終末高高度防衛ミサイル(THAAD)問題での韓中合意の根底には「韓国無視」があると感じている。中国の習近平国家主席が米国大統領に「韓国は中国の一部だった」と言った時の、あの「無視」だ。ありもしない中国の被害に対する懸念は気に留めながら、目の前で核の人質になり、THAADを配備するしかない韓国人5100万人の安危は気に留めないのがこの合意だ。韓中関係はこのように等級と序列が決まりつつある。
日本は「韓国にいつまで謝罪しなければならないのか」と言うが、彼らの心の内には「謝罪」などない。事実、謝罪したくて謝罪する国がどれだけあるのかは分からない。ドイツが謝罪せざるを得なかったのは、謝罪しないと大きな災いをもたらす可能性がある国を相手にしなければならないためだ。日本は韓国をそのような相手だとは思っていない。これが韓日関係の本質だ。
最初に北朝鮮の核危機が発生した1994年、米朝が向かい合って座ったジュネーブ会談の時のことを、ある人物は次のように語った。付添人的な扱いになっていた韓国政府は、現地に派遣された外交部(省に相当)職員らに韓国の体面を保つ条件を何とかして付け、貫き通すよう強く命じた。韓国側が米国側関係者にこれを求めたところ、米国側関係者は「あなた方の大統領は安保も知らないくせに、新聞の見出しを見て政治をしている」とひとしきりののしった。そうしてから、「いいだろう。同盟国が反対するから交渉を決裂させる。その代わり、明日から戦争の状況に備えなければならない」と、米軍がどのように動くかについて言及した。
このことをソウルに報告したところ、「真っ向対決する」と指示が来た。ところが、指示をよく読んでみると、米国と北朝鮮の真っ向対決ではなく、国内メディアと「真っ向対決する」ということだったという。米国が「軍隊を動かし、戦争になるかもしれない」と言ったら、韓国政府はすぐにしっぽを巻いて「国内メディアの批判報道を押さえ付ける」と答えたのだ。この経緯をすべて見ていた米国人たちが韓国をどのように思ったかは推して知るべしだ。