フリーマーケットアプリ大手のメルカリ(東京・港)は14日、12月上旬に取引ルールを変更すると発表した。売上金の早期処理と個人情報登録の義務化が柱。利用者にとっては使い勝手が悪くなるが、規制当局への対応や不正出品対策の強化を優先する。
現在のルールでは、出品者が販売で得た売上金は1年間は引き出さずにメルカリに預けておくことができる。新ルールでは、この預かり期間を90日間に短縮し、期限を過ぎた場合は出品者の銀行口座に自動的に振り込むようにする。
また、現在はメルカリに預けている売上金を使って、他の利用者が出品した商品を購入することができる。新ルールでは、売上金を一度ポイントに交換し、そのポイントで商品を購入する形にする。取引実態は大きくは変わらないが、利用者の手間は増える。
こうしたルール変更には、金融庁などの規制当局への対応が背景にあるもよう。金融庁はメルカリの仕組みが資金決済法の対象となるかどうか、検討を進めている。
メルカリが資金決済法が定める「資金移動業者」に該当すると判断された場合、同社は利用者からの預かり金の100%以上を金融庁に供託金として保全しなければならない。業者が経営不振に陥った場合に備えた消費者保護の仕組みだが、メルカリの財務にとっては多額の資金が固定することになる。
このため、メルカリは今回、預かり期間の短縮やポイントへの切り替え措置と合わせて、資金決済法で定める「前払式支払手段発行者」の登録を行う予定。これは資金移動業者とは異なり、3月末あるいは9月末の預かり金(ポイントなどの未使用残高)が1000万円を超えたとき、その2分の1以上の額を供託すれば済む。
さらに、かねて表明していた出品者の個人情報登録の義務化も12月の新ルールで明示する。登録した内容と銀行口座情報が一致しなければ売上金を引き出せないようになるため、盗品や違法商品などの不正出品に歯止めがかかるとみられる。
(石塚史人)