マンションを最も高く売るための正しい売値の決め方と相場の見極め方

マンションの売値について、「相場や妥当な売値ってどうやって判断すればよいの?」「損をしないための注意点や高く売るためのポイントはあるの?」などと気になっていませんか?

不動産価格が高騰していて、中には購入価格よりも値上がりしている物件も多い昨今、自宅や投資用のマンションの売却を検討するには絶好の時期であるのは間違いありません。

しかし、マンション売却における最終的な損益は、査定に基づく売値や媒介業者の実力次第で何十万・何百万といった単位で大きな差が生まれることもあるため、損をして後悔しないためにも、売値については業者任せにせず、しっかりと自分でも判断できるようにしておくことが肝心です。

このページでは、元大手不動産会社に勤務し、延べ2,000件以上の不動産売却に携ってきた筆者が、「マンションの売値の正しい判断と高く売るために大切なポイント」について、以下の流れに沿ってご紹介します。

  1. マンションを最も高く売るための正しい売値の決め方
  2. マンション売却で利益を上げるために最も大切な2つのポイント
  3. マンションが売れない場合の賢い売値改定方法とタイミング
  4. 築年数の経過でマンションの売値はどの程度下がるか?

すべて読めば、「マンションの売値」について、プロと同等の知識が身につき、賢く売却できるようになるでしょう。

1. マンションを最も高く売るための正しい売値の決め方

<正しい売値決定の4ステップ>

  1. 売買成立価格を元に大まかな適正相場の感覚をつかむ
  2. 複数の業者から売値の査定を取る
  3. 査定の根拠とターゲットを明確にして適正相場価格を判断する
  4. 適正相場価格の1割程度高めで売値を設定する

マンションは一つ一つが個別のものであり、全く同じ物件は二つと存在しません。

また、マンションの売買価格は売り手と買い手の合意で成り立つものですので、「たまたまその物件に高い価値を感じてくれる人がちょうど良いタイミングでマンション探しをしていれば相場よりも高く売れる」というようなこともあり得ます。

そのため、収集可能な情報はあくまで類似の物件における情報であるため参考にしかならないという前提を認識しながら、上記の4ステップに沿って賢く売値を決めていくことが大切です。

1-1. ステップ①|売買成立価格を元に大まかな適正相場の感覚をつかむ

とはいえ、何かしらの基準がなかいと適正な売値を決めることはできませんので、まずは自分のマンションにどれくらいの価値を感じてくれる人がいるのかという相場について大まかにでもつかんでおくことが必要です。

その際に大切なのが、マンションの相場は「売値」ではなく「売買成立価格」で判断するということです。

マンションの正しい相場を知るための3つの方法
方法 確認できること
1 不動産広告サイトで確認 売値
2 取引事例確認サイトの利用 売買成立価格
3 不動産業者による査定比較 精緻な個別価格

マンションの相場を調べる方法には、大きく上記の3つの方法がありますが、多くの人がやりがちなのが、SUUMOや『HOME’S等の大手不動産広告サイトで売出中の物件の中で自身のマンションと同エリア・類似条件の物件を探すという方法です。

しかしながら、この方法では、自分が売り出した際の競合となる物件の情報は得られますが、そのときに売出中の物件しか探せず類似物件が見つかるとは限らない点や、あくまで売値にすぎないため、「その価格が適正であるか」や「きちんと成約するか」まではわからないといった欠点があります。

そのため、相場を調べる際には、実際に成約した実績を基にした価格相場を調べることができる取引事例確認サイトで調べることが大切です。

おすすめの取引事例確認サイト

REINS Market Information(レインズ・マーケットインフォメーション)

宅建業者が媒介契約により関わった不動産取引は、宅建行法により「REINS(レインズ)」という業者専用データベースへの記録が義務付けられており、取引事例確認サイトは、この「REINS(レインズ)」の情報を基にしていることから、どのサイトでも出てくる情報量はほぼ同じといえます。

また、レインズでは一般の人でも簡単に過去1年間のエリア毎の売買取引実績が検索・確認できます。

仮に、「新宿区西新宿」で検索すると以下のような結果になりました。

過去1年間で合計118件のマンション売買取引実績が確認できました。

これらは、実際の取引に基づく成約価格を集計公表されたものになりますので、民間サイトの相場検索などと比較しても圧倒的な信頼性があります

1-2. ステップ②|複数の業者から売値の査定を取る

ある程度の相場感がつかめたら、次に複数の業者から実際に売値の査定を取ります。この際に大切なのが、必ず複数(最低でも3社以上でできるだけ多く)の業者から査定を取ることです。

その理由は以下の通りです。

  • 入り口は多い方が信頼できるパートナーに出会える確率が上がる
  • 情報が多い方が相場の確認の精度が上がる
  • 売値・仲介手数料の等の条件交渉のための比較材料になる

まず大前提として押さえておくべきポイントとして、マンションを売る際の売値査定では、業者により査定額は大きく異なります。

それは、業者により特性(営業エリア、規模、得意分野、自社広告媒体の有無、在庫物件、問い合わせ状況等)が全く異なるためです。

特に不動産はエリア特性が強いため、得意な営業エリア外の案件の場合には過去事例の確認のみといった機械的な査定のみで全く頼りにならないような業者も中には存在しています。

そのため、マンションを売る際の売値査定では必ず複数社(自分が納得のいく業者に出会うまで何社でも)から査定を取り比較することが大切です。

1-3. ステップ③|査定の根拠とターゲットを明確にして適正相場価格を判断する

  • どのようなマーケティングを行っているかで業者の実力や良し悪しがわかる

複数の業者を比較する際に、査定額ばかりに目がいってしまう人が多いですが、実はそれ以上に大事なポイントが「査定の根拠」です。

前述のとおり、マンションは、全く同じ物件は存在しない唯一無二の財産であるため、類似物件の売買事例や近隣相場といったものはあくまで一つの参考基準にずぎず、その物件の適正な価格査定をするにはより具体的なマーケティングが必要です。

しっかりとしたマーケティングを行なっている業者であれば、査定額の根拠について、その物件固有の事情を見極めて、「どんな人が購入者の候補で、どんな物件が競合となり得て、現在いくらで売出し中であり、それと比較した上で有利・不利な点はこうであるから、今回はいくらぐらいで売り出すのが妥当」といったような具体的な説明があります。

このようなしっかりとした良い業者と出会えるかで、マンション売却の成否が大きく変わりますので、信頼できる業者を見つけ、その業者と協議しながら適正相場価格を判断するようにしましょう。

1-4. ステップ④|適正相場価格の1割程度高めで売値を設定する

適正相場価格を判断したら、実際に売り出す際の「売値をいくらにすべきか」を決めていきます。

こちらも物件の条件やエリア等に合わせて、相場からあまりにもかけ離れすぎない程度で高く設定することが重要ですが、これまで2,000件以上の仲介に携わってきた私の経験上、概ね適正相場価格から1割増し程度が上限といえます。

前述のとおり、マンションの売買価格は売り手と買い手の合意次第で、「たまたまその物件に高い価値を感じてくれる人がちょうど良いタイミングでマンション探しをしていれば相場よりも高く売れる」ということもあり得ますので、よほどの時間的制約がない限りは最初の1~2ヶ月は高値で売り出すことをおすすめします。

当然に、売値を高めに設定したのであれば、それにふさわしい写真や広告等を用意してもらうようにすることも必要ですので注意しましょう。

2. マンション売却で利益を上げるために最も大切な2つのポイント

  • ポイントは、「仲介手数料」と「売値」の2つ

マンション売却で利益を最大化するためには、下記の2つを意識することが大切です。

  • 賢く見積もり査定を取り、「売出し価格を高く」する
  • 売却費用でも最も大きな「仲介手数料」を抑えつつ、それでも買い主を見つけて来れる力のある仲介業者に依頼する

マンションを売る際には様々な費用が掛かりますが、売り方次第ではあまり費用を掛けずに売却することも可能です。

そして、その中で最も大きな金額を占める重要な費用が「仲介手数料」です。

仲介手数料は、不動産業者や交渉によっても変わってきますが、宅建行法により上限額が決められており、ほとんどの業者がその上限で料金設定しています。

宅建行法に基づく、仲介手数料の上限額は以下の通りです。

宅建業法に基づく仲介手数料の上限額
「売買価格」 × 3% + 6万円 + 消費税
売買価格3,000万円(消費税8%)の場合 103万6800円

売り主にとっての利益を最大化するためには、この「仲介手数料」を抑えながら、「売値を高く」して、それでも買い主を見つけて来れる力のある仲介業者に依頼することが最も大切です。

2-1. 仲介手数料を安く抑えるには

前述の通り、仲介手数料は、何も言わなければほとんどの業者で上限価格設定されているため、必ず複数社比較しながら安くしてもらうよう交渉することが大切です。

交渉によっては、通常3%のところを2%で引き受けてもらえるといったようなケースも多く、仮に売値3,000万円の物件であればそれだけで税込み32.4万円も費用を抑えることができます。

そのため、まずは無料一括査定サービス等を活用して、複数の業者に売値の査定と共に媒介条件の提示をお願いするようにしましょう。

無料一括査定ならここがおすすめ

不動産売却の無料一括査定サービスはたくさんありますが、運営会社の信用度や参加企業群の優良度から見ても、NTTデータスマートソーシングが運営する『HOME4U』が圧倒的におすすめです。

HOME4U』は、数ある不動産無料一括査定サービスの中でも最も老舗で16年の歴史と累計20万件以上の実績があります。また、NTTデータグループ企業が運営している点からも信用度が圧倒的です。

地元業者も含めて幅広くリサーチしたい場合にはここもおすすめ

HOME’S』は、大手の不動産業者以外にも地元の不動産業者の登録が非常に多く、登録業社数が1,300社以上と、数ある無料一括査定サービスの中でも最大規模の業者です。

先の『HOME4U』の550社以上と比較しても圧倒的な登録業社数と言えます。

特に地方等、大手の不動産業者以外にも、地元の不動産業者を含め幅広いリサーチがしたい人にはおすすめです。

【Pick up】一括査定で相場と最高条件を確認した上でココを本命に交渉するのがベスト

ソニー不動産』は、不動産業界では後発ながら、ソニーのIT技術を活かした集客や、日本の不動産業界ではこれまでにない「売主専属の売却専門エージェントサービス」を導入する安心感抜群の大手不動産業者です。

「売主専属の売却専門エージェントサービス」とは、売主と買主両方を仲介する場合に存在する利益相反関係(どっちの味方をするか)を気にすることなく、高く売ることだけに集中してもらえる公平かつ合理的な仲介制度です。

売却専門エージェント制ではない場合には、売主と買主の両方から仲介手数料を取るために意図的に情報を他社へ公開しない「囲い込み」という売主のデメリットを招く可能性があります。

上図のように、売主の希望条件で成約できる購入希望者が他社で見つかった場合でも、断りを入れる等の機会損失が発生する可能性がります。

一方、売却専門エージェント制を採用しているソニー不動産では、売主だけのエージェントとして、オープンに物件情報を公開するため、条件に沿った買主を早く発掘でき、結果的により高く売却できる可能性が上がります

この制度は不動産取引先進国の米国では当たり前の制度で、高く売ることを考える場合には最も合理的な制度ながら、片方からしか仲介手数料が取れないため、実は、日本の大手で専門エージェント制を公言しているのはソニー不動産くらいです。

そのため、安心できる大手業者で仲介手数料を抑えながらもできるだけ高く早く売却したいなら『ソニー不動産』が圧倒的におすすめです。

現実的には『ソニー不動産』一社だと正しい相場観がつかめず、条件交渉の材料も揃いませんで、“『HOME4U』や『HOME’S』等の無料一括査定サービスを使って物件の相場観(最高額)と各業者の条件を確認した上で、その売出し価格や条件を比較材料に安心感のある『ソニー不動産』に相談する”というのが賢い方法でしょう。

2-2. 売値を高くするには

結論から言うと、複数社から査定を取り、最も高い査定額(場合によってはそれ以上の価格)を基準に、その価格で売出す前提での条件をそれぞれの業者と交渉することが必須です。

物件の売値は、売り主に決定権があるため、ある程度自分で決めることができます。

しかしながら、仲介業者は媒介契約を結ぶと買い主を見つる努力をする義務が発生するため、自分の実力以上の仕事や条件が割に合わない仕事は当然に受けません

仲介業者からすると、「できるだけ条件の良い物件を相場より安く仲介することで、早く簡単に仕事が回せる」というメリットがあり、自分たちが無理なくまとめられる価格でしか査定しないという裏事情もあります。

そのような、業者都合の理由で売り主が損をするというのはあってはなりませんので、必ず複数社から査定を取ると共に自身でも相場を調べ、最低でも最高査定額(それが腑に落ちない場合には自身で調べた価格)を基準にそれぞれの業者と交渉するようにしましょう。

3. マンションが売れない場合の賢い売値改定方法とタイミング

マンションが売れない場合の賢い売値改定方法とタイミングについては上図の通りですが、マンションの売値の改定というのは、事前のマーケティングに基づく適正相場価格の判定がしっかりとできていれば、基本的に、最初に高値で売り出した場合における適正価格への修正以外では必要のないものです。

そのため、売り出した後で売れないという場合には、その原因がどこにあるのかを明確にする必要があります。

その場合の主な原因としては、「業者の広告量や営業力等の問題」とそもそもの「マーケティングの問題」であることがほとんどですが、いずれにしても「業者の能力についての問題」になりますので、むやみに売値を改定せずに他の業者をあたり、必要に応じて業者変更をした方がよいでしょう。

4. 築年数の経過でマンションの売値はどの程度下がるか?

結論から言うと、「マンションの売値の経年による減価の程度は、物件によって全く異なるため正解はない」と言えます。

また、エリアや物件によっては築年数の経過よりも経済情勢の変化に伴う市場相場の変動の方がより売値に影響を与えるケースも多いです。

以上のことから、築年数の経過に伴うマンションの売値の減価だけを考えることにはあまり意味はありませんが、築年数の経過に伴うマンションの売値の減価としては主に以下のように考えておけばよいでしょう。

マンションの場合、取引価格の中には敷地利用権としての土地の価値も含まれていますが、経年により減価していくのは建物だけです。

さらに、通常、建物も住める状態であれば価値がゼロになることはなく、特にマンションの場合には共用部等の価値や管理・修繕による資産価値の維持がなされていることから、概ね20%程度は最終残存価値として残ってきます。

相続税や固定資産税等の税金の計算上における「経年原価補正率」においても最大で80%までしか減価せず、最終残存価値が20%となるよう設定されています。

そのため、物件の需要や人気度合い、経済情勢の変化等を一切考慮せず、建物が形式的に減価していくとするならば、概ね約13年程度で建物価値が新築の半額程度まで減価するというような計算が可能です。(土地と建物が同じくらいの価値のマンションであれば、新築購入価格の約75%程度ということになります)

しかしながら、現実的にはこのような形式的な減価にはなりませんので、やはり、その都度査定をしてもらわなければ正確な価値はわからないというのが実情です。

5. まとめ

いかがでしたでしょうか。

「マンションの売値や賢く売却する方法」についての疑問や悩みが解消できたのではないでしょうか。

マンション売却は、一見難しそうで、「とても多くの手間や労力が掛かるのでは?」という勘違いをされている人も多いですが、売却後の確定申告も含めて実は意外と簡単に売却できてしまいます。

本ページでは「マンションの売値や賢く売却する方法」について、重要なポイントは出来る限り網羅的にご紹介してきましたので、上記の内容をしっかりと理解した上で、後悔しない上手な売却を検討してみて下さい。

〈本ページでご紹介したサービス・業者〉

  • HOME4U』|NTTデータグループ会社が運営する圧倒的な信用度の無料一括査定サービス
  • HOME’S』|登録業社数が最大規模で地元不動産業者への査定依頼に最適なサービス
  • ソニー不動産』|売却専門エージェント制を採用する安心感抜群の大手業者

〈土地売却の賢い方法〉

“『HOME4U』や『HOME’S』等の無料一括査定サービスを使って物件の相場観(最高額)と各業者の条件を確認した上で、その売出し価格や条件を比較材料に安心感のある『ソニー不動産』に相談する”

※売却検討にあたっては、同時に「貸した場合の収益性」も検討すべきです。

基本的には売った方が良いというのが筆者の考えではありますが、

  • 資産価値が落ちにくい都市部等にある
  • 年間賃料が売却査定額の5%以上(表面利回り5%以上)で貸せる

なら賃貸物件として保有するのも賢い選択の一つです。

さらに、賃料査定書があると、賃貸した場合の収益性を示す根拠資料となり、売却に際して買い手の安心材料に繋がり非常に有利に働きます。そのため、「売却価格の無料一括査定」と同時に「賃料の無料一括査定」もしておきましょう。

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