分裂勘違い君劇場の別館

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意外と知られてない、おっさんでも頭のキレと集中力が一日中続くようにする方法

「年をとって、頭のキレと集中力が続かなくなってきた」と言う人は、集中力の投資戦略を間違えていることが多い。

一番まずいのは、なけなしの集中力を、仕事や勉強に使い果たしてしまうことだ。

仕事や勉強で集中力を使い果たしてしまうから、「集中力を上げること」に投資すべき集中力が残っていない。

これでは、集中力は、経年劣化で低下していくばかりだ。

これを避けるためには、手持ちの集中力を「集中力を上げること」に最優先に投資するようにする。


もちろん、ただ漫然と、運動、瞑想、睡眠、野菜をやっても、集中力は上がらない。
よく考え、注意深く戦略を練りながらやらないと、たいていは、すぐに挫折して、無残な失敗に終わる。

重要なのは、投資効果、優先順位、実行順序、情報収集・分析・評価、実験・分析だ。


もちろん、頭のキレと集中力を上げるのに、一番投資効果が高いのは、おそらく、「睡眠の質と量を上げる」ことだろうとは分かっているが、
話はそんなに簡単ではない。

 

なぜなら、おっさんになってくると、「深く長く眠る能力」がどんどん低下してくるからだ。

「深く長く眠る能力」を上げるのに、試す価値があることの一つは、朝、ハードな運動することだ。
息が切れるほどの運動だ。

ここで一番重要なのは、いきなり「運動をすること」に集中力を使ってはいけないということだ。
そうではなく、「運動習慣を定着させること」に集中力を使うほうが優先順位が高い。
「根性で運動を続ける」なんて、論外だ。
人並み外れて根性のある人を除き、だいたい挫折する。

運動習慣を定着させるためには、挫折要因を取り除くことを、最優先でやらなければならない。

最大の挫折要因は、なんといっても、「時間がない」というものだろう。
この問題を解決するため、単位時間あたりの運動量を最大化する戦略をとる。

つまり、短い時間で、めっちゃハードな運動をするのだ。
たとえ、一日20分しか時間がとれなくても、すごくハードな運動なら、たった20分でも、すごい運動量になる。

できればランニングがいいが、おっさんになってくると、膝や足首の関節がだんだんダメになってきて、ハードなランニングが困難な人もいる。
その場合、速歩をする。出来る限り大きく手を振り、大股で、出来る限り速く歩く。

自転車は微妙だ。
自転車で息が切れるほどこぐと、スピードが出過ぎて危険だからだ。

泳ぐのも、微妙だ。
そんな早朝から開いているジムは少ないし、着替えと往復に時間を取られるので、
単位時間あたりの運動量が少なく、時間の投資効果が悪い。

もちろん、人間の運動能力は、午後の方が高くなっているので、午後の方が、楽にハードな運動ができる。
しかし、目的が「睡眠の質と量の向上」であるなら、今までの研究では、運動に最適な時間帯は、朝だという結果が出ている。
詳しく知りたい人は、「morning exercise sleep」で検索してみよう。


次に大きな挫折要因は、「なんとなくめんどくさくなって、やめてしまう」だ。
この挫折要因を取り除くのに一番効果があるのは、朝起きたら、一切、何もせずに、いきなり運動するようにすることだ。
布団もたたまず、顔も洗わず、飯も食わず、
パジャマを脱いで、運動着に着替え、トイレに行ったら、すぐに運動を始める。
とりあえず運動してしまってから、それ以外のことを考えるのだ。

※ もちろん、寝起きでいきなり運動すると、血圧が急上昇するリスクがあるので、血圧の問題がある人は、医師と相談してください。


その次に大きな挫折要因は、心肺機能が低いことだ。
その場合、当面の目標を、「運動すること」ではなく、「心肺機能を高めること」にする。
最初は、3分でも5分でもいいので、とにかく、少しずつでも、心肺機能を上げていけばいい。
そして、心肺機能を高めるのが目的なら、何も朝に運動する必要はない。
まずは、どんな時間帯でもいいので、とにかく、こまめに時間を作って、心肺機能を高める運動をするようにする。
そして、十分に心肺機能が高まったら、そのときに、朝、運動するようにすればいいのだ。
また、心肺機能を高められるのなら、どんな種類の運動でもいい。
休日の水泳でも、エアロバイクでも、かまわない。
それで心肺機能が十分に高まったら、その後、毎朝のジョギングなり速歩なりにすればいい。

 

それから、もう一つのポイントは、睡眠の質や量とは関係なく、単にハードな運動そのものに、集中力を上げる効果がある、ということ。
ハードな運動をすると、ミトコンドリアが増える。
糖や脂肪をエネルギーに変えるのはミトコンドリアなので、ミトコンドリアが増えれば、それだけエネルギー生産力が高まり、集中力も上がる、という理屈だ。
詳しく知りたい人は「mitochondria exercise」で検索してみよう。

ただ、一般に「interval training」がいいとされているが、
実際には、おっさんがそれをやろうとすると、挫折することが多い。
時間のたっぷりある老人ならともかく、
現役でばりばり働かなきゃならないおっさんには、そんなことをやってるヒマはないからだ。

つまり、interval trainingだと、単位時間あたりの運動量が少なすぎるのだ。
時間効率が悪すぎる。
忙しい人は、ハードな運動を20~30分、さくっとやるのが、一番、無理がない。

この時重要なのは、「決して、痩せようとしてはいけない」ということだ。
ダイエットには、比較的長時間の有酸素運動が効果的かもしれないが、忙しいおっさんは、長時間の運動をやってるヒマなんかない。
無理にやろうとすると、「時間がないこと」が原因で挫折する。
だから、ダイエットはきっぱり諦めて、純粋に、「集中力を上げるためだけの運動」に徹しよう。

 


集中力を高めるために、もう一つの効果的な方法は、やはり、瞑想だ。

ここで重要なのは、
「いきなり瞑想すると、たいてい失敗する」
ということだ。

なぜかというと、「瞑想する能力」が低いからだ。
瞑想する能力が低い人がいきなり瞑想しようとするから、失敗する。

だから、まずは、「瞑想すること」ではなく、「瞑想能力を身につける」ことを目標とする。


瞑想の最大の挫折要因は、「瞑想をやる気力がない」というものだ。

そもそも、瞑想能力の低い人間が瞑想を行うには、多大のエネルギーがいる。
にもかかわらず、仕事や勉強で気力を使い果たして、帰宅してから、瞑想しようとするから、挫折するのだ。

疲れていても瞑想できるのは、既に瞑想能力を獲得した人間だけだ。
初心者が真似しても、うまくいくわけがない。

初心者は、まず、気力体力の充実した、最良の時間を使って、瞑想スキルを獲得する戦略でいかなければいけない。

一般に、最高に集中力が高まる時間は、起床後、1時間後~4時間後ぐらいの間だ。
まずは、この、「最良の時間」を使って、「瞑想能力の獲得」を行う。

一般的には、休日の朝がいいだろう。


次に挫折要因になりやすいのが、
「瞑想状態の具体的イメージが、いまいちピンとこない」
というものだ。

この解決策は、
「自分がピンとくる瞑想状態を記述した文章を作る」
というものだ。

瞑想よりも先に、瞑想能力の獲得を、
瞑想能力の獲得よりも先に、瞑想状態の記述文章の作成をするのが、
優先順位が高い。

まずは、この文章を開発&チューニングすることに、全エネルギーを集中させる。

この文章は、長文ではだめだ。

箇条書きがいい。

なぜなら、この文章を読みながら、瞑想練習を行うからだ。

ぱっと見て、すぐに頭に入ってこないような文章でないと、だめなのだ。

この文章を作成する。
→ その通りに瞑想してみる。
→ イマイチな部分を見つけて、改良する。また、瞑想の習熟度が上がったら、それに合わせて、変化させる。
→ また、それを読んで、瞑想に入る。

現時点の私の瞑想状態記述文書は、以下のようになる。

=======================
●ココロとカラダを静かにして、自分の中に何が起きているのか、ありのままを観察し続ける。

●意図的に、今の瞬間に、評価や判断と無縁の形で、注意を払う。

●「今、ここ」に100%心を向ける。

●心を込めて、なにもしない。

●呼吸に意識を集中する。

●注意がそれたら、それをそっと戻す。

●存在することを喜ぶ。

●あるがままでいる。

●脳は、バランス良く活性化している。

●唇を閉じ、歯を噛まず、舌先を前歯のすぐ後ろの口蓋につける。
=======================


その次に大きな挫折要因は、「失敗体験の蓄積」だ。
初心者が瞑想すると、まず続かない。
具体的には、すぐに他事を考えてしまう。
いわゆる、マインドワンダリングと呼ばれるものだ。

何度瞑想しようとしても、すぐにマインドワンダリングしてしまうので、
嫌になって、瞑想をしたくなくなってしまうのだ。

誰だって、テストで赤点を取り続ければ、勉強が嫌いになる。

そして、勉強が嫌いになれば、落ちこぼれてしまう。


これに対する対策は、
逆に、マインドワンダリングをチャンスだと考えることだ。

実は、マインドワンダリングをしてしまうこと自体は、「赤点をとること」ではないのだ。
むしろ、「得点をゲットするチャンス」なのだ。

瞑想能力をアップさせる最大の近道は、

(1)他事を考えてしまっている時、「他事を考えてしまっている自分」に気がつくという「作業」を繰り返すこと。
(2)「他事を考えてしまっている自分」に気がついたとき、「今、ここ」に100%心を向けなおす「作業」を繰り返すこと。

の2つだ。

この2つを行うには、マインドワンダリングは、とても役に立つ。

だから、どんどんマインドワンダリングしても構わない。
そして、そのたびに、「自分がマインドワンダリングしていること」に気付こう。
そして、「意識を100%、今、ここに戻す」という作業を行おう。

そのたびに、あなたの「得点」は増えていくのだ。


さらに別の挫折要因として、
初心者は、音や光のノイズのせいで、集中できない、
という場合がある。

その場合、耳栓とアイマスクを使って瞑想する。
もちろん、これは、あくまで、瞑想能力を獲得するまでの間の、補助輪だ。
最終的には、耳栓もアイマスクもなしで瞑想できるようにする。


また、瞑想の教科書には、座禅を組めと書いてあることが多いが、
あれも、挫折の原因になりやすい。

座禅の体勢が苦手な人は、椅子に座ってやるのがいい。
家に椅子がない人は、楽に座禅するための、座禅用クッションを買う。


そうして、瞑想能力を獲得できたら、
瞑想自体は、寝る前にやるのがいい。
なぜかというと、寝る前に仕事をやると、脳が興奮して、睡眠の質が悪くなるからだ。
仕事でなくても、寝る前にネットをやると、睡眠の質が悪くなる。
面白い本やマンガを読んでも、睡眠の質が悪くなる。

理想的には、寝る2時間前から、脳を興奮させないようにしなければならない。
しかし、忙しいおっさんが、毎日、2時間も、仕事も趣味も遊びもやらず、無駄な時間を過ごすなんてことは、とうてい無理だ。
なので、寝る前の1~2時間は、入浴と瞑想の時間にする。

そして、瞑想能力がさらに上がってくると、いつでもどこでも瞑想できるようになる。
電車の中でも、歩いていても、瞑想できる。

ただし、仕事や家庭でトラブっているときにも、心の平穏を保てるレベルになるには、さらにもっと修行が必要になるとのことだ。
残念ながら、私はまだそのレベルに達していないので、それについては、なんとも分からない。

 


あと、これは人によるが、健康診断で血糖値が高めな人の場合、糖代謝能力の低下で、集中力が続かなくなっている可能性がある。
平たく言うと、「脳が糖をエネルギーとして利用する能力」が落ちて、脳がエネルギー不足になっているかもしれない、ということだ。
アルツハイマー病の人はこの状態になってる( http://www.nisshin-mct.com/contents/page198.html )のだが、脳の糖代謝能力の低下自体は、アルツハイマー病に限った話じゃない可能性があると思う。

そういう人は、試しに、メインのエネルギー源を脂肪に切り替えてみると、頭のキレと集中力が上がるかもしれない。
少なくとも、私は、これで劇的に集中力が高まった。
この時、超超超重要なのは、「決して、痩せようとしてはいけない」ということ。
単に糖質を抜くと、カロリー不足になり、それがエネルギー不足を招き、逆に、集中力の低下を招く。
(私の場合、シャレにならないほど、集中力が低下した)
むしろ、少し太るぐらいのつもりで、脂質をガンガン摂取するのがコツだ。

しかし、それでもなお、糖質を減らすと集中力が低下する人はいる。
細胞の脂質代謝能が上がるまでに、タイムラグがあるからだ。
「糖質は入ってこないし、脂質をエネルギーにする能力は、まだ低いまま」という状態で、脳がエネルギー不足になってしまうのだ。
そういう人は、MCTを摂取する。
MCTは、ものすごくエネルギーに変わりやすい油で、長年、医療機関で、栄養補給が必要な患者などが摂取してきた実績がある。
私の場合、糖質を抜いて、MCTを摂取したら、めちゃめちゃ集中力が上がった。

ただ、MCTを一度に摂取できる量には限界がある。
個人差があるが、一度に7g以上摂取するとお腹を壊してしまう人もいれば、一度に20g摂取しても、たいした問題の起きない人もいるようだ。
私の場合、一度に15g摂取すると、多少喉が痛くなるが、それほど深刻な問題は出ない。

もう一つの疑問は、そんなに脂質を大量摂取したら、健康に悪いのではないか? ということだ。
しかし、興味深いことに、糖質:脂質:タンパク質の摂取比率は、どれが最適なのかは、シンプルではっきりしたエビデンスがない。
個々人の遺伝子によって違うかもしれないし、摂取するタンパク質と脂質の種類にもよるかもしれない。
(実際、動物性蛋白質の摂取が多いと死亡リスクは高まるが、植物性蛋白質だと高まらない、という研究がある。
脂質も、不飽和脂肪酸はオメガ3、オメガ6、オメガ9で、それぞれ生理作用が違うし、飽和脂肪酸は、分子の長さによって生理作用が異なる)
若者と中年と老人で違うかもしれないし、デスクワーカーと肉体労働者でも違うかもしれない。
(50~65歳では、高タンパク質摂取は死亡リスクが高まるが、65歳以上だと、逆に低くなる)
糖代謝能が高い人と低い人でも違うかもしれない。
腎臓の能力によっても違うかもしれない。
短期的な効果と、中長期的な効果も違うかもしれない。

結局、各人が、自分で試してみるしかない。
(試しても中長期的な正解は分からないが、当面のQOLは分かる)

私の場合、脂質メインに切り替えて、
明らかにカロリー摂取量は増えたが、内臓脂肪、体脂肪率、体重が減り、筋肉量は増えた。
気分はずっとよくなったし、集中力もずっと上がった。

カロリー摂取量が増えているのに体重が減った理由は、はっきり言って、よく分からない。
無意識のうちに日常の運動量が増えているのかもしれないし、代謝が上がっているのかもしれない。

もちろん、これも、単に、根性論で、糖質を減らして脂質を増やしても、挫折するだけだ。
さまざまな挫折要因があるからだ。
その挫折要因を、高い解像度で捉え、一つ一つ潰していくことの方が、はるかに優先順位が高い。

たとえば、「食べたいものが食べられず、欲求不満になる」という挫折要因は、とても大きい。
これに関しては、私の場合、食事の満足度を上げることで、プラマイゼロにする戦略を取った。
つまり、今までは、太り過ぎないように腹八分目にしていたのだが、カロリーを気にせず、高カロリーのものを、お腹いっぱい、好きなだけ食べるようにしたのだ。
私の場合、とくに、ピスタチオ、アーモンド、ピーナッツが大好きなのだが、それらを大量購入して、食後のおやつに、好きなだけ食べるようにした。
また、肉も魚も豆腐も大好きなので、それらを、好きなだけ、腹いっぱい食べるようにした。
もちろん、肉野菜炒めなども、超大盛りにして、腹いっぱい食べる。
毎食、好きなものを腹いっぱい食べられるというのは、おっさんにとっては、なかなかの贅沢だ。
これによって、糖質を摂取できなくなって低下した分のQOLを補った。

 

他にもいろいろあるけど、書くのめんどくさくなったので、
この辺にしておきます。