男だ女はもう「114」。埋まらぬ日本の格差問題

ジェンダー・ギャップ指数で144カ国中堂々の114位!

2017年11月14日(火)

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 「女性起業家資金イニシアティブ(We-Fi)」を「イヴァンカ基金」とマスコミが報じ、それを鵜呑みにした福島みずほ議員の“勘違いTwitter”が炎上していた頃、「どうにかしてよ!」という悲鳴と共に、ある数字が拡散していた。

 114――。

 NTTの「お話中調べ」でもなければ、「4649(ヨロシク!)」もとい「114(いいよ!)」でもない。「144国中114位」!

 はい、そうです。世界経済フォーラム(WEF)が発表した、世界各国の男女平等の度合いを示す2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は144カ国のうち「堂々の114位!」(バックデータは表のリンクを参照、PDFファイルです)。

 昨年の111位からさらに順位を落とし、過去最低となってしまったのだ。

 ちなみにトップ5の常連国はいずれも議員・閣僚などにクオータ制(一定比率を女性に割り当てる制度)をとっていて、ルワンダの女性議員数の割合は世界トップだ。

順位
1 アイスランド
2 ノルウェー
3 フィンランド
4 ルワンダ
5 スウェーデン
 
11 フランス
12 ドイツ
 
14 デンマーク
15 イギリス
 
32 オランダ
 
49 米国
114 日本
118 韓国
 
144 イエメン
出所:The Global Gender Gap Report 2017

 144カ国中114位……。

 いったいこの数字のどこが、「アベノミクスはウーマノミクス」で、「ウーマノミクスは人口の半分を占める女性が持つ重要性を認めています(by イヴァンカさん)」なのだろうか?

 いっそのこと「144カ国中144位」と、落ちるとこまで落ちた方が語呂がいいし、居酒屋のネタにもなるし、ビリという響きは案外とかっこよかったりもする。“ビリ”って、狙ってとるのは案外難しいしね。

男女で考えるとハレーションが起きるので

 とまぁ、そんなことを考えてしまうほど日本の男女格差は悲惨な状態になっているのである。
 にもかかわらず、マスコミは「144カ国中114位」より、「アベノミクスはウーマノミクス」を“もてなした”。

 おっとっと。はい、分かってますよ。

 「格差が嫌なら自分達で起業しろ」
 「平等なんて、数字で表すものじゃない」
 「日本人て、白人が決めたランキングを病的に信奉しすぎ」
 「評価基準がオカシイから気にする必要はない」
 「気に入らないなら自分達で女性の役員数を増やしては?」
 「ていうか、安倍首相がなにをやっても気に入らないんだろう?」
  ……etc etc。

 ワンワンワンの111位だった昨年、コラム(こちら)を書いたときにこうコメントする人たちの多さに、この手の問題、すなわち男女格差問題、いや「“日本の”男女格差問題」の根深さに辟易したけど、首相の好き嫌いはさておいても、さすがに10年以上ほぼビリまっしぐら状態はやばいと思いますよ。

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「男だ女はもう「114」。埋まらぬ日本の格差問題」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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