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さあ~皆さんJ1ですよ!初昇格長崎たかた社長語る【前編】ジャパネット魂の改革

V・ファーレン長崎の高田明社長
V・ファーレン長崎の高田明社長
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新体制発足時の記者会見に臨んだ長崎の高田明社長(左)。右はジャパネットホールディングスの高田旭人社長=4月
新体制発足時の記者会見に臨んだ長崎の高田明社長(左)。右はジャパネットホールディングスの高田旭人社長=4月
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 J1初昇格を決めたV・ファーレン長崎は今季開幕直後、深刻な経営危機に陥っていた。存続の危機に直面していたクラブの立て直しに尽力した高田明社長(69)が、本紙の単独インタビューに応じた。あの甲高い声でおなじみ、通販大手「ジャパネットたかた」(長崎県佐世保市)の創業者。4勝1分け4敗の滑り出しだったチームは4月の就任後、19勝7分け6敗と飛躍した。就任からこれまでを振り返り、長崎愛と夢を語る。前編は「ジャパネット魂の改革」。

 ―V・ファーレン長崎の代表取締役社長に就任して7カ月が経過した。

 早かったですね。アッという間だった。

 ―ジャパネットの経営との違いをどう感じたか。

 ジャパネットや、カメラ店ビジネスの世界にいたけど、経営自体は「サッカーだから難しい」とは思わなかったですよ。業態は違っても「何のためのビジネスか」「何を目指したビジネスか」で、ミッションは同じ。いつも言ってるけど、スポーツは、スポーツを通してみんなを元気にする、子どもたちに夢を与える。それが活力になっていく。ビジネスってみんなそうだと思う。商品を販売したら、商品によって人が元気になる。生きがいが持てる商品を提示する。おしゃれをして楽しむとか、「人を幸せにすること」を機転に考えれば難しくなかった。

 ―ただ、第一に財政の立て直しだった。

 もちろんV・ファーレンに関しては企業再生なわけでしょ。そこは初めての経験だし、ふたを開けてみないと分からなかった。本当にマイナスのマイナスからのスタート。マイナスをゼロにして、ゼロから積み上げなくちゃいけない。どこまでマイナスを払拭(ふっしょく)して、どこまで積み上げていくのか。期待を持たれている方も多かった。

 ―覚悟の就任だった。

 ここまで大変とは思わなかったですよ(苦笑)。

 ―ジャパネットホールディングス(HD)がV・ファーレンを子会社化した。

 私の長男(旭人氏)がHDの社長をやってる。彼と話をして、やはり、このままV・ファーレンを無くしてはいけないと。自分がHDの社長のときには何年もスポンサーをやってきた。長崎の夢、元気印を無くすのは大きな損失。できるなら引き受けようと。決意を持って、覚悟を持って取り組みました。受けたからには、どうこう言っても始まらない。しっかりやろうと。

 ―何から着手したのか。

 会社の仕組みができてない。まあサッカーだって経営ですよね。収支が合って初めて夢に近づく、やりたいことができるわけですから。経営の観点からクラブ運営がなされていなかった。ある面で「お金がなくてもこうしたい」と誰もが思うけど、私の経験上、やっぱり夢はそれを実現できるほどの、お金にしても、人にしても、なかったらできない。組織や人、資金がない中で、夢だけが先行しちゃったかな。夢を持っていたことを、前の経営者にどうこう言うことはない。同じくらい長崎を愛していたのだろうと思う。でも身の丈に合った経営あってのこと。「こんなにないの」というのが一番。組織もこんなにできてないの、と。半年で、こう言えるところまで、できてきたねという感じ。まだ完成ではない。どれだけ完成度を高められるか。

 ―何をもって完成と考えているか。

 資金的に言えば、J1昇格時の予算規模は半端じゃない。名古屋はJ2ですけど30億円ぐらいの予算がある。J1で5億では絶対に回らない。補強を考え、安定化させるには、15とか20(億)のお金を確保しないと。もちろんジャパネットは先頭に立って投資をしていくけど、それだけでは駄目ですね。採算を取れるようにしないと。V・ファーレンはジャパネットの子会社だけど、経営を安定させるためにグループ化しただけ。長崎の夢だから、ジャパネットだけで喜んでも何の意味もない。できるだけ多くのスポンサーに入っていただき、たくさんのサポーターに応援していただく。県民全員に応援していただく。行政も企業も含めて結集して、応援していただける態勢ができたときに、初めておいしいお酒も飲めるんじゃないかと。応援してくださるスポンサーをたくさん開拓しないといけないし、安定した運営ができるようにしないといけない。

 ―ジャパネットの経営ノウハウは活用できるのか。

 それは全部やってます。ジャパネットの社長から離れて3年ぐらい。HD体制でいろんな仕組みがありますから。会社のセキュリティーシステムにしても、HDからそのまま移管してますし。諫早にある事務所は専用カードがないと入れないとか、そういうところから。働き方改革も、ジャパネットでやっている仕組みをそのまま応用している。1週間全く休めなかったとかいうのも、普通の企業として、週2回はノー残業デーとか、何時以降は残っちゃダメとか、労務関係を全部変えている。そういうところは全部導入できるので助かってます。

 ―営業努力については。

 営業も最初はやっぱりゼロから見直して、新しく発掘しないといけないところがある。私もトップセールスをしていく。これは約2カ月前から動きだしたところ。就任会見でも言ったけど、組織改革にしても、社内的なもの、社外の関わり方、スポンサー制度にしても、悪かったものは捨てる。100が悪かったわけじゃなく、10でも20でもいいものは残し、捨てるものは捨てる。そして新しく加える。残す、捨てる、加える。これを選別して新しい体勢にしていく。

 ―J1昇格で打ち出したい新機軸などはあるか。

 一気にはできない。ただ着々と変化は出したい。サッカーは試合だけではない。「試合の前」を楽しめるものにしたい。大きな花火を上げたり、Tシャツを1万人に無料配布したり。佐世保とか県北のファンが少ないから、よさこい(佐世保の祭り)を呼んで踊ってもらってコラボするとか。グッズもバリエーションが乏しかったらなかなか買ってもらえない。これは実際、僕がビジネスで学んだこと。商品も変わっていく。新しいものが出てきて初めて、次から買ってみたいと思える。そういうものを提供できるかどうか。ラインアップも全部見直す。食事を提供する場所も。全部見直している。

 (後編につづく)

=2017/11/12 西日本スポーツ=

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