― 杉山先生はどのような経緯で起業したのですか。
杉山: 大学では商法を専攻して、ベンチャー企業に対する法律問題を学んだことでIPOにも興味をもちました。そこでベンチャー企業の支援を行う法律事務所に入所したのですが、やがて自分に芽生えてきたのが、ベンチャー支援といっても、自分自身がゼロから立ち上げた経験をもっていないのに、何を教えることができるのだろうかという想いでした。
そこで独立しようと決め、2009年に札幌で事務所を立ち上げたのです。いまは札幌証券取引所でのIPOの勉強会を始めていて、証券取引所を通じて地域経済の活性化を図っていく取り組みも始めています。
茂田井: 私も同感で、経営者というのはリスクを取りながらも雇用を維持し、社員やその家族の人生も背負っているわけですよね。例えたった一人でも、社員の雇用に責任を持ち続けている経営者は、本当に素晴らしいです。そう思うと、いくら「私はベンチャー支援をしています」と言っても、自らは大組織の従業員という安全な立場に居ながら経営者と話をすることに、ずっと違和感を感じていたんです。2008年に小さいながらも会社を設立した時、「あぁ、やっと同じ土俵に立てたんだな」という想いはありましたね。
― お二人が独立した2008年や2009年はリーマン・ショック直後で、非常に厳しい時期だったのではないかと思いますが。
茂田井: 苦しかったですね。実は、当時のボスに辞意を伝えた2週間後にリーマン・ブラザーズが破綻し(笑)、いきなりマイナスからのスタートでした。
当時は監査費用などの上場維持コストが高額で割に合わないという理由で、IPO自体をネガティブに考える風潮が主流だったんですが、ただ、その時期にIPOを真剣に目指していた経営者は、やはり損得勘定だけではない独自の理念をもっていた方が多かったですね。そういう経営者と出会えたことは、今では非常に大きい財産になっています。
杉山: そうした時代を経た後、ここ3年くらいの動きとして、上場したいと考える企業が増えてきていますね。制度も変わり、それぞれの専門に切り分けてIPOを支援していくというニーズが増えていると思います。
たとえば通常は、弁護士から証券会社に提案する流れは本来あまりないことですが、逆に言えばそれができるのが当チームの特長だといえます。IPOの意向をもつ企業の希望をまとめて、それを証券会社に持っていくという、通常とは逆パターンでの提案ができること。多様なバックグラウンドの人材が揃うチームIPOならではの強みだと思います。
プロフィール
- お名前茂田井 純一/杉山 央
- お名前(ふりがな)もたい じゅんいち/すぎやま ひさし