ジンバブエ 放送局占拠、クーデターか 副大統領解任反発
【ヨハネスブルク小泉大士】ロイター通信によると、アフリカ南部ジンバブエの首都ハラレで14日夜から15日未明にかけ、国軍兵士が国営放送局を占拠した。首都には軍の装甲車両が展開し、ムガベ大統領(93)の自宅周辺で銃撃戦が発生したり、市内で爆発音が聞こえたりしたとの情報もある。ムガベ氏が自身の後継問題を巡りムナンガグワ第1副大統領を解任したことを受け、反発した軍がクーデターを起こしたとの観測が強まっている。
ムガベ氏は6日、「不誠実な態度を取った」としてムナンガグワ氏を解任。国軍のチウェンガ司令官は13日、軍幹部ら90人とともに記者会見し「粛清をやめなければ軍は介入せざるを得ない」と異例の声明を発表した。
与党ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)はムガベ氏らに事実上の警告を発したとみられる国軍司令官を「反逆行為だ」と激しく批判。14日午後、ハラレ近郊で戦車や装甲車が目撃されるなど、緊張が高まっていた。
在ジンバブエ米国大使館は15日、全職員に自宅待機を命じた。
ムガベ氏は1980年の独立以来、実権を握り続けている世界最高齢の首脳で、2018年の大統領選挙で7選を目指している。ムガベ氏には体調不良説が絶えず、ムナンガグワ氏とムガベ氏の妻グレース氏(52)による後継レースが激化。ムナンガグワ氏の解任により、グレース氏が「ポスト・ムガベ」の最有力候補に浮上したがムナンガグワ氏を支持する勢力は反発していた。
ジンバブエは経済が著しく疲弊するなど混乱状態が続く。野党弾圧によって長期政権を続けるムガベ氏は、欧米などから「独裁的だ」と批判されてきた。