横綱日馬富士に「ビール瓶による暴行」容疑

明治神宮で土俵入りを披露する日馬富士(2014年1月) Image copyright Getty Images
Image caption 明治神宮で土俵入りを披露する日馬富士(2014年1月)

儀礼を重んじる日本の相撲界は、横綱が仲間の力士の頭をビール瓶で殴り暴行するという新たなスキャンダルに揺れている。

暴行を認めた日馬富士(33)は、「迷惑をかけた」と謝罪。日馬富士は9回の優勝に輝くモンゴル人力士。日本相撲協会によると、被害を受けた貴ノ岩(27)は5日間入院していた。

日本のメディアによると酒席での出来事だったという。

相撲協会幹部はAFP通信に対し、正確に何が起こったかはまだ確認されていないと語った。

自身もモンゴル人の貴ノ岩は、頭蓋(ずがい)底骨折などのけがを負ったという。貴ノ岩は元横綱の貴乃花親方率いる部屋に所属しており、貴乃花親方が警察に被害届を提出したと共同通信は伝えている。

相撲協会執行部は14日、日馬富士と所属部屋の伊勢ケ浜親方を聴取した。

横綱は公の場で謝罪したが、事件の状況については言及していない。

日馬富士は記者団に対し、「貴ノ岩のけがについて、貴乃花親方、貴乃花部屋の後援会の関係者の皆さま、相撲協会、そしてうちの(伊勢ケ浜)親方に大変迷惑をかけたことを、深くおわび申し上げます」と話した。

日馬富士と伊勢ケ浜親方は14日、相撲協会執行部の聴取を受けた Image copyright AFP
Image caption 日馬富士と伊勢ケ浜親方は14日、相撲協会執行部の聴取を受けた

体重137キロの日馬富士は、力士としては比較的小さい方だとみなされるものの、技術力が高く評価されている。

相撲は、古来から神社で披露された神道の儀式から始まった。このため日本の相撲ファンは力士たちに対し、厳しい規律を守り、品行方正な態度を取ることを期待する。

力士たちは勝利後、土俵で喜びを顔に出さないことを求められ、厳しい階級制度が存在する。

しかし角界が土俵外でスキャンダルや暴力沙汰の打撃を受けたのは、この一件が初めてではない。

2007年には10代の序ノ口力士が親方と複数の兄弟子から暴行を受けた後、死亡した。この元親方は傷害致死罪で懲役5年の実刑判決を受けた。

この事件が、角界の厳しい階級制度にあったいじめやしごきの風潮を明るみにした。

報道によると2016年には別の親方と力士が、元力士の男性を暴行して失明させたとして約3200万円の損害賠償の支払いを命じられた。

2010年には力士と暴力団との癒着の疑惑、さらには横綱朝青龍が東京で泥酔して暴力を振るったされる問題で現役を引退した。また翌年には八百長問題が発覚した。

(英語記事 Sumo champ Harumafuji investigated over 'bottle assault'

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