過激な言動でも知られ、「ヨーロッパでイスラム教徒による侵略が起きている。キリスト教徒は滅びつつある」とか「アメリカは、5年後、10年後に南シナ海で中国と戦争に突入する」などと発言していました。

トランプ政権が発足すると、ホワイトハウスの首席戦略官として、中東など7か国の人の入国を禁じる大統領令や、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの脱退などを主導しました。

一方で、保守強硬の路線とは一線を画す、トランプ大統領の長女イバンカ氏の夫、クシュナー上級顧問や、安全保障担当のマクマスター補佐官などと対立を深めました。さらに、ことし8月にバージニア州で白人至上主義などを掲げるグループとこれに抗議するグループが衝突した事件をめぐって、白人至上主義的な立場を取るバノン氏の更迭を求める声が高まりました。

こうした状況を受け、トランプ大統領はことし8月18日にバノン氏を解任しました。バノン氏はその直後に保守系ニュースサイト、「ブライトバート」の会長に復帰しましたが、バノン氏が解任されたことについて、「ブライトバート」は、「トランプ政権の終えんの始まりとなる可能性がある」と伝えています。

9月に入ると、バノン氏は中国を訪れ、習近平国家主席の信頼が厚く当時最高指導部の政治局常務委員だった王岐山氏と会談したり、UAE=アラブ首長国連邦を訪れてアブダビ首長国の皇太子と面会したりしたと報じられました。

また、バノン氏は共和党の主流派がトランプ大統領の選挙公約の実現を阻んでいると主張していて、来年の中間選挙では、共和党の候補者に、党主流派ではなくトランプ氏の考えに近い人物を擁立しようとする動きを見せています。

アメリカのメディアは、「バノン氏は、依然としてトランプ大統領と言葉を交わす関係であり、政権への影響力を保っている」とか、「ことし9月にトランプ大統領が国連総会で行った演説も、バノン氏が助言したという話がある」などと伝えており、バノン氏の動向は高い関心を集めています。