こんにちは、たけのこです。
クボタの展示会「ふれあい感謝祭」に行ってきた話の後編です。
前回は草刈り機まさおが欲しくなったところで終わりました。
今回は機械だけでなくサービスなども出てきます。
クボタ農機具の展示会「ふれあい感謝祭」で農業機械に興奮させられた。【後編】
クボタの新製品展示場
さて、いよいよクボタの新製品を展示しているスペースに来ました。
その入り口にあったのが、M7と呼ばれる巨大なトラクターです。
全長4.7m、高さ3mで170馬力の高性能エンジンを搭載した国内最大級のトラクターM7。
パワーがあるので前方と後方にアタッチメントをつけて二つの作業を一度にこなすことが可能です。
また車内には12インチのタッチパネルが設置されており、作業効率のアップに貢献しています。
車体にはGPSもついているので自動運転で作業もできちゃうんですよ。
自動運転の何が良いかといえば、操縦の必要がないだけでなく、隣接作業時のやり残しや作業の重なりが無くなることなんです。
無駄な動きが無いのが一番効率的という事ですね。
他にも細かな仕様がたくさんあります。
車速や前輪切れ角から2WDと4WDを自動で切換えたり、作業によって変更できるサスペンションモード、視認性の高いキャビン、2.6tを持ち上げるフロントローダーなどなど。
これでお値段2400万円(展示モデル)です。
こんなの使える農家って日本にどれくらいいるのでしょうか…
小型モデルたち
さて展示場に入ると現実的なトラクターたちが並んでいます。
日本の多くの農家にはこの辺が妥当な所でしょう。
大きいハイスペックモデル見た後だと、なんか寂しく感じます。
これでも手が届かない…
悔しいので1500万のモデルに試しに乗ってみました。
乗り心地すごくよかったです。
キャビン内の空間も広く、全然圧迫感がない。
車と違い余裕のスペースです。
でも私がこれを乗ることはないでしょう。
コストがかかりすぎます。
農薬散布用ドローン
農業にもドローン革命の波が来ています。
これまで農薬散布は産業用のヘリコプターで作業していましたが、大型のため運搬が大変で、操縦も難しいという難点がありました。
その点ドローンは軽トラに乗るくらい小型で、レーダー機能などを搭載し高度を自動制御し、作業状況もリアルタイムで視認できます。
また農業用ドローンはパワーもあり、展示モデルだと最大10ℓの薬剤を運搬できるようです。
そのため一度のフライトで1haの作業が可能です。
農薬散布だけでなく、最近は稲の生育状況なども空中から確認するシステムが開発されているので、今後の展開が楽しみですね。
社長自ら営業にきていた「松きのこ」
「松きのこ」をご存知でしょうか。
私はこのふれあい感謝祭で初めて知りました。
会場を歩いていたら突然横からキノコを突き出され何かと思いきや、そこにあったのが松きのこです。
食べてみるとまるで出汁が効いたような濃い味わいで、食感も良く、香りも凄く深いきのこでした。松茸とシイタケ、エリンギが一つになった感じですかね。
それよりも美味しいかも。
松きのこは三大旨味成分である「グアニル酸」が豊富に含まれているそうです。
グアニル酸は乾燥シイタケにも多く含まれている成分なので、味わいに納得してしまいました。
また、松きのこは生でも食べられるキノコらしく、刺身にしてもいいんだとか。
名刺をもらって会社の住所を見るとなんと福岡県の久留米。
しかも社長自らエプロンつけて、松きのこ焼いてるではありませんか。
生産者を守るビジネスを展開したい。
松きのこが美味しかったので、はるばる千葉まで営業に来た理由を聞いてみました。
どうも会社は菌床を販売する会社で生産者ではないとのこと。
松きのこは今のところ九州や中国地方で広まりつつあるようなのですが、まだまだ生産者が少なく安定供給できていないらしいです。
そこで関東圏でも生産者を増やすために営業に来ているようですね。
美味しいきのこなので大手きのこメーカーに菌床を販売すればいいのではと思うところですが、大手を相手にすると値崩れする可能性があるので販売しないんだとか。
確かにスーパーに売ってるキノコは一房100円くらいで売られていますもんね。
凄く安いですが、たくさん売らないと利益が出ない仕組みです。
松きのこは味わいも香りもいいことを生かしてブランド化し、適切な生産コストを販売価格に乗せたいと考えているとのこと。
そんな理由で大手に販売せず、小規模農家と手を組んで販売していきたいそうです。
確かに地方の小規模農家が経営を続けるためには、こういう多角化も必要かもしれませんね。
自家製の米からみりんを作る
続いては、自家製のお米を送ると無添加本みりんにしてくれるサービスです。
スーパーで安く売っているみりんは、大抵外国産の安い米や添加物を加えて生産されている、言わば「みりん風調味料」といったものが多いです。
本来のみりんの作り方から外れて作ったものでも「みりん」として売られています。
このメーカーでは通常もち米を原料にみりんを作るところ、うるち米から醸造する技術を開発し、特許を取得しているとのこと。
その技術を生かし、お米農家から米を預かり、無添加本みりんに変えるサービスを始めたんだとか。
どんなものか実際に味見してみました。
試飲用にあったみりんが、なんと島根県吉賀町の米から作ったみりんでした。
吉賀というとなかなか山深い人口6000人ほどの町です。
味はというと...
とても濃く自然な甘さでめちゃめちゃ美味しい。
みりんは元々飲料として作られていたので、こうして飲めるみりんと出会うと嬉しくなります。
無農薬や有機の米からみりんを作ったらどうなるか想像したら、とても魅力的なサービスに思えてきました。
小ロット生産が可能だけれども
このメーカーでは米100㎏からみりんを作ってくれるようです。
米100㎏から100ℓのみりんができ、500mlの瓶に詰めて配送してくれます。
お値段はというと、500mlの瓶一本当たり1000円。
純米酒一本買うくらいの値段ですね。
家庭の料理用としてはちょっとお高い。
でも、こだわれる人にとっては無添加本みりんで、米の品質も良いとなれば高すぎるわけではないですね。
農家の一つのビジネスとしては面白いかもしれませんが、少しコストが高いかなぁ。
そのまま飲んでも美味しいみりんだったので、私だったら料理に使わずお酒として飲んじゃうかもです。
展示会で実感した農家の高齢化
2回にわたって紹介してきたクボタの展示会。
農家じゃない人にとっては、あまり目にしないものを紹介できたかと思います。
かといって需要があるかと言えば、あんまりないですよね。
こんな世界もあると知って頂ければ、私はそれでいいのかなと思います。
農業統計をみると、農家人口は1970年には1025万人いましたが、今では192万人まで減り、その平均年齢は66.8歳となっています。
就業人口の平均年齢が企業の定年退職年齢を越えているのが現実としてあるんですね。
展示会場を見回しても20代の人なんておらず、見に来ているほとんどが高齢者で、50代の人でも若いくらいです。
会場はまるで農業統計を現実に置き換えたかのような光景でした。
こんな現状なので、農に関して少しでも知ってもらうことが大切なんです。
というところで今回は終わりにします。