ハーヴェイ・ワインスタイン氏や、ケビン・スペイシー氏など、ハリウッドから始まった一連の性的被害の告発。その動きは広がりをみせている。
日系人俳優のジョージ・タケイ氏から、1981年、性的暴行を受けたと男性が告発した。
告発した男性、スコット・ブラントン氏の証言は以下のようなものである。
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ブラントン氏が、タケイ氏に誘われたのは、当時のパートナーと別れて間も無くのことだった。
1981年の夏、タケイ氏(当時44歳)はアメリカのSFドラマシリーズ「スタートレック」のヒカル・スールー役として名が知れていた。2人は友人同士だった。
「つらい別れ方をしてしまって『食事と映画に行って、話を聞こう』と彼に誘われた」と当時23歳だったブラントン氏は言う。「『それがいい』と思った」
その後、ロサンゼルスにあるタケイ氏の自宅に戻り、酒を飲んだ。それまで二人っきりになったことがなかった。タケイ氏がキッチンでカクテルを作り、リビングにいるブラントン氏に持ってきた。タケイ氏が「スタートレック」柄のグラスに入れて出してきたのを見て「少し安っぽい」と思ったのを覚えていたという。
別れ話をしていて「赤裸々に語っていた」とブラントン氏は語る。「彼はとても同情的だった。酒をもう一杯勧められ、『はい』と答えた」
しかし二杯目のカクテルを飲むと、気を失うような気分になった。
「体が震えていた」。ブラントン氏はBuzzFeed Newsに語った。「少し横になりたい」とタケイ氏にいうと、「こっち来て座って」と言われた。
どのくらい時間が経ったのかは覚えていない。次に覚えているのは、起きるとズボンが足首の周りまで脱がされ、タケイ氏が自分の体に乗り下着を手で押していた。
「彼が私の上にいて、下着の中に手を入れ脱がそうとしていた」
ブラントン氏はタケイ氏を押し退けてなにをしているのか聞いた。タケイ氏は彼に、心地良くしようとしていたと言った。
ブラントン氏はまだ少し気分が良くなかったが、帰らなければいけないとタケイ氏に言った。タケイ氏に運転できるような体調ではないと言われそれに同意はしたが、それでも帰ると言った。
「ズボンを履いて気を取り直したが、起きたことが信じられなかった」とブラントン氏はBuzzFeed Newsに語った。「車まで歩いて席に座り、それで終わった」とも。
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上記の証言についてBuzzFeed Newsは、タケイ氏の代理人に何度もコメントを求めたが、渡航中であることを理由に拒否されている。
ブラントン氏の事件について過去に話を聞いたことがあると、彼の友人5名がそれぞれBuzzFeed Newsに語った。
そのうちの1人、ジャン・ステュワード氏はブラントン氏から10年ほど前に食事中にこのことを打ち明けられたことを覚えているとBuzzFeed Newsに話した。
「明らかに彼をとてつもなく苦しめていた」と言った。
ブラントン氏がタケイ氏と初めて会ったのは「グレッグズ・ブルー・ドット」という。ロサンゼルスのゲイバーで、当時付き合っていたジェイ・ヴァヌルク氏からの紹介だった(ヴァヌルク氏に何度も取材を申し込んだところ応じなかった)。
ブラントン氏によると、3人は知り合うようになってから、バーやパーティーでも会うようになったという。ブラントン氏は当時、飲食店で働きながら俳優とモデルを目指していた。しかし、タケイ氏との事件から間も無くしてハリウッドへの情熱は冷め、ロサンゼルスを去った。
「原因はこの件(タケイ氏)のみではなかったが、部分的にはそうだった」とブラントン氏は言った。
それからタケイ氏とは10年以上会わなかったが、1994年にタケイ氏の自伝「トゥー・ザ・スターズ」のサイン会に行った。
事件についてタケイ氏に突きつけるつもりだったと言う。最終的にはやめたが、本にサインをもらうまでは違った。サインに添えられたメッセージには、こう書かれていた。
「スコットへ。君は堂々と星へ向かっていく実業家だ。信頼をこめて、ジョージ・タケイ」
タケイ氏は自宅の住所が書かれた紙切れも渡した(メッセージと住所両方をBuzzFeed Newsは確認している)。
現在オレゴン州で20年以上のパートナーと暮らしているブラントン氏は、自らの体験をバーやパーティーで何年も話してきた。アカデミー賞受賞の俳優ケビン・スペイシー氏のセクハラ報道に対するタケイ氏の反応無くしては告発はしなかったいう。
「彼がケビン・スペイシー氏をとがめていたことをとても不快に感じた。(とがめることは)正しいことではあるけれど、それをしてはいけない人の中でも、よりによって彼だった」と言う。「それが私の理由」とも。
タケイ氏は2005年にゲイであることをカミングアウトして以来、LGBTなどの社会的課題に取り組む活動家として知られ、SNSでも多くのフォロワーがいる。
俳優のアンソニー・ラップ氏が14歳のときにスペイシー氏に性的関係を持ちかけられたことをBuzzFeedの取材で語った後、タケイ氏はHollywood Reporter誌にスペイシー氏の行動をとがめる声明を出した。
「双方の同意がない場所で使われる力は、間違いである」
「アンソニー・ラップは、今まで何十年前にあった経験の記憶と共に生きなければなかった。ケビン・スペイシーは、事件を覚えていないと言ってはいるものの、年齢も力も上の方だった。嫌がらせや暴行を加える男性はゲイやストレートだからするのではない — それは問題のすり替えだ。力があり、それを乱用しようと決めるからするのだ」
タケイ氏の声明に大きな偽善を感じとったとブラントン氏はいう。
「あれがきっかけだった」とブラントン氏。「なので話さなくてはならなかった」とも。
「今まで正直で、良い生活を送ってきた。私は信用できない人物ではない」とブラントン氏。「(タケイ氏が)偽善者であることを明かしたい。もうこのようなことが許されてはいけない」
タケイ氏は11月11日夜にTwitterで5回に渡って反論。「彼が証言したようなことは起こっていない。なぜ、彼がこのような主張をするのかわからない」などと完全に否定した。
アップデート
タケイ氏による反論を加筆しました。
この記事は英語から翻訳されました。
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Claudia Rosenbaum is an entertainment reporter for BuzzFeed News and is based in Los Angeles.
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