2017年11月14日

殺人事件被害者の実名って、知ってどうするんですか?

ほんとーーーーーに理解出来ないことが一点あるので、ちょっと追加で書かせて頂ければと思うんですが。

この記事を読みました。


遺族が実名報道をやめて欲しいと、各報道機関に要望したのに、その要望が殆どの報道機関に黙殺されて、今ガンガン実名報道されてますよ、という話です。ちょっと前、報道機関に対して報道の自粛を要請する張り紙を家の前に貼っていた被害者遺族の話も、何故かきっぱり報道されている、ということが起きていました。

加害容疑者の話は一旦おきましょう。私、本来は加害容疑者の実名報道も不要ではないかと思っているんですけど、まあそれは別の問題なんで一旦置いておきます。

皆さんにお聞きしたい、と思ったんです。


実際のところ、被害者の実名って、知りたいですか?


被害者の実名、生い立ちやら人となりやら学生時代の生活やらって、そんなに情報として、コンテンツとして魅力的なものなんでしょうか?皆が「知りたい」と思うものなんでしょうか?

例えば被害者の感情とか、生活が破壊されるとかどうとか、そういう前提を一切無視したとして、「殺人事件被害者の個人情報」って情報として興味深いものですか?


私には、まずこの部分が根本的に理解出来ないのです。それ、知ってどうするんだ?と。

例えば、「何故その事件が発生したか、という分析に被害者の情報が必要」ということであれば、少なくとも私の感覚では、「それ匿名でも報道出来るやないですか」としか思えないのです。「AさんはTwitterでこれこれこういう発言をしていて」という情報で、特に事件分析が妨げられる訳でもないですよね。

以前、相模原殺傷事件の時に出てきた話では、


「誰が亡くなったのか」という事実確認に障壁を設け、被害者の足跡や遺族の思いなどを世に伝える機会を奪った形だ。

さらに、「重要なのは被害者一人一人がどう生きてきたかを知って、社会が悲しみや怒りを共有することだ」と指摘する。
これについても、「匿名だと悲しみや怒りを共有できないんですか?」としか思いませんでしたし。

例えば「実名が報道されないと、知り合いが殺されたのかどうかが分からない」みたいな話であれば、「報道を通してしか殺人被害に遭ったかどうか確認出来ない程度の知り合いの安否情報って、遺族の生活より重要なんですか?」としか思いませんでしたし。

例えば「実名がないと、事件の悲惨さが伝わらない」という話であれば、「事件の悲惨さを描写するのに、何故被害者が鈴木さんか田中さんかという情報が必要なんですか?」としか思いませんでしたし。実名がないと悲惨さが伝えられないとしたら、それは伝える方の能力不足でしょ、とすら思います。

結局のところ、これらについて私は、「それは何故遺族感情や遺族の生活よりも優先されるんですか」ということが、本当に、さっぱり理解出来ないのです。

結局、ここまで何度も何度も、遺族の要請や感情を放っておいての実名報道が繰り返されるということは、その情報を「知りたい」と思う人がそれだけ多いということなのでしょう。その情報にそれだけの、報道機関にとってのコンテンツとしての価値があるということなのでしょう。

私には、まず、その「価値」が分からない。被害者がなんという名前だったのか、全く知りたいと思わない。


バイアスがかかっていることは認めます。私は、心情的にだいぶ殺人事件被害者側に肩入れしているので、何か私が認識していなかった理由が提示されたとして、やっぱり「それは何故遺族感情や遺族の生活よりも優先されるんですか」と思うでしょう。出来れば、「皆思った程被害者の実名になんか興味ないよ」という話になってくれればいいなあ、と思います。

ただ、それはそれとして、ここまで同じことが何度も何度も何度も何度も何度も何度も起こるということは、やはりなんだかんだで「殺人事件被害者の実名報道」には何かしらのニーズがあるのだろう、ということも分かります。

ちょっとこれ、もし「メディアの皆さんが思っている程、皆はこの情報を知りたいと思っていなかった」ということであれば、なにかしら報道姿勢の改善につながる話が出来るかも知れないですし。あるいは、私の方の価値判断というか、興味の傾向が根本的にずれているのなら、それはそれでちょっと問題だなーと思ったので、勢いだけでこの記事を書かせて頂いた次第です。

被害者遺族の皆さんに、一刻も早く平穏な生活が戻ることを、心から祈念してやみません。


今日書きたいことはそれくらいです。


以下は以前書いた記事。






posted by しんざき at 15:42 | Comment(0) | 雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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