― これまで印象に残った顧客事例を教えてください。

茂田井：　今は上場している会社ですが、最初は雑居ビルの1フロアに社長と10名程度の社員がいるだけだったんです。それが、IPOの前後から業績は毎年倍々になり、従業員もフロアも増加し続けた会社です。
　設立2年目頃から携わり、5年目で新興市場に上場し、その後2部、1部と駆け上がって行きました。社長が同世代でかなり熱意のある方でして、社員を本気で怒る一方で、給料袋に毎月手書きのメッセージを書くような細やかな気遣いもされている一面もお持ちでした。社長も社員も、みな本気でビジネスに携わっていましたし、その熱気と勢いが感じられる会社でした。

杉山：　私の場合は、西新宿の不動産関連の会社のIPO案件です。7年の社歴があり、50人程度の会社で、近いうちの上場を予定しています。法務は私が担当し、途中から独立役員として社内に入っています。弁護士は独立社員として入るのは形としてもわかりやすいので、支援の一つの手法として機能していることでも良い事例だと考えています。

― チームでは今後、IPOを見据える企業にどのように関わっていきますか。

茂田井：　会社の設立当初は会計・税務・法務等の顧問として携わり、成長に合わせて資金調達や内部体制の整備等フェーズ毎に必要な部分を各専門家がアドバイスし、上場後は社外役員として経営に携わる、これを基本パターンとして考えています。
　また、オフィス拡張による空きスペースを、たとえば起業したての会社に利用してもらい、二人三脚でIPOを目指すことも考えています。

杉山：　私としては今後、クラウドファンディングにも力を入れたいと考えています。助成金ステージからベンチャーキャピタルステージ、資金調達ニーズに応じた流れが、米国などに比べて日本はまだまだ未成熟です。クラウドファンディングは単なる投資以外にも購入型や寄付型など様々ですから、それらを使ってベンチャー支援を実施したいという想いがあります。人材ニーズと資金調達ニーズの両輪を確立することで、ベンチャー企業が育成されやすい素地を作っていきたいと思いますね。

― 今後のビジョンについて教えてください。

茂田井：　セミナーの開催や本の出版などを通して、IPOの現場に即したコアな情報や知識を企業に提供する場をさらに設けていきたいと思います。
　IPOは決してゴールではなく、その先の道のりの方がはるかに長い。あくまでも一つの通過点であり、レベルアップのひとつのきっかけです。IPO支援を通じて、その後の企業のステップアップをいかに実現できるか。私たちチームIPOのメンバーは全員、そこを目標として共有しているのです。
　これからも、IPOを経営者の方々にいっそう身近に感じていただき、信頼されるサポートを行っていきたいと考えています。