聞きかじり垂れながし

みんなでツッコめ粗探し

日馬富士は外傷性脳症によって暴行事件を起こした可能性も考えるべきだ

ワイドショーを見ていると、日馬富士の暴行について彼個人や朝青龍の暴行事件とからめた当人の素行問題としてフォーカスし過ぎている感じがする。相撲協会についても横綱の品格がどうこうという話しになって日馬富士に厳しい処分を下すようだが、暴行事件を未然に防ぐ対策をしているのだろうか。力士の暴行事件を個人の問題として放置している気がしてならない。

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コンタクト系スポーツの選手は脳へのダメージを蓄積している 

相撲という巨体同士を真正面からぶつけて強さを競うスポーツは、脳へのダメージもかなりのものとなる。しかし脳自体のダメージについて本人は気づかないことがよくあり、脳しんとうを起こしてもダウンから立ち直る時間はほんの数秒程度で、すぐに立つことができれば本人も周りで見ている人も深刻には受け止めない。

僕自身も格闘技の練習中に脳しんとうを起こすことはあるが、そのダメージについて練習をストップする程なのかどうか聞かれたら「大した事はない」と即答するだろう。

※双方合意の上での練習です。

掲載した動画の赤い面を付けているのが僕で、打ち合いの後にバックハンドブロー(裏拳)と膝蹴りを食らったところで片足タックルを仕掛けている。

一連の流れから何でもないように見えるが、実際には7秒あたりで仕掛けられたバックハンドブローにより脳しんとうを起こしており、意識はあるが足に力が入らず立っていられない状態となる。しかしすぐ膝蹴りがきたので、その後の攻撃を防ぐためにタックルに入った。誰も僕が脳しんとうを起こして立っていられない状態になっているとは気づかないだろう。

さて、僕はこの練習を週1回という低頻度で行っているのと、双方手加減しているので日常生活に支障をきたすほどのダメージは無いのだが、これが毎日何時間も練習をしているトッププロになると、脳へのダメージは日常生活に影響があっても不思議はない。

 

自殺したアメフト選手の脳

 アーロン・ヘルナンデスというアメフト選手が婚約者の妹の恋人を射殺した事件により終身刑となった後、刑務所内で自殺したという事件があった。

gigazine.net

殺人事件で逮捕され2017年4月に刑務所内で自殺した元アメリカンフットボール選手の脳を切り開いて調査したところ、行動や意志決定をコントロールする部位を大きく損傷していたことが分かりました。
ボストン大学の医師らはヘルナンデスの脳をスキャンした画像を公開し、慢性外傷性脳症(CTE)の状態であったことを報告。

医師らによるとヘルナンデスの脳は、よい行動の選択や意志決定に影響を与える前頭葉に大きなダメージを受けており、脳の萎縮やタウ・タンパク質に関連した影も見られたとのこと。ワシントンポストは、新しいスライドが表示されるとカンファレンスに出席していた医師らが息を飲む場面もあったと伝えています。

病理学・神経学の教授であるアン・マッキー医師は、「CTEの患者は衝動のコントロールや意志決定、攻撃を抑制すること、感情の移りかわり、怒りなどを制御するのが難しいのです」とカンファレスで語りました。

コンタクト系スポーツをプロとしてやる以上、脳へのダメージはまず避けられない。そして現実問題として脳に大きなダメージを負ったために感情および攻撃性をコントロールできないことが医学的に証明されている。それなのに選手による暴行事件を一個人の素行問題として糾弾するだけで良いはずがない。

 

慈恵医科大学が開発したアプリで脳しんとう対策

プロ選手なら定期的に脳CTを受けて欲しいところだが、大学の部活や社会人の趣味として行われる場合、定期健診というわけにはいかないだろう。そこで僕が完成を待ち望んでいるのが、慈恵医科大学などの研究チームがスポーツ選手の脳しんとうの状況を現場で記録できるアプリの完成だ。

yomidr.yomiuri.co.jp

脳しんとうは、頭や首などに力が加わり一時的に精神混乱や意識消失などを起こす。何度も繰り返したり、短期間に続けて起きたりすると、脳に後遺症が残る危険性が高まるため、起きた後の管理が大切になる。

同部のチームドクターで慈恵医大准教授の高尾洋之さん(脳神経外科)は、スマートフォンやタブレット端末で脳しんとうの程度を記録できるアプリをIT企業と開発。アプリは、衝突後のふらつきや頭痛など選手に異常が見られた時、まず現場のマネジャーらが使う。「意識消失はあったか」「話はできるか」などの項目に沿って情報を入力。医師は手元のスマホで大まかな様子をチェックでき、応急的な処置も指示できる。

その後の情報共有にも使える。脳しんとうの選手を診察した医師は、練習や試合出場の可否を入力。監督はその情報に基づき、選手の起用を判断する。選手も、自身の状態とリハビリの方法などをアプリで確認。万全な状態になってようやく復帰できる仕組みだ。

上記のアプリ説明では直接医師と連携した大がかりなものとなっているが、個人や小さな社会人サークルでも使えるように、診断項目による危険度判定だけ抽出したアプリとなって欲しい。

特にコンタクト系スポーツは指導者自身が根性論者になりやすく、少しくらい脳しんとうを起こしても気合いと根性で何とかなると思っている人もいるので、アプリによる客観的な指標で休ませるか練習を継続させるかの判断材料として役立つはずだ。

 

選手やコーチが気づけない脳のダメージについて上層部は対策を取るべき

この記事を書いている僕自身、これから先の練習でも同様のダウンをしたところで練習を中断することは無いだろう。ましてや力士などトッププロが生活の糧として練習や試合をする以上、誰の目にも問題ないようであれば絶対に休むという選択はしない。こうして頑張れば頑張るほど脳へのダメージは蓄積してゆく。

暴行や殺人事件が起きたとき本人の素行問題として責められるが、相撲協会など上層部は処分や厳罰をくだす前に、選手の心身がどのような状態か把握して適切な処置をすべきだし、予防策として神経科やメンタルコーチと連携すべきだ。

 

 

アンガーマネジメントで豊田真由子議員の怒りを制御できるとは思えない

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