【シリコンバレー=中西豊紀】米中西部ミズーリ州の司法長官は13日、グーグルが同州が定める消費者保護ルールや反トラスト法に違反していないかについて調査を始めたと発表した。グーグルに対しては、6月に欧州委員会が競争法違反で巨額の制裁金を科している。同様の動きが米国にも波及した形で、巨大IT(情報技術)企業の寡占問題について議論となりそうだ。
ジョシュ・ホーリー司法長官がグーグルに召喚状を出したと発表した。顧客データの収集や利用、開示の仕方に加え、自社サービスが有利になるように検索結果を表示させていないかどうかなどを調査するという。
ホーリー司法長官は声明で「グーグルがミズーリの人たちの最善の利益に基づいて活動していないと考える強い理由がある」とコメント。「業界の巨人によって消費者情報を危険にさらすことは容認できない」として、ミズーリ州による調査の正当性を強調した。
また、ホーリー司法長官は欧州連合(EU)がグーグルにEU競争法(独占禁止法)違反で24億2000万ユーロ(約3200億円)の制裁金を科したことにも言及。主要な規制当局がグーグルへの監視の目を強めているとの認識を示した。
米国の他州がミズーリ州に追随するかどうかは現時点では不透明だ。だが、仮にそうなれば、米国企業が本国で反トラスト法などの追及を受ける異例の事態となる。
米連邦議会もグーグルやフェイスブックなど巨大化する米IT企業への警戒を強めている。今月1日には米上院の情報委員会がグーグルやフェイスブックなどの法律顧問を呼んで公聴会を開催。交流サイト(SNS)が世論操作に使われ、2016年の米大統領選で民意をゆがめたのではないかと追及された。
各州の司法当局や連邦議会への対応は、大手IT企業にとって新たな経営課題となりそうだ。