「売り上げは右肩上がりなのに給料は据え置き。ボーナスなし。成果手当なし」「訪日外国人客の売り上げが全国1、2位なのに時給が本土より安い」。今年初めに本紙が実施したアンケートでは労働者の不満が渦巻いた
▼法人税の申告所得金額・税額が過去最高を更新したと沖縄国税事務所が発表した。黒字を申告した法人も40%で全国トップ
▼県経済が好調なのは間違いないようだが、働く側には好景気の実感が乏しい。増えた利益はどこにいったのだろうといぶかってしまう
▼株価上昇など現政権はアベノミクスの成果を力説するが実質賃金は下がり、企業が保有する現金・預金は211兆円にまでふくれている。「成長の成果が大企業と富裕層に集中し中小企業や国民に回っていない」と経済アナリストの森永卓郎さん
▼年間所得300万円未満世帯が半数を超え賃金が全国の8割にとどまる県内。「はたらけど はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり ぢっと手を見る」。石川啄木が詠んだ歌そのもののワーキングプア(働く貧困層)が広がる社会である
▼そもそも企業の収益増は働く人の頑張りがあったればこそ。経営者はその事実を忘れず労働者に利益を還元するべきだ。本土との格差を生んでいる構造を変える行政の取り組みも必要。好景気を賃金底上げのチャンスにしたい。(高崎園子)