ATAK過去作配信第3弾、今回は渋谷慶一郎の1stソロ、そして渋谷の原点となったアーティストの作品も
2017年9月11日より、毎月11日に、半年に渡って渋谷慶一郎が主宰レーベルのATAK過去作品を配信リリース。OTOTOYでは各作品に関して、毎回、ライター、八木皓平による渋谷慶一郎本人へのインタヴューを行い解説をお送りします。第3弾は、2004年リリースの渋谷慶一郎の1stソロ・アルバム『ATAK000』にボーナス・トラックが2曲加わった、2011年の『ATAK000+』。そして渋谷慶一郎が音楽の道を志すきっかけとなった、実験音楽の巨星、高橋悠治の関連作2作。『ATAK002』での共演から親交をさらに深め、〈ATAK〉からのリリースとなった、高橋悠治のソロ作で、電子音楽作品によるフル・アルバムとしては12年ぶりとなった『ATAK006』。そして、こうした交流が渋谷慶一郎とmaria、そして高橋悠治との共演ライヴへと結実、凄まじい緊迫感の中繰り広げられたこのライヴのドキュメントとなった『ATAK007』の3作品だ。
インタヴュー : 八木皓平
ミニマリズムは結構強力な乗り越える対象としてあって
──いま、パリに滞在のようですね。おはようございます。
いま、朝の9時なんですけど、7時に起きてスープ作って食べ終わったところです。
──めちゃくちゃ健康的(笑)。
昨日でリハーサルが終わって、今日は久々に朝ゆっくりなのでスープとチーズかじったりしてダラダラしてました(笑)。
2011年9月11日オリジナル・リリース(元になった『ATAK000』は2002年12月18日リリース)
keiichiro shibuya / ATAK000+
01. 1'11+
02. 1'55
03. 4'49
04. 5'51
05. 5'18
06. 4'12
07. 4'13
08. 4'37
09. 5'32
10. 5'10
11. 4'33+
【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / FLAC / ALAC
AAC
アルバムまとめ購入 1,050円(税込)
──そんなリラックスした時間にすいません! それではよろしくおねがいいたします。『ATAK000+』の元になった『ATAK000』のリリース自体は、2004年ですが。
うん。
──これは2002年の〈ATAK〉成立当初から制作されていた作品だったりするんでしょうか?
そんなことないです。ただ、当時のことを思うに、“0(ゼロ)”という番号を取っておいたんですよね。これは少し前に東浩紀さんが、
──いきなり熱い固有名詞が出て来ましたが……。
少し前に『ゲンロン0』という本を出したでしょ。
──そうですね。
そのときに「ああ」と思ったんですが、彼と僕は、たしか2歳くらしか違わなくて年齢的に同世代じゃない? 多分、僕たちの世代は“0”という数字に思入れがある最後の世代なのかもしれないんですよね。もし違ってたら単に申し訳ないんだけど(笑)。でも、“0”が象徴するものっていうのはある種のミニマリズムですよね。
──ですね、なるほどなぁ~。
“0”と“1”というのがミニマリズムだとしたら、“0”に内包される可能性とか無限性とか、そこからマキシマリズムな方向を検討してミニマリズムを乗り越えないといけないみたいな意識というか想い?みたいなものがずっと頭のなかにあって、それ故に“0”は大事な数字だった気がします。
──それはいま渋谷さんがオペラをやってることにもつながりますよね。
あれは典型的にマキシマリズム方向です。総力戦というか。だから東くんが『ゲンロン1』を自分の出版社の立ち上げに出版して、満を持して単著で『ゲンロン0』を出したときは熱くなりました。あ、胸がね(笑)
──そういわれると世代的な繋がりが見えますね。『ATAK000』は、当時のエレクトロニカでここまで突き詰めたものはないのではという、ミニマリズムの極北みたいなところありますよね。
その周辺の当時に影響を受けまくってたものに対して自分で総括したいみたいな野望を持ってました。
──それこそ前回話題に上がったマイクロスコピック・サウンドなんかもそういったものですよね。そういう意味では『ATAK000』は渋谷さんの当時の集大成というだけでなく、ゼロ年代前半のエレクトロニカの総括とも言える気がします。
うん、ただ今から振り返ると僕らしくない作品とも言えるんですよね。
──と、言いますと?
もちろん僕の中にはミニマルな側面もあるんだけど。
──はい。
ここまでミニマリスティックに、ノイズとあえてサイン波とリズムだけでというのは、その時に自分がやりたいと思ったスタイルに絞ってやったと思うんです。ただ、それを自分のレーベルで自分のソロ・1stアルバムとして出すというのは勢いと同時に世代的な困難も感じますね(笑)。
──「世代的な困難」の部分をもっと聞かせてもらっていいですか?
いや、僕の世代で「やっぱミニマリズムだよね、カッコイイよね」とか言ってたら単にバカなんですよ。
──たしかに、そうですよね。
しかし、ミニマリズムは結構強力な乗り越える対象としてあって。
──ある意味では、いまだに世界ではミニマリズムが幅を利かせてますしね。
それが前提になってるしそれはそれでマシなものはできるんだけど、すごく面白いものは出てこないという。
──さっき、リズムという言葉が出てきましたが、やはり本作は渋谷さんの中で、リズムが大きなテーマではあったんですよね?
あと音色かな。ATAK=attackの瞬間はそれしかないわけだから。
──リズムは、ありえないくらいバリエーションが豊富ですよね。
それぞれのリズムは、たしか秒数で作ってましたよ。4/4拍子とかではなくて。
──気が狂いそうですね……。
これを制作している時はすごい集中してて、1年間一滴もアルコールを飲まなかったな(笑)。
──超ストイックですね。
なんかイヴェントの終わりの乾杯とかも、僕だけ「水ください」とか言ってたから変な目で見られて気がする(笑)。そのぐらいすごい細かい作業してて、当時は用事で外に出てもすぐ家に戻って続きやるみたいな感じで。
──取り憑かれてますね。
この作品に限らず、自分の作品を作ってるときはそんな感じです。
当時やったこのアナログ・ミックスと言うのが、またメチャクチャな話で
──「5’32」にはピアノの音色が入ってるじゃないですか。
そうですね。
──当時の渋谷さんはピアノとノイズの併用にかなり気を付けていた印象があったのですが、『ATAK000』の制作のときには、「これはできるな」という感じだったのでしょうか。
『ATAK000』でのピアノの入れ方だけは当時の何の影響も受けてない、というかこういうピアノの扱い方はなかったと思います。
──そうだと思います。
これはすごい偶然で、ソロ・アルバムにずっと集中してて、いわゆる仕事をあまり受けたりしてなくて「お金がなくなってきて困ったな」とか思っていたら(笑)、当時SONYがクオリアというプロダクトのシリーズを開発してて、そこのディレクターからオファーがきたんですよ。「webであなたの曲を聴いたんですけど、まさにクオリアだと思うから、音楽をこのプロジェクトのために作ってください、それを買います」という。そのために作った曲が元にあったんです。そのときは「クオリアか。じゃあピアノかな?」みたいな、今思うと非常にバカみたいな連想で作り始めたんですけど(笑)。
──いや、いい話です(笑)。
あまりそこは深く考えないでコンピュータにピアノを取り込んで色々やってみたらできていたという。ちなみに5曲めもそうだったと思います。
──本作を聴き返して思ったのは、定位やノイズがいちいち身体的に気持ち良いんですよね。そういうフィジカルな快楽性を渋谷さんはずっと大事にしてますよね。
それはかなり意図的で、逆に言うと当時のサインウェイヴ系の音楽は、フィジカルな意味での音色とか定位の快感はない、というか僕には足りてなくて。僕はフィジカルな快感に特化した人間なので(笑)。そこは当時のそういった音楽とは、違ったアプローチをしようと思ってました。
──つまりコンセプトやプロセスに依らないってことなんですよね。快楽が。
確か最初のコンセプトを超えないプロセスは意味がないとかクセナキスが言っていて、それは大事だとずっと思ってます。で、この作品、当時は全てアナログ・ミックスしてるんです。で、当時やったこのアナログ・ミックスと言うのが、またメチャクチャな話で(笑)。
──聞かせてください(笑)。
ミックスダウンは普通マスタリングの前にしますよね。ただ、マスタリングは毎回してたけどミックスダウンを外のスタジオでやるなんていう予算は当時の〈ATAK〉にはなかったんです。で、マスタリングはkimken Studioでキムケン(木村健太郎)とやったいたんだけど、その時にAPIとかTUBEの真空管とかあらゆる最高のアナログのEQとかコンプレッサーを各種の代理店に電話して、「デモしたいから貸してください」とか言って取り寄せて。
──すごいですね。
コンピュータから各トラックをパラでアウトして、そこに「キックはTube」、「ノイズはAPIで」とかやって、またその音をコンピュータに96khzで録音してミックスしてたんです(笑)。
──あらゆる意味でギリギリですね(笑)。
(当時貸してくれた代理店には)感謝しています、マジで(笑)。やっぱり『ATK000』は話すことがありすぎますね(笑)。
──ほんとですよ。
でも、このアナロ・グミックスはすごい効いてますよ。このアルバムをサウンド・チェックに使ってる人多いし。あとは書いておかないといけないのは、最初『ATAK000』をリリースした時の白いジャケットはかなり特殊な紙質で、触ると濡れたような感触だったんです。これは音色と触感は似たようなものだなと言うアイディアでそうしたんだけど。それで、初回盤は結構すぐに売り切れて、長い間、廃盤みたいな状態だったんですよね。で、この『ATAK000』は『ATAK001 slipped disk』以上にmariaと作ったアルバムだと言う意識が強いんです。彼女は僕とキムケンがそのアナログ・コンプとかをレンタルして、繋いでミックスしてとかいう作業をずっとスタジオで一緒にやってて。彼女はモデルの仕事をしてたから、そうやって作業した次の日、撮影が早いときとかは、そのままスタジオで寝ちゃってそのまま撮影に行ったりしてた。で、彼女が死んで「やっと再発しないとな」とか思ったんだけど、当時と同じジャケットにする気はしなくて、当時の気分だったのかもしれないんだけど、同じグラフィックで普通の黒の何倍かの黒さのスーパー・ブラックにしたんです。それが『ATAK000+』です。
──ぼくが手に入れたのはそれでした(笑)。
それはすごく喪に服している、みたいな気分だったんだとおもうけど。
──それとは知らず、普通に喜んで棚に飾ってました。
それで、さらに最初と最後に2曲追加したもの。最後の曲は「4'33+」と言うケージの無音の曲と同じ分数にしたと言う。
──「4'33+」は、ATAK Dance Hall的な要素ありましたね。
これ、ADHでも使ってますね。『ATAK000+』に関しては、そんな感じかな。
「こりゃカッコイイな」と思って、作曲家になろうと思ったから
2005年7月13日オリジナル・リリース
yuji takahashi / ATAK006
01. gs-portrait(2005)
02. dctnzlgr(2005)
03. dsvgrt(2005)
04. wktnwb(2005)
05. hptn(2005)
06. krzlgch(2005)
07. kumo-rinzetsu 260795 雲輪舌260795 (1995)
08. und flieder in die sonne それとライラックを日向に (1989)
09. time(1963)
【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / FLAC / ALAC
AAC
アルバムまとめ購入 1,050円(税込)
──では、高橋悠治さんの『ATAK006』に移ります。この連載、渋谷さんを最近知ったばかりの人たちも読んでるみたいで、前に『ATAK002』でなぜ悠治さんと渋谷さんがコラボしてたのか、ふたりの繋がりがわからないといわれて、ハッとしたんですよ。
なるほどね。
──なぜか周知のことだと思って言及してませんでした(笑)。悠治さんは、渋谷さんが音楽家になる大きなきっかけなんですよね。
そうです。彼のコンサートを中学くらいに観に行って「こりゃカッコイイな」と思って、作曲家になろうと思ったから。
──『それとライラックを日向へ』はそのときに演奏してたんでしたっけ?
そうそう、カフカをテーマにしたコンサートをやっていた時期で『それとライラックを日向へ』にすごい影響を受けたんですよ。だから、それを再発したいと言うのがこのアルバムを〈ATAK〉でリリースするきっかけになったんだと思います。
注:渋谷は本作における解説で16歳のときの、高橋悠治の音楽との出会いを語っている
https://atak.jp/ja/music/atak006
──本作をリリースする際、悠治さんとどんな話をしました? コンセプトとか。
と言うか『ATAK002』を一緒に作ってから、ずっとよく話したりしてて。〈ATAK NIGHT1〉のファイナルでやった東京公演も悠治さんがゲストだったんです。
──それは知らなかった。
で、その時にやっていたのは『ATAK002』に入ってるんだけど、そのライブがすごい良くて、たしか「これはラップトップでソロ・アルバムを作りましょう」とか話し始めたんじゃないかな。
──なるほど。昔の曲も入りつつ、あとは最初の6曲は新曲、なんですか?
最初の6曲は新曲ですね。
──これ、1曲目がダブ処理されたジャンベにノイズと悠治さんのポエトリーリーディングが乗るという感じで、今聴いても超カッコイイですよね。
すごいバランスだと思います。1曲目は特にいいと思います。
──異常ですよね。
1曲目の曲名の「gs-portrait」の“gs”って、ガートルード・スタインのことで。悠治さんの声は彼女のテクストを読んでる断片だと思います。ガートルド・スタインは、僕もこの頃よく読んでて『ATAK015 for maria』に「Ida」っていう曲があるけど、それも彼女の小説のタイトルから引っ張ってきてますね。
──やー、気づかなかったです。すごくいま感動しました。
いまと比べると色んなことがすごく繋がってる時代だったんだな。
──この曲ってダブ的な要素がありますけど、悠治さんは当時ダブにハマってたとかってあります? もちろん、ずっと聞いてはいたんでしょうけど。
ダブの話はしてた記憶がある。
──へ~!
たしか「ダブの一番面白いところは、手でやるっていうことだ」とか。「コンピュータで全て作っていくとロジックの集積になるけど、ダブ的なアプローチというか暴力性というのは、コンピュータの外から手が伸びてきて一瞬で全てを変えてしまうところだ」みたいなことを話していた気がする。で、実際彼は当時ダブを結構聴いていたと思います。
──渋谷さんもダブの影響ってありますかね?
あります。ただ、なんと言えばいいのかよくわからないな……。悠治さんとはリーペリーの話とかした記憶があるけど。ただいつかダブのエンジニアとアルバム作りたいなと思っていて、自分がコンピュータで緻密に作ったものを最後にダブ・ミキシングで壊して欲しいなと思ったりもしてます。
──それは実現したら、めっちゃ楽しみですね。
当時のシカゴ音響派が結構好きでその影響もあったりします
2006年1月25日オリジナル・リリース
yuji takahashi + keiichiro shibuya + maria / ATAK007
01. 4'39
02. 1'02
03. 4'27
04. 3'29
05. 3'03
06. 0'52
07. 4'15
08. 1'16
09. 1'36
10. 3'46 他、全20曲収録
【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / FLAC / ALAC
AAC
アルバムまとめ購入 1,050円(税込)
──さてそろそろその高橋悠治さんと、mariaさんとのコンサート”dub lilac”のライヴ盤になる『ATAK007』ですね。これは『ATAK002』や『ATAK006』からの流れで、っていう感じなんでしょうか。
そうですね、まさに。当時のライヴのyoutubeありますよね。
──ありますね。
悠治さんがピアノで、僕がProphet-5とコンピュータ。さらにmariaがそれらをリアルタイム・プロセッシングしてノイズも足すという結構面倒なこともしています(笑)。
──そこに高橋悠治さんの朗読も足されて情報量が過剰ですよね(笑)。
本当にそう。Radianとか、当時のシカゴ音響派が結構好きでその影響もあったりします。
──なるほど!
僕的にはね。
──これはある程度、ライヴの構成なんかは打ち合わせしてたんでしょうか。
こういう即興を主体にしたライヴやるときは、だいたいいつもそうなんだけど、やる曲だけ決めておくだけ。あとはそういう曲を前半か後半にやるか、そのくらい決めごとはあるけど、他の決めごとは一切ないかな。
──つまり、即興の中に突如として楽曲がぶち込まれるみたいなこともあるんですね。
高橋悠治さんの曲のなかで「さまよう風の痛み」が、僕はすごい好きな曲で、それはこの編成でやりたいなと思って提案しましたね。実際にやってみて、悠治さんのピアノに自分のProphet-5がユニゾンで重なったりするとこは自分でも弾いてて感動した記憶がある。
──あそこは本作のひとつのハイライトですよね。渋谷さんのProphet-5がすごくよくて、悠治さんのピアノとも絶妙なバランスなんですよね
良いバランスだなと思います。youtubeにあるのは、1曲目、つまりコンサートのスタートなんだけどキックみたいな音とかノイズとか、全てProphet-5でその場で僕が弾いてますね。コンピュータは使っていない。
──Prophet-5の音作りは事前にけっこうやっていきました?
Prophet-5の音作りはすごくやってました。
──そういう感じがしますよね。
Prophet-5をノイズ・ジェネレーター化したというか。
──あれ、『ATAK001』ではNord Leadを使ってましたよね?
使ってました
──渋谷さんの中でプロフェットとNord Leadの使い分けの基準とか、機材に対するイメージとかありますか?
Prophet-5を買ったら、そっちの方が全然面白くて。Nord Leadは当時あまり使わなくなったかな。
──なるほど。
でもいまはパリに置いてあって、壊れたんだけど直してない(笑)。
──かわいそうですね(笑)。
でもNord Leadも、いま弾いてみたら別のおもしろさがあるのかもしれない。一定水準にあるシンセはそういう再発見はあって、Nord Leadはその水準にあると思います。
''──Prophet-5のジョン・ケージ「Dream」があまりによかったので、ちょっとProphet-5についてききすぎました(笑)。'
『ATAK007』はCDでもわずかに在庫があって、〈ATAK〉のウェブ・ショップでも買えるから保存版にしてもらうのもいいかと思います。
ATAKの公式ショップにCDの僅少在庫あり
──ピアノ、Prophet-5、そしてラップトップの編成だと、ラップトップもある意味では「演奏」だと思うんですけど、ピアノ、Prophet-5の楽器と、そのへん、やってる側としてはいかがでした?
うーん、Prophet-5とかTR808のようなガチの電子楽器と比べると、コンピュータ、言ってしまえばオーディオ・インターフェイスになるわけなんだけど、音のアウトプットとして弱いなと思います。
──なんか改めて聴いててけっこうそこが気になったんですよね。
だから演奏という意味では楽器の方がやはり良くて、コンピュータは構築されたものとか組み合わせの妙みたいなものになるという、極めて当たり前の話しかできない自分にいまこの瞬間引いてますけど(笑)。でも事実そういうものです。
──いやいや、なんか色んな可能性が渦巻いてるライヴなので、気になっただけで(笑)。
ひさびさにProphet-5を使ったライヴをもしかしたら来年やるかもしれなくて。それはまた次回に。
──マジですか! それは楽しみです。
第4回に続く
PROFILE
渋谷慶一郎
音楽家。1973年生まれ。東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。2002年に音楽レーベルATAKを設立、国内外の先鋭的な電子音楽作品をリリースする。代表作にピアノソロ・アルバム『ATAK015 for maria』『ATAK020 THE END』、パリ・シャトレ座でのソロコンサートを収録した『ATAK022 Live in Paris』など。また、映画「はじまりの記憶 杉本博司」、ドラマ「TBSドラマSPEC」など数多くの映画・TVドラマ・CMの音楽も担当。2012年には、初音ミク主演による世界初の映像とコンピュータ音響による人間不在のボーカロイド・オペラ「THE END」をYCAMで発表。同作品は、その後、東京、パリ、アムステルダム、ハンブルグ、オーフス、アブダビ、ジョージアなど世界数カ国で公演が行われ、現在も上演要請が絶えない。2016年にはサティ、ピカソ、コクトーのコラボレーション作品「Parade(パラード)」のリメイク「Parade for The End of The World」をパリで発表。2017年にはパリ・オペラ座でパリ・オペラ座・エトワール、ジェレミー・ベランガールとビデオ・アーティストチームのエイドリアンM & クレアBとのコラボレーションによる「Scary Beauty」のダンスバージョンを発表。最新作はアンドロイドとオーケストラによるモノオペラ「Scary Beauty」で今年9月に初演が決定、その後は世界巡回が予定されている。これまでにアーティストの杉本博司、複雑系研究者の池上高志、ロボット学者の石黒浩、パリ・オペラ座・エトワールのジェレミー・ベランガールなど数多くのアーティスト、またルイヴィトンやピガール、エルメネジルド・ゼニアといったファッションブランドともコラボレーションを展開している。現在は東京とパリを拠点に活動を展開している。