少し前、中国の新華社通信が「改ざん文化が恥の文化を超える」という日本をからかった記事を掲載して、愛国心溢れる方たちの間でちょっとした話題になった。
記事を報じたレコードチャイナ(10月12日)によると、神戸製鋼所のデータ改ざん問題を導入に、日産の検査不正問題、三菱自動車とスズキの燃費データ不正、タカタのエアバッグ欠陥問題、東芝の不正会見など有名企業のスキャンダルが続発していることや、森友学園の交渉記録、南スーダンの日報問題まで引っ張り出して、ここ数年の日本社会は「恥の文化」よりも、「隠ぺい文化」「改ざん文化」が勝ってきており、「新たな伝統」になっているというのだ。
そう聞くと、「パクリや隠ぺいが当たり前で、粗悪な製品ばかりをつくっている中国にだけは言われたくない!」と怒りで発狂寸前になる方も多いかもしれない。筆者もまったく同じ心境だ。が、その一方でぶっちゃけ、かなり痛いところも突かれているとも感じている。
それは、「改ざん文化」という表現だ。
もちろん、勤勉で働き者で、正直者ばかりの我々日本人の間にそんなバカげたカルチャーなどあるわけがない。世界に誇る日本の技術者ならばなおさらで、彼らがもつ「職人気質」は、利益よりも品質を追い求めるメンタリティで、「ものづくり」で手抜きやインチキが行われることを断じて認めない。
ただ、そういう「社会通念」をまるであざ笑うかのように、名門企業、政治家、役所などで「改ざん」が繰り返されてきたのもまた事実だ。それらを振り返ってみると、「個人犯罪」などではなく、「文化」としか形容できないほど毎度お馴染みのワンパターンとなっているのだ。
それを象徴するのが、今から20年前の新聞を飾った以下の見出しである。
『「品質の日本」根底揺さぶる 下請け任せ 信用失墜の危機』(日経産業新聞 1997年9月18日)
神戸製鋼や三井不動産のマンション杭打ち不正などで使われてもまったく違和感のない見出しだが、実はこれは「日立原発虚偽報告問題」を報じたものだ。
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