マクロン仏大統領、トランプ氏とプーチン氏を拒絶すべきでないと警告
ルーシー・ウィリアムソン、パリ特派員
フランスのエマニュエル・マクロン大統領はBBCとのインタビューで、ドナルド・トランプ米大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領について、寛大さと寛容さを尊ぶ西洋諸国の価値観を脅かしているとしつつも、両指導者を孤立させるのは欧州にとって逆効果だと述べた。
訪問先のアラブ首長国連邦の首都アブダビでインタビューに応じたマクロン大統領は、「もしトランプ氏とプーチン氏を『私たちの価値観を裏切っている』として欧州とその価値観から拒絶しようとすれば、彼らを失ってしまうだろう」と述べた。
多くの人々が、米露の指導者がリベラルで「エリート的」な価値観を受け入れようしていないと考えている。
マクロン氏は先週末、仏ルーブル美術館のアブダビ別館のオープニングに出席した。マクロン氏は新しい美術館を、この地域の寛容さと多様性の象徴だと呼んだ。
「私たちはムスリム(イスラム教徒)の世界で発生している、あらゆる紛争や戦いの中心地にいます。開かれたイスラム教を守る人たちを支援することが、私にとって非常に重要だ」
マクロン氏は、西洋諸国がその価値観とアイデンティティーを取り巻く「壮大な物語」を放棄するという過ちを犯したという。フランスには、国外でそれらを守る役割があったとした。
欧州の「物語」を切望
「共通の物語、共通の目標、共通の想像力が必要」だとマクロン氏は語った。「それがダーイッシュ(ISの別称)の強みで、死の誓約だった。私が過去十年の欧米社会と欧米諸国の問題点の一つだと考えているのは、想像力、野望、展望を捨ててしまったことだ」
マクロン氏はさらに、「単一市場、金融市場、労働市場の改革、予算見通しに夢中になる人はいない」とし、「(人々は)大きな物語に突き動かされる」と指摘した。
マクロン氏はプーチン大統領のような指導者が異なる道を選択をしたのは、「被害妄想、脅迫(されているという意識)、何かを守ろうという意欲」のためであるものの、プーチン大統領が忘れているのは、一部のロシア文化では開放性が非常に重要で、ロシアの未来が欧州と直結していることだと述べた。
今年5月に大統領に就任したマクロン氏は、フランスの経済、社会、さらにはアイデンティティーをも変革すると約束して当選。以来、マクロン氏は海外訪問を28回行い、欧州連合(EU)が共同の展望を持ち、その恩恵が広まるようにするべく、新たな提案をしている。