「チバニアン」 国際学会が「国際標準地」に登録の答申

「チバニアン」 国際学会が「国際標準地」に登録の答申
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千葉県市原市にあるおよそ77万年前の地層を地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」に登録し、その時代を千葉時代=「チバニアン」と名付けることを目指す茨城大学などのグループは、審査を行っている国際学会の作業部会から投票の結果、市原市の地層が、イタリアの候補地を破り次の審査を行う委員会に「国際標準地」として答申することになったという連絡があったことを明らかにしました。
茨城大学や国立極地研究所などのグループは千葉県市原市の養老川沿いにあるおよそ77万年前の地層に地球の磁場が逆転した痕跡があるのを見つけ、地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」に登録するようことし6月、国際地質科学連合に申請しました。

認められれば、地球の歴史のうちおよそ77万年前からおよそ12万6000年前までの時代がラテン語で千葉時代を意味する「チバニアン」と名付けられることになりますが、候補地は、このほかにイタリアの2か所があり、国際地質科学連合の作業部会が16人の委員で議論してきました。

茨城大学などのグループによりますと、このうち2人の議長を除く委員14人による投票の結果、市原市の地層が、6割以上の票を獲得し「国際標準地」として答申することが決まったと連絡があったということです。

国際標準地に決まるためには、今後、作業部会の上にある2つの委員会と国際地質科学連合の理事会での決定が必要で、最終的な結果が出るのは、来年になる見込みです。

申請グループの代表の岡田誠茨城大学教授は「チバニアン誕生に向け大きな一歩だ。今後の審査の行方を慎重に見守っていきたい」と話しています。

千葉県知事「身震いする思い」

千葉県市原市にあるおよそ77万年前の地層について国際学会の作業部会が地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」として答申することを決めたことについて、千葉県の森田知事は、神奈川県相模原市で記者団に対し、「まだ正式に決まったわけではないが、県民みんなが喜んでいると思う。世界に千葉の名前が知られることは身震いする思いであり、地層の維持・保管をしっかり行って、子どもたちにもこのすばらしさを伝えていきたい」と述べました。

千葉 市原市長「誠に喜ばしい」

千葉県市原市は、この地層の周辺一帯が国の天然記念物に指定されるよう取り組むとともに、専門家による会議で地層の保存と研究の両立を図るための検討を進めています。

小出譲治市長は、「認定への第一段階を通過したことは誠に喜ばしく、今後の経過を期待を込めて見守りたい。まずは、天然記念物の指定に向け、必要な手続きを進めたい」とコメントしています。

住民からは喜びの声

千葉県市原市にあるおよそ77万年前の地層について国際学会の作業部会が地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」として答申することを決めたことについて、地元の住民からは、喜びの声が聞かれました。

地層のある市原市田淵では、訪れる人たちが見学しやすいようにと、地元の住民などが遊歩道の整備に向けた作業を進めています。

今月19日にも、現地に向かうルートの草刈りなどを予定していたということで、千葉にちなんだ「チバニアン」という時代が誕生すれば、地域の活性化にもつながると期待しています。

近くに住む70代の男性は、「子どものころに魚をとって遊んだ房総の山の中の地層が選ばれるなんて信じられない。千葉の名前が広く発信されることを期待したい」と話していました。

また、59歳の女性は、「地層に加え、近くには歴史のある遺跡や豊かな自然もあるので、その魅力についても知ってほしい」と話していました。

地球の磁場とは

地球上で方位磁石を使うと、磁石のN極はおおよそ北極の方向を指します。また、S極はおおよそ南極の方向を指します。

これは、地球全体が1つの磁石のようになっているからで、北極の近くに磁石のS極があり、南極の近くに磁石のN極があります。

N極とS極の逆転は地球の歴史の中でたびたび起きていて、これまでの研究では、少なくとも360万年前から現在までに11回起きたと考えられています。

その最後の逆転が、千葉県市原市の地層が示すおよそ77万年前と考えられています。

地球の歴史のいつごろか

地球が誕生しておよそ46億年の歴史の中で北京原人やジャワ原人が出現し人類が進化したおよそ258万年前からおよそ1万年前までの時期は「更新世」と呼ばれています。

この時期は氷河期と比較的温暖な間氷期が繰り返されていた時代でさらに4つの時代に区分されています。

そのうち、およそ258万年前からおよそ180万年前は「ジェラシアン」、およそ180万年前からおよそ78万年前は「カラブリアン」といずれもその時代の境界を示す「国際標準地」があるイタリアの地名から名付けられています。

一方で地球の磁場が今の状態になったおよそ78万年前からおよそ12万年前は「更新世の中期」とされ、今の人類が誕生したのもおよそ20万年前でこの時代になりますが、「国際標準地」は決まっておらず、まだ名前がありません。

このあとの3つの審査でも千葉県市原市の地層が国際的に標準地と認められれば、この「更新世の中期」がラテン語で千葉時代を意味する「チバニアン」と名付けられることになります。

「国際標準地」とは

地質学では地球のおよそ46億年の歴史を地層にある化石の種類などから115の時代に区分にしています。

世界各国の地質学の専門家で作る国際地質科学連合は時代の境界を観察したり研究したりするのに最も優れた地層を世界で1か所、「国際標準地」として登録していて、これまで、115の時代を区切る114の境界のうち、60余りで「国際標準地」が登録されています。

「国際標準地」は雨が少なく乾燥し地層が保存されやすい地中海沿岸にあるイタリアのほかアジアでは中国が多く、日本で登録された地層はありません。

登録されると、地層に「ゴールデンスパイク」と呼ばれる金色のくいが打ち込まれ、その時代は地層がある場所にちなんだ名前がつけられることになっています。

候補地の優劣

「国際標準地」の登録の申請は、市原市の地層以外にも、イタリア南部のモンタルバーノ・イオニコとヴァレ・デ・マンケの2か所が行われていました。

審査を行う国際地質科学連合は国際標準地の条件として、地層中に、これまでで最後の磁場逆転が記録されていること、地層が堆積した当時の環境が詳しくわかることなどを挙げています。

研究グループによりますと市原市の地層が優れているのは地層に磁場の逆転が記録されていることでした。

イタリアの2か所は地層に磁場の逆転が記録されておらず、磁場が逆転する際に宇宙から降り注いだ放射性元素を分析することで間接的に磁場の逆転を証明できたとしています。

一方で、当時の環境が詳しくわかるという点では、イタリアの2か所のほうが優れていたということです。

市原市の地層が当時、大陸棚の斜面だったのに対し、イタリアの2か所は海底の平たんな場所であったことや地中海沿岸は雨が少なく乾燥しているため地層が保存されやすいからです。

「チバニアン」 国際学会が「国際標準地」に登録の答申

千葉県市原市にあるおよそ77万年前の地層を地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」に登録し、その時代を千葉時代=「チバニアン」と名付けることを目指す茨城大学などのグループは、審査を行っている国際学会の作業部会から投票の結果、市原市の地層が、イタリアの候補地を破り次の審査を行う委員会に「国際標準地」として答申することになったという連絡があったことを明らかにしました。

茨城大学や国立極地研究所などのグループは千葉県市原市の養老川沿いにあるおよそ77万年前の地層に地球の磁場が逆転した痕跡があるのを見つけ、地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」に登録するようことし6月、国際地質科学連合に申請しました。

認められれば、地球の歴史のうちおよそ77万年前からおよそ12万6000年前までの時代がラテン語で千葉時代を意味する「チバニアン」と名付けられることになりますが、候補地は、このほかにイタリアの2か所があり、国際地質科学連合の作業部会が16人の委員で議論してきました。

茨城大学などのグループによりますと、このうち2人の議長を除く委員14人による投票の結果、市原市の地層が、6割以上の票を獲得し「国際標準地」として答申することが決まったと連絡があったということです。

国際標準地に決まるためには、今後、作業部会の上にある2つの委員会と国際地質科学連合の理事会での決定が必要で、最終的な結果が出るのは、来年になる見込みです。

申請グループの代表の岡田誠茨城大学教授は「チバニアン誕生に向け大きな一歩だ。今後の審査の行方を慎重に見守っていきたい」と話しています。

千葉県知事「身震いする思い」

千葉県市原市にあるおよそ77万年前の地層について国際学会の作業部会が地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」として答申することを決めたことについて、千葉県の森田知事は、神奈川県相模原市で記者団に対し、「まだ正式に決まったわけではないが、県民みんなが喜んでいると思う。世界に千葉の名前が知られることは身震いする思いであり、地層の維持・保管をしっかり行って、子どもたちにもこのすばらしさを伝えていきたい」と述べました。

千葉 市原市長「誠に喜ばしい」

千葉県市原市は、この地層の周辺一帯が国の天然記念物に指定されるよう取り組むとともに、専門家による会議で地層の保存と研究の両立を図るための検討を進めています。

小出譲治市長は、「認定への第一段階を通過したことは誠に喜ばしく、今後の経過を期待を込めて見守りたい。まずは、天然記念物の指定に向け、必要な手続きを進めたい」とコメントしています。

住民からは喜びの声

千葉県市原市にあるおよそ77万年前の地層について国際学会の作業部会が地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」として答申することを決めたことについて、地元の住民からは、喜びの声が聞かれました。

地層のある市原市田淵では、訪れる人たちが見学しやすいようにと、地元の住民などが遊歩道の整備に向けた作業を進めています。

今月19日にも、現地に向かうルートの草刈りなどを予定していたということで、千葉にちなんだ「チバニアン」という時代が誕生すれば、地域の活性化にもつながると期待しています。

近くに住む70代の男性は、「子どものころに魚をとって遊んだ房総の山の中の地層が選ばれるなんて信じられない。千葉の名前が広く発信されることを期待したい」と話していました。

また、59歳の女性は、「地層に加え、近くには歴史のある遺跡や豊かな自然もあるので、その魅力についても知ってほしい」と話していました。

地球の磁場とは

地球上で方位磁石を使うと、磁石のN極はおおよそ北極の方向を指します。また、S極はおおよそ南極の方向を指します。

これは、地球全体が1つの磁石のようになっているからで、北極の近くに磁石のS極があり、南極の近くに磁石のN極があります。

N極とS極の逆転は地球の歴史の中でたびたび起きていて、これまでの研究では、少なくとも360万年前から現在までに11回起きたと考えられています。

その最後の逆転が、千葉県市原市の地層が示すおよそ77万年前と考えられています。

地球の歴史のいつごろか

地球が誕生しておよそ46億年の歴史の中で北京原人やジャワ原人が出現し人類が進化したおよそ258万年前からおよそ1万年前までの時期は「更新世」と呼ばれています。

この時期は氷河期と比較的温暖な間氷期が繰り返されていた時代でさらに4つの時代に区分されています。

そのうち、およそ258万年前からおよそ180万年前は「ジェラシアン」、およそ180万年前からおよそ78万年前は「カラブリアン」といずれもその時代の境界を示す「国際標準地」があるイタリアの地名から名付けられています。

一方で地球の磁場が今の状態になったおよそ78万年前からおよそ12万年前は「更新世の中期」とされ、今の人類が誕生したのもおよそ20万年前でこの時代になりますが、「国際標準地」は決まっておらず、まだ名前がありません。

このあとの3つの審査でも千葉県市原市の地層が国際的に標準地と認められれば、この「更新世の中期」がラテン語で千葉時代を意味する「チバニアン」と名付けられることになります。

「国際標準地」とは

地質学では地球のおよそ46億年の歴史を地層にある化石の種類などから115の時代に区分にしています。

世界各国の地質学の専門家で作る国際地質科学連合は時代の境界を観察したり研究したりするのに最も優れた地層を世界で1か所、「国際標準地」として登録していて、これまで、115の時代を区切る114の境界のうち、60余りで「国際標準地」が登録されています。

「国際標準地」は雨が少なく乾燥し地層が保存されやすい地中海沿岸にあるイタリアのほかアジアでは中国が多く、日本で登録された地層はありません。

登録されると、地層に「ゴールデンスパイク」と呼ばれる金色のくいが打ち込まれ、その時代は地層がある場所にちなんだ名前がつけられることになっています。

候補地の優劣

「国際標準地」の登録の申請は、市原市の地層以外にも、イタリア南部のモンタルバーノ・イオニコとヴァレ・デ・マンケの2か所が行われていました。

審査を行う国際地質科学連合は国際標準地の条件として、地層中に、これまでで最後の磁場逆転が記録されていること、地層が堆積した当時の環境が詳しくわかることなどを挙げています。

研究グループによりますと市原市の地層が優れているのは地層に磁場の逆転が記録されていることでした。

イタリアの2か所は地層に磁場の逆転が記録されておらず、磁場が逆転する際に宇宙から降り注いだ放射性元素を分析することで間接的に磁場の逆転を証明できたとしています。

一方で、当時の環境が詳しくわかるという点では、イタリアの2か所のほうが優れていたということです。

市原市の地層が当時、大陸棚の斜面だったのに対し、イタリアの2か所は海底の平たんな場所であったことや地中海沿岸は雨が少なく乾燥しているため地層が保存されやすいからです。