視点・論点「本を読む楽しみ」[字] 2017.11.09

911月 - による admin - 0 - 未分類

読書の秋と言いますが皆さんは読書を楽しんでおられますか?私は幼い頃からの活字好きが高じて読書が好きになりました。
現在は読むだけでなく小説やエッセーを執筆したりテレビや新聞雑誌などでお薦めの本を紹介したりしています。
私がご紹介した本を読みたくなったあるいは書店で買ったり図書館で借りて読みましたという声を聞くととてもうれしく思います。
読書というのは一人で行う個人的な楽しみです。
ですからご紹介した本が読まれる事は誰かと本を読む喜びを分かち合える一歩になります。
本を読む喜びを分かち合う。
それは一人で行う読書が誰かとのコミュニケーションへとつながる時です。
以前私が出演していたNHKBSプレミアム「週刊ブックレビュー」という番組で同じ本を出演者5人で評し合うコーナーがありましたが同じ本でも読む人によってこんなに捉え方が違うのかと多くの刺激を受けました。
人の個性というのはその人の見た目ではなく読んだ本の感想に出るのではと思います。
こんなふうに読む人の心があらわになる読書は限られた人の趣味となって久しいです。
なぜなら読書は簡単なものではなくそれなりの努力がなければできません。
こちらのグラフをご覧下さい。
2016年5月小学4年生から6年生中学生高校生の1か月間に読んだ書籍の平均冊数です。
小学生が11.4冊。
中学生が4.2冊。
高校生では1.4冊でした。
学年を追うごとに冊数が減っています。
小学生が特に多いのは学校で行われる朝の読書時間の影響が大きいと思われますが中学高校になると勉強や友達との時間他の娯楽など忙しくて読書をしている暇がないからかもしれません。
先ほど申したように読書には努力が必要で決して楽な娯楽ではありません。
読むという行為は受動的なものではなく読むという意志を持って読み進めないとページは進まないものです。
これが映画やテレビやゲームなら自分が何をしなくても勝手に進んでいきます。
ここに読む事とそうでない娯楽の大きな違いがあります。
そして読むのは習慣になる事でだんだんと読み上手になっていきます。
そういう意味では毎日のように読書する小学生は読み慣れているから冊数も多い。
しかし一旦読書が習慣から外れると読む事から遠のいてしまう。
読書は好きな人だけがすればよいそんな面倒な事はしたくないという方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん本を読まなくても生きていけますが本を読まないままなのはもったいない。
本は身近にあって何度も楽しめるそして思わぬ力をくれる。
そんな本の力と読書の楽しみをお伝えしたいと思います。
まず読書の楽しみは読む前から始まっています。
皆さんは書店で図書館で本を選ぶ際どういう基準で選ばれていますか?タイトル装丁何となく手に取った。
さまざまな理由があるかと思います。
私が小学生の頃は表紙を見て冒頭を少し読んで「あ自分でも読めそう」と確認して選んでいました。
振り返ってみると「自分でも読めそう」と思うポイントは2つあって1つは表紙が親しみやすいか。
もう1つは使われている漢字が読めるかどうかでした。
自分の漢字レベルでその本が自分と合ってるかを探っていたんですね。
本が難解すぎると読み進める事ができなくなるし簡単すぎると読む気力がそがれる。
自分と本の相性が合わないと読書自体嫌いになってしまう事があるので気をつけなければなりません。
現在も本を選ぶ際は頭を働かせます。
今の自分の問題意識や興味のあるもの考えている事によって手の伸びる本が決まってくる。
読書は読む前から始まっているのです。
次に実際に読む段階に入るとひたすら読むだけなんですがここでつまずいてしまうのは力が足りていないからだと思います。
本を読むには大きな力が必要です。
読解力集中力そして想像力。
この3つを合わせたものを私は「読書力」と呼んでいますがこの力は読書する時だけでなく生きる上で大きな支えになってくれるもので読む事で読書力は鍛えられていきます。
ここで1つご紹介したい本があります。
現代詩作家の荒川洋治さんが書かれた「昭和の読書」という本の中から読書に関する一節を引いてみます。
読書を続ける事が観察心を養う事につながるとおっしゃっています。
今お話ししたのは読書を続けてきた私の実感ですので本は楽しく読んで頂くだけで全くかまわないのですが個人的に読書について不思議な経験があります。
私は20代前半心身ともに不調の状態に陥っていた時に偶然手にした本によって徐々に落ち込みから脱する事ができました。
これは悩む人にだけ分かる示唆というようなものを本から受け取っているのだと思います。
読書という行為は山登りに似ています。
一歩一歩登り道を歩いていくように本を攻略していく。
その本を読む理由は特別になくても読み終えた時に自分だけの達成感が残ります。
その時に自分の抱えている問題やそれに伴う感情が浄化されていく。
私は何度もそういう経験をしました。
自分で選んだ本を自分で読む。
読書とは自分の問題を自分で解決する事なのかもしれません。
なかなか読み進められないという方には併読をお薦めしています。
気になる本をいくつか手に入れて場面によって読む本を替えて同時に読み進める方法です。
読むペースは気にせずにまずは楽しんで下さい。
移動が多い方は軽くて安価な文庫本はどうでしょうか。
寝る前はゆったりとしたエッセー気分転換にミステリーなどこうして読むと1冊の本で飽きる事なくまた常に文字に触れる事で読む事にもどんどん慣れていきます。
本は持ち歩けて充電のいらない娯楽です。
2017/11/09(木) 04:20〜04:30
NHK総合1・神戸
視点・論点「本を読む楽しみ」[字]

女優、作家…中江有里

詳細情報
出演者
【出演】女優、作家…中江有里

ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
情報/ワイドショー – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 1/0モード(シングルモノ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:34253(0x85CD)