2017年11月15日 06:00
サービス名 | Adobe Fill & Sign |
提供元 | Adobe Systems |
料金 | 無料 |
登録 | 不要 |
URL | https://helpx.adobe.com/jp/document-cloud/help/fill-and-sign.html |
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.adobe.fas(Google Play) | |
https://itunes.apple.com/jp/app/id950099951(App Store) |
スマートフォンでメールをチェックしていると、「必要事項を記入の上、署名または捺印して返信してください」とされたPDFなどの申し込み用紙を見ることがあります。急いで返信したいけれど、スマートフォンしかない状態でどうしたらいいでしょうか? PCがあるときも、PDFを印刷してから必要事項を記入して、署名または捺印して、それをまたスキャンしてメールに添付するとなると、スキャナーとプリンターが必要です。
本連載では以前、いくつかのスキャナーアプリを紹介していますが、プリンターでの出力はどうすればいいでしょう? コンビニの複合機を使ったプリントサービスを使う手もありますが、申し込み用紙1枚のために、わざわざ足を運ぶのも面倒です。そんなときは「Adobe Fill & Sign」の出番です。
スマートフォンだけで書類に記入、手書きの署名も入れられる
Adobe Fill & Signは、PDFファイルや画像ファイルに直接記入して、手書きの署名やイニシャルが添えられるアプリです。Android版とiOS版が用意されています。
例えば、紙の申し込み用紙をスキャンしたPDFファイルがメールに添付されてきたとします。これに、氏名、社名、連絡先などの必要事項を書き加え、手書きのサインやイニシャルも付けて、再びメールに添付して返信する、といった作業が、スマートフォンだけで可能になるのです。
作業そのものは、写真に文字を書き加えたり、落書きするのにも似ています。Adobe Fill & Signでは、画像に加えてPDFファイルにも書き込みや署名が行え、スムーズに書類を作成できるのが特徴です。
利用にはユーザー登録は不要ですが、すでにAdobe IDを持っているなら、サインインすればアプリ内で作成するプロファイルをクラウド上に保存することで、「Adobe Acrobat」や「Adobe Document Cloud」からもPDFへの書き込みや署名を付加する機能を利用できるようになります。
申し込み用紙によくある項目はすべて攻略できる
入力フォームは、メールに添付されたPDFファイルや画像だけではありません。Adobe Fill & Signでは、「ファイルブラウザー」「Web URL」「Web検索」「カメラロール」「写真を撮る」「電子メール添付ファイル」のいずれかを選択して入力フォームとして扱えます。
アプリはスキャナー機能を内蔵しており、紙の記入用紙をデジタル化できるほか、ギャラリー内の画像にも文字を記入することができます。手書きが苦手なら、紙の書類をデジタル化したほうが楽なのは間違いありません。
内蔵のスキャン機能は、撮影後には自動的にトリミングや補正ができます。枠の検出が甘い場合は、ほかのスキャナーアプリ同様に、取り込む範囲を手動で変更できますし、明るさなども1タップで補正できます。もちろん「Adobe Scan」でPDFファイル化してから、「Adobe Fill & Sign」に共有しても構いません。
特に画像など、特別に入力欄が用意されていない場合にも、入力したい場所をタップするだけで文字を記入できます。フォントや色は指定できませんが、文字サイズは変更できます。手書きでは、よく入力欄に書き切れないというミスが起こりますが、デジタルなら文字サイズを入力後に変えられるので、書き損じが防げて、とても気が楽です。
さらに、人型のアイコンをタップすると、「プロファイル」を呼び出せます。ここから、氏名、会社名、住所、連絡先など、繰り返し入力を求められる項目を1タップで入力できます。役職名や部署名が非常に長いのであれば、ぜひ活用したいところです。
アプリ内では、手書きの署名が作成できるほか、イニシャルも作れます。これらは「プロファイル」のデータ同様に、スタンプのように書面に反映できます。イニシャルには画像も使えるので、印影などを取り込んでおくという手もあります。
チェック、丸囲み、取り消し線なども利用できるので、申し込み用紙やアンケート用紙によくあるチェックボックスなどへの記入でもバッチリです。
ドキュメントが完成したら、あとはメールに添付して送信するだけです。作成したドキュメントはまとめて保存されるので、後から再編集もできます。
なお、現在のAndroid版では、文書に直接日本語での文字入力ができないようです。「プロファイル」は日本語で作成できるので、これを活用すればある程度不便なく使えるのではないでしょうか。フリーフォーマットで文字を入力したいときも、「プロファイル」のカスタムフィールドで任意の項目を作り、データとして入力しておけば書面に反映できます。
暗号化された署名ではないが、気軽な署名には使える
このようにAdobe Fill & Signがあれば、メールで送られてきた申し込み用紙にすぐ記入して提出できます。字が汚くても気にしなくて済みますし、何よりスマートフォンだけで完結するのは大きなメリットです。
ちなみに、Adobeでは「Adobe Sign」という本人確認や改ざん防止など、多くの機能をもった有料の電子署名ソリューションを提供しています。「Adobe Fill & Sign」には、それが自分であるという証明機能はないので、このサービスの無料アプリ版というわけではありません。このため、公文書に使用する際は注意が必要です。しかし、デジタルで署名することの便利さ、そのスピード感を体験するのに便利なアプリと言えるでしょう。