2013年、ワンショットで全天球を撮れてなおかつお手頃で小さくて軽い「カジュアル全天球カメラ」という前代未聞のジャンルを開拓したのが、リコーの初代「THETA」(シータ)であるわけだが、あれから4年。
見た目は変わらないまま、中身を一新して登場した最新モデルが「THETA V」だ。予想以上に変わっててびっくりしたのでその辺を中心にレビューしたい。
THETAを取り巻く環境はずいぶんと良くなった。
初代THETAの頃は、せっかく全天球画像を撮ってもそれをシェアして見てもらう手段が限られていて一般のユーザーは「theta360.com」にアップロードしてそこへのリンクを貼るしか手がなかったわけだが、今はGoogleストリートビューに直接アップロードして世界に公開することもできるし、FacebookやLINEも全天球画像に対応しているので元画像をシェアすればそのままVR風に見てもらえるし、動画もYouTubeが対応してくれたのでVR動画としてアップロードできる。
これはデカい。
さらに「PS VR」や「Occulus Rift」「GearVR」などのVRビューアーの登場や、各社からVR動画を撮れるカメラが出てきて、全天球動画へのニーズが高まってきた。
それに対応してきたのが、最新モデルのTHETA Vだ。
前モデルではフルHD動画サイズだったが、VR動画として楽しむにはそれでは圧倒的に解像度が足りない。そこでTHETA Vは4K動画に対応。その上、マイクを4つ内蔵し、空間音声技術を入れてきた。
だから簡単にいえば、THETA Vは4K動画に対応したTHETAということになる。
でも全天球写真を撮るカメラとしても進化した。
画素数は同じながら画質は向上。画像処理のレベルが1段上がった感じだ。
さらに、これが使い勝手上すごく重要なのだが、Wi-Fiの転送速度がめちゃ速くなった。おかげで今までよりすごく気軽に使える。
まずは全天球写真を撮るカメラとしてのTHETAから見ていきたい。
THETAはワンショットで全天球画像を撮影するカメラ。
超薄くて細長い握りやすいボディの前後に2つのレンズを持っている。どっちも180度、つまり前面を全部撮れる魚眼レンズ付カメラを2つ内蔵してるのだ。
大事なのはその内蔵方法。
カメラを普通に2つ入れるとレンズ×2+イメージセンサー×2の厚みになってしまう。でも厚くなればなるほど死角が増えて、全天球画像にしたとき、うまくつながらないエリアが広くなる。
これ、どのカメラも抱えてる問題だが、THETAは「屈曲光学系」を使って最小限の厚みに抑えているのだ。
これがポイント。この機構のおかげで驚異的な薄さを維持しているのだ。だから、THETAは他の全天球カメラに比べて死角が少なく、ステッチしたときの精度も高く、この構造が完成しているため歴代THETAのデザインは基本的に変わらない。
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