一連の事件に関わっていたとされるのは、韓国軍の「サイバー司令部」です。
サイバー司令部は、2009年7月に北朝鮮からと見られる大規模なサイバー攻撃を受け、韓国大統領府をはじめとする複数の政府機関や金融機関などのウェブサイトにアクセスできなくなったことなどを受けて、翌2010年1月に設立されました。
司令部には、およそ600人が所属し、サイバー戦の計画を立案するだけでなく、みずから作戦を実行できる体制が整えられていて、国防相直属の組織として、北朝鮮などからのサイバー攻撃への対応で中心的な役割を担っています。また、人材の育成も重要な任務となっていて、有名私立大学にサイバー戦に関する学部を設置し、成績が上位の学生に奨学金を与えているほか、コンピューターへの侵入など「ハッカー」の技術を競うコンテストも開いています。
サイバー司令部は、韓国軍の内部でエリート集団とされていますが、今回問題が発覚したことを受けて、ソン・ヨンム(宋永武)国防相は先月、「指揮系統、組織構成、予算などすべてを改革する。内部調査チームが地位や部隊に束縛されることなく徹底的に調査する」と述べ、再発の防止や関係者の処分を行う方針を示しました。
韓国 イ元大統領 野党批判の世論操作 関与を否定
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韓国のイ・ミョンバク(李明博)政権下で、軍のサイバー部隊を動員して、当時の野党を批判する世論操作を行っていた疑いなどで元国防相が逮捕された事件で、イ元大統領が記者団の取材に応じ、みずからの関与を否定しました。
この事件は、イ・ミョンバク政権で国防相を務めたキム・グァンジン(金寛鎮)容疑者が、2010年から2年間にわたり、軍のサイバー部隊を動員して、インターネット上で当時の野党を批判する世論操作を行っていたとして、軍関係者が政治に関与することを禁じた法律に違反した疑いなどで11日、検察に逮捕されたものです。
韓国メディアは「キム元国防相が、工作活動について大統領府に報告していたと供述している」と伝えていることなどから、イ元大統領が事件に関わっていたのかが焦点となっています。
これについて、イ元大統領は12日昼ごろ、講演のため中東に出発するのを前にソウル近郊の空港で記者団の取材に応じ、世論操作を指示したのかと問われると、「常識に反するような質問をしてはいけない」と述べ、みずからの関与を否定しました。また、「新しい政権が過去の問題の清算として行っていることは、改革ではなく不満の発散や報復ではないか」と述べ、イ元大統領など保守勢力に対して、革新系のムン・ジェイン(文在寅)政権が報復をしていると批判しました。
ただ、韓国メディアは、キム元国防相が逮捕されたことから、今後、イ元大統領にも捜査が及ぶのは避けられないとの見通しを示しています。
韓国メディアは「キム元国防相が、工作活動について大統領府に報告していたと供述している」と伝えていることなどから、イ元大統領が事件に関わっていたのかが焦点となっています。
これについて、イ元大統領は12日昼ごろ、講演のため中東に出発するのを前にソウル近郊の空港で記者団の取材に応じ、世論操作を指示したのかと問われると、「常識に反するような質問をしてはいけない」と述べ、みずからの関与を否定しました。また、「新しい政権が過去の問題の清算として行っていることは、改革ではなく不満の発散や報復ではないか」と述べ、イ元大統領など保守勢力に対して、革新系のムン・ジェイン(文在寅)政権が報復をしていると批判しました。
ただ、韓国メディアは、キム元国防相が逮捕されたことから、今後、イ元大統領にも捜査が及ぶのは避けられないとの見通しを示しています。
韓国軍のサイバー司令部とは
一連の事件に関わっていたとされるのは、韓国軍の「サイバー司令部」です。
サイバー司令部は、2009年7月に北朝鮮からと見られる大規模なサイバー攻撃を受け、韓国大統領府をはじめとする複数の政府機関や金融機関などのウェブサイトにアクセスできなくなったことなどを受けて、翌2010年1月に設立されました。
司令部には、およそ600人が所属し、サイバー戦の計画を立案するだけでなく、みずから作戦を実行できる体制が整えられていて、国防相直属の組織として、北朝鮮などからのサイバー攻撃への対応で中心的な役割を担っています。また、人材の育成も重要な任務となっていて、有名私立大学にサイバー戦に関する学部を設置し、成績が上位の学生に奨学金を与えているほか、コンピューターへの侵入など「ハッカー」の技術を競うコンテストも開いています。
サイバー司令部は、韓国軍の内部でエリート集団とされていますが、今回問題が発覚したことを受けて、ソン・ヨンム(宋永武)国防相は先月、「指揮系統、組織構成、予算などすべてを改革する。内部調査チームが地位や部隊に束縛されることなく徹底的に調査する」と述べ、再発の防止や関係者の処分を行う方針を示しました。
サイバー司令部は、2009年7月に北朝鮮からと見られる大規模なサイバー攻撃を受け、韓国大統領府をはじめとする複数の政府機関や金融機関などのウェブサイトにアクセスできなくなったことなどを受けて、翌2010年1月に設立されました。
司令部には、およそ600人が所属し、サイバー戦の計画を立案するだけでなく、みずから作戦を実行できる体制が整えられていて、国防相直属の組織として、北朝鮮などからのサイバー攻撃への対応で中心的な役割を担っています。また、人材の育成も重要な任務となっていて、有名私立大学にサイバー戦に関する学部を設置し、成績が上位の学生に奨学金を与えているほか、コンピューターへの侵入など「ハッカー」の技術を競うコンテストも開いています。
サイバー司令部は、韓国軍の内部でエリート集団とされていますが、今回問題が発覚したことを受けて、ソン・ヨンム(宋永武)国防相は先月、「指揮系統、組織構成、予算などすべてを改革する。内部調査チームが地位や部隊に束縛されることなく徹底的に調査する」と述べ、再発の防止や関係者の処分を行う方針を示しました。
世論操作の手口とは
韓国軍のサイバー司令部の元幹部によりますと、世論工作は司令部所属の「530心理戦団」と呼ばれる部隊が中心となって行っていたということです。
この元幹部は、2012年の大統領選挙の前後に、部隊のおよそ120人が1万2000回にわたって、インターネット上の掲示板に政府や与党を支持したり、野党を非難したりするコメントを書き込んだとしています。
部隊では、革新系の野党の国会議員の名前を挙げ、北朝鮮に融和的だとか、息子が兵役を逃れているなどと書き込んでいたとされるほか、議員を陥れるような合成写真や動画を作成し、インターネット上に投稿していた可能性も指摘されています。
韓国メディアが入手した軍の内部文書とされる資料では、隊員1人当たりの1か月の目標が設定されていて、掲示板へのコメントは96回、ブログの投稿は10回、ツイッターのつぶやきは132回とされています。また、投稿に応じた手当も用意されていて、1回当たり、掲示板へのコメントには日本円でおよそ60円、ブログはおよそ810円、ツイッターのつぶやきにはおよそ70円が支払われたということです。
さらに、韓国国防省が行っている内部調査では、2012年から2年間にわたって、部隊が「ポイントニュース」というインターネットメディアを運用し、7500件に及ぶ記事を投稿したと見られているということです。
この元幹部は、2012年の大統領選挙の前後に、部隊のおよそ120人が1万2000回にわたって、インターネット上の掲示板に政府や与党を支持したり、野党を非難したりするコメントを書き込んだとしています。
部隊では、革新系の野党の国会議員の名前を挙げ、北朝鮮に融和的だとか、息子が兵役を逃れているなどと書き込んでいたとされるほか、議員を陥れるような合成写真や動画を作成し、インターネット上に投稿していた可能性も指摘されています。
韓国メディアが入手した軍の内部文書とされる資料では、隊員1人当たりの1か月の目標が設定されていて、掲示板へのコメントは96回、ブログの投稿は10回、ツイッターのつぶやきは132回とされています。また、投稿に応じた手当も用意されていて、1回当たり、掲示板へのコメントには日本円でおよそ60円、ブログはおよそ810円、ツイッターのつぶやきにはおよそ70円が支払われたということです。
さらに、韓国国防省が行っている内部調査では、2012年から2年間にわたって、部隊が「ポイントニュース」というインターネットメディアを運用し、7500件に及ぶ記事を投稿したと見られているということです。
捜査の背景には、保革の争い?
今回の検察の捜査については、革新系のムン・ジェイン政権による保守勢力への報復だとの見方もあります。
2008年に革新系のノ・ムヒョン(盧武鉉)政権から保守系のイ・ミョンバク政権に変わると、検察がノ元大統領の親族や側近を相次いで逮捕し、ノ氏自身も検察の事情聴取のあと自宅の裏山から飛び降りて自殺しました。このためノ氏の最側近だったムン大統領は自叙伝の中で、「国家権力を動員した最も過酷な報復を受けた」と記すなど、イ元大統領を強く非難してきました。
サイバー司令部による世論操作については、前のパク・クネ(朴槿恵)政権時代に軍の捜査機関によって調査が行われ、当時の司令部の幹部が逮捕されたことから、疑惑の追及は終了したと見られていました。
しかし、ムン政権は、政権上層部からの指示があったのではないかとして、ことし9月に国防省に再調査チームを設置し、改めて関係者への聞き取りやデータの分析などを進めてきました。韓国ギャラップによる最新の世論調査では、ムン大統領の支持率は74%となっていて、評価する最大の理由としては、「改革や積もり積もった弊害の清算」が挙げられており、過去の保守政権への厳しい対応が高い支持につながっています。
一方でムン大統領を支持しない理由としては、「過去の出来事の蒸し返し、報復政治」が30%と最も多くなっていて、革新と保守の対立の根深さをうかがわせています。
2008年に革新系のノ・ムヒョン(盧武鉉)政権から保守系のイ・ミョンバク政権に変わると、検察がノ元大統領の親族や側近を相次いで逮捕し、ノ氏自身も検察の事情聴取のあと自宅の裏山から飛び降りて自殺しました。このためノ氏の最側近だったムン大統領は自叙伝の中で、「国家権力を動員した最も過酷な報復を受けた」と記すなど、イ元大統領を強く非難してきました。
サイバー司令部による世論操作については、前のパク・クネ(朴槿恵)政権時代に軍の捜査機関によって調査が行われ、当時の司令部の幹部が逮捕されたことから、疑惑の追及は終了したと見られていました。
しかし、ムン政権は、政権上層部からの指示があったのではないかとして、ことし9月に国防省に再調査チームを設置し、改めて関係者への聞き取りやデータの分析などを進めてきました。韓国ギャラップによる最新の世論調査では、ムン大統領の支持率は74%となっていて、評価する最大の理由としては、「改革や積もり積もった弊害の清算」が挙げられており、過去の保守政権への厳しい対応が高い支持につながっています。
一方でムン大統領を支持しない理由としては、「過去の出来事の蒸し返し、報復政治」が30%と最も多くなっていて、革新と保守の対立の根深さをうかがわせています。
韓国 イ元大統領 野党批判の世論操作 関与を否定
韓国のイ・ミョンバク(李明博)政権下で、軍のサイバー部隊を動員して、当時の野党を批判する世論操作を行っていた疑いなどで元国防相が逮捕された事件で、イ元大統領が記者団の取材に応じ、みずからの関与を否定しました。
この事件は、イ・ミョンバク政権で国防相を務めたキム・グァンジン(金寛鎮)容疑者が、2010年から2年間にわたり、軍のサイバー部隊を動員して、インターネット上で当時の野党を批判する世論操作を行っていたとして、軍関係者が政治に関与することを禁じた法律に違反した疑いなどで11日、検察に逮捕されたものです。
韓国メディアは「キム元国防相が、工作活動について大統領府に報告していたと供述している」と伝えていることなどから、イ元大統領が事件に関わっていたのかが焦点となっています。
これについて、イ元大統領は12日昼ごろ、講演のため中東に出発するのを前にソウル近郊の空港で記者団の取材に応じ、世論操作を指示したのかと問われると、「常識に反するような質問をしてはいけない」と述べ、みずからの関与を否定しました。また、「新しい政権が過去の問題の清算として行っていることは、改革ではなく不満の発散や報復ではないか」と述べ、イ元大統領など保守勢力に対して、革新系のムン・ジェイン(文在寅)政権が報復をしていると批判しました。
ただ、韓国メディアは、キム元国防相が逮捕されたことから、今後、イ元大統領にも捜査が及ぶのは避けられないとの見通しを示しています。
韓国軍のサイバー司令部とは
世論操作の手口とは
韓国軍のサイバー司令部の元幹部によりますと、世論工作は司令部所属の「530心理戦団」と呼ばれる部隊が中心となって行っていたということです。
この元幹部は、2012年の大統領選挙の前後に、部隊のおよそ120人が1万2000回にわたって、インターネット上の掲示板に政府や与党を支持したり、野党を非難したりするコメントを書き込んだとしています。
部隊では、革新系の野党の国会議員の名前を挙げ、北朝鮮に融和的だとか、息子が兵役を逃れているなどと書き込んでいたとされるほか、議員を陥れるような合成写真や動画を作成し、インターネット上に投稿していた可能性も指摘されています。
韓国メディアが入手した軍の内部文書とされる資料では、隊員1人当たりの1か月の目標が設定されていて、掲示板へのコメントは96回、ブログの投稿は10回、ツイッターのつぶやきは132回とされています。また、投稿に応じた手当も用意されていて、1回当たり、掲示板へのコメントには日本円でおよそ60円、ブログはおよそ810円、ツイッターのつぶやきにはおよそ70円が支払われたということです。
さらに、韓国国防省が行っている内部調査では、2012年から2年間にわたって、部隊が「ポイントニュース」というインターネットメディアを運用し、7500件に及ぶ記事を投稿したと見られているということです。
この元幹部は、2012年の大統領選挙の前後に、部隊のおよそ120人が1万2000回にわたって、インターネット上の掲示板に政府や与党を支持したり、野党を非難したりするコメントを書き込んだとしています。
部隊では、革新系の野党の国会議員の名前を挙げ、北朝鮮に融和的だとか、息子が兵役を逃れているなどと書き込んでいたとされるほか、議員を陥れるような合成写真や動画を作成し、インターネット上に投稿していた可能性も指摘されています。
韓国メディアが入手した軍の内部文書とされる資料では、隊員1人当たりの1か月の目標が設定されていて、掲示板へのコメントは96回、ブログの投稿は10回、ツイッターのつぶやきは132回とされています。また、投稿に応じた手当も用意されていて、1回当たり、掲示板へのコメントには日本円でおよそ60円、ブログはおよそ810円、ツイッターのつぶやきにはおよそ70円が支払われたということです。
さらに、韓国国防省が行っている内部調査では、2012年から2年間にわたって、部隊が「ポイントニュース」というインターネットメディアを運用し、7500件に及ぶ記事を投稿したと見られているということです。
捜査の背景には、保革の争い?
今回の検察の捜査については、革新系のムン・ジェイン政権による保守勢力への報復だとの見方もあります。
2008年に革新系のノ・ムヒョン(盧武鉉)政権から保守系のイ・ミョンバク政権に変わると、検察がノ元大統領の親族や側近を相次いで逮捕し、ノ氏自身も検察の事情聴取のあと自宅の裏山から飛び降りて自殺しました。このためノ氏の最側近だったムン大統領は自叙伝の中で、「国家権力を動員した最も過酷な報復を受けた」と記すなど、イ元大統領を強く非難してきました。
サイバー司令部による世論操作については、前のパク・クネ(朴槿恵)政権時代に軍の捜査機関によって調査が行われ、当時の司令部の幹部が逮捕されたことから、疑惑の追及は終了したと見られていました。
しかし、ムン政権は、政権上層部からの指示があったのではないかとして、ことし9月に国防省に再調査チームを設置し、改めて関係者への聞き取りやデータの分析などを進めてきました。韓国ギャラップによる最新の世論調査では、ムン大統領の支持率は74%となっていて、評価する最大の理由としては、「改革や積もり積もった弊害の清算」が挙げられており、過去の保守政権への厳しい対応が高い支持につながっています。
一方でムン大統領を支持しない理由としては、「過去の出来事の蒸し返し、報復政治」が30%と最も多くなっていて、革新と保守の対立の根深さをうかがわせています。
2008年に革新系のノ・ムヒョン(盧武鉉)政権から保守系のイ・ミョンバク政権に変わると、検察がノ元大統領の親族や側近を相次いで逮捕し、ノ氏自身も検察の事情聴取のあと自宅の裏山から飛び降りて自殺しました。このためノ氏の最側近だったムン大統領は自叙伝の中で、「国家権力を動員した最も過酷な報復を受けた」と記すなど、イ元大統領を強く非難してきました。
サイバー司令部による世論操作については、前のパク・クネ(朴槿恵)政権時代に軍の捜査機関によって調査が行われ、当時の司令部の幹部が逮捕されたことから、疑惑の追及は終了したと見られていました。
しかし、ムン政権は、政権上層部からの指示があったのではないかとして、ことし9月に国防省に再調査チームを設置し、改めて関係者への聞き取りやデータの分析などを進めてきました。韓国ギャラップによる最新の世論調査では、ムン大統領の支持率は74%となっていて、評価する最大の理由としては、「改革や積もり積もった弊害の清算」が挙げられており、過去の保守政権への厳しい対応が高い支持につながっています。
一方でムン大統領を支持しない理由としては、「過去の出来事の蒸し返し、報復政治」が30%と最も多くなっていて、革新と保守の対立の根深さをうかがわせています。