「わろてんか」一週間 第5週「笑いを商売に」[字] 2017.11.11

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駄目だ分からん。
次回もあがく。
あっ。
(啄子)何の用でっしゃろ?私不動産を売り買いしてる者です。
この家土地を売って頂きたいんです。
だいぶ古なってるようですしお客さんも減ってはるようやし。
後継ぎのこの子が昔以上に繁盛させてくれますんや。
なるほどね。
無駄足さして申し訳ごわりまへん。
また寄らしてもらいまっさ。
・「出かける時の忘れ物」・「ひょいとつかむハンカチのように」・「心の中にすべり込む」・「いちばんちいさな魔法」・「泣いたり笑ったり」・「今日も歩き出す」あんたが来てからろくな事あらへん!
(藤吉)おてんちゃんに八つ当たりしてもしゃあないやろ。
まだこの子認めた訳やありまへんで。
それよりこれえらい借金やないか。
あんた見たアカン言いましたやろ!何で店にこんな借金があるんや。
あんたには関係ない。
よう分かった。
ならこの借金は俺がなんとかする。
そのかわり店を立て直す事ができたらおてんちゃんを嫁として認めてほしい。
(てん)どこ行かはりますの?借金を返すためにもっと大口のお客さん見つけんと。
笑顔ですやろ?そない怖い顔してはったらご新規さんも見向きもしはりませんえ。
そやな。
こんな顔やったら年も越せんな。
へえ。
米や〜米!北村屋の米はいりまへんか?
(スミ)えらいこっちゃえらいこっちゃ!番頭さんが…。
天野屋さんに移るてどういう事や?
(又八)実は前々から向こうの娘さんの婿にならんか言われてまして。
わての才覚をえらい買うてくれはって。
店を持たせてくれるそうで。
明日からこの店どないすんねん!あんたが立て直してくれはるんやろ?いや…俺一人や無理に決まってるやろ。
何を言うて…。
ほなあの借金は何や。
言えんのやろ?お父さんが女子にうつつ抜かしてこさえた借金や。
あんたが一人前になったら話すつもりでしたんや。
(ため息)大丈夫ですか?命がけで俺がのれんを守る。
俺がここでふんばらんとみんなを路頭に迷わす事になる。
番頭さんがおらんようになってみんな動揺してる事やと思う。
そやけど俺がこの店の主や。
みんなついてきてほしい。
(一同)へい!
藤吉が新しい取引先を探し回っていた時

(歌子)この穀潰しが!
(万丈目)いや〜!うわ〜ちょっおおっ…。
(泣き声)万丈目はん!?ボン…!?ボン!久しぶりやなぁ!何しとんねん?こんな所で油売っとらんとちゃっちゃと寄席の仕事の一つも見つけてこんかい!
(キース)よう!楽しそうやな。
いや〜どっから見ても立派な若旦さんや。
なんとか店を立て直してお母ちゃんに認めてほしいんやが…。
ええ儲け話あるで。
(マツ)若旦さん昨夜も遅うに帰ってきたようでっせ。
まさか商売が嫌になってまた芸の虫が…。
そない言うたら豆蔵はんが寄席の前で見た言うてましたで。
やっぱりこの店危ないんと違うか?
(佐吉)近江屋さんに「もう注文取りに来んでええ」言われました。
え?
(豆蔵)加納屋さんにも「もう来んでええ」と。
どういう事や。
天野屋にお得意さんを持っていかれてるようで…。
噂では一等米に安い米をぎょうさん混ぜてうちの半値で売りさばいてるとか。
(豆蔵)うちらもそないしたらどうですやろ。
お客さんの信頼を裏切るようなまねしたらアカン!それが商いをする者の誇りちゅうもんや。
ごりょんさん何してはりますの!見たら分かるやろ。
風呂入ってるように見えるか?まさか行商に?あんた店番しとき。
ああ…。
ごりょんさん。
こんな事昔は慣れたもんやったのに。
子どもの頃行商でいろんなとこ行ったけどこの船場は憧れの町やった。
この船場に…店を持つ事が一生の夢やった。
先々代は貧しい行商人の娘のわてをこの家に迎えてくれはった。
その恩に報いるためにもこの北村屋ののれん守らなアカンねや。
例の儲け話話つけてきたで。
話つけてきたて…。
電気式髪結い機略して…電髪や。
電髪?エゲレスで発明されたばっかりの機械や。
今すぐ現金で払たら安い値ぇで譲ってくれる。
これはめったにない掘り出し物やで。
これは当たる!これは当たるで!そやけどこんなもん買う金ないで。
お前んとこの家と土地担保にして借金するんや。
アホか!できるかそんな事!ここで男見せて勝負せな!店救ってお母ちゃんに認めさしたいんやろ?藤吉さん?おてんちゃん!どないしはりました?おてんちゃんは何も心配せんでええから。
よいしょ。
うわわ。
へえ〜。
スイッチ入れんで。
はい。
(キース)はい!
(歌子)どんな感じ?おおっ…煙出てるぞ!ホンマや!煙って何?大将!頭燃えとる!熱熱熱っ!熱熱熱熱っ!・
(藤吉)アカ〜ン!・
(爆発音)イカサマもんや。
なんぼあんのや?これ。
1,000個や…。
1,000個!?あ〜…。
(歌子)見たらアカン!
その日から藤吉は何日も帰ってきませんでした
待って!皆さんどこ行かはりますの?若旦さんも帰ってきはれへん。
この店はもう終わりや。
わてらもお暇頂く事にしましたんや。
北村屋のボンボンやったら寄席には来てへんで。
おおきに。
あっそういや万丈目とおったな。
時々うちに出とる芸人や。
ここか…。
これどうぞ。
(歌子)後ろ面ちゅう芸やってるんやけど全くオモロのうて笑いの一つもとられへんねん。
ま笑いがとれたところで金にもならんし人の役にも立たん。
そんな事…。
そんな事ありまへん。
笑いは人を癒やす薬やと思とりますんで。
ええ事言うなぁ。
はあ〜そんなもんかいなぁ。
(せきばらい)ところであんさんどなたはんで?北村屋の…。
北村屋!?うちの若旦さん知ってはります?知らん知らん知らん!あ…もう帰って!へ?帰って!帰って!な!ええわええわ。
はよ帰ろ。
な!
(リリコ)ここ気持ちええか?
(藤吉)気持ちええわ。
ごめんください!おてんちゃん…!?こんな所で何してはるんですか!?あれまあ変なとこ見られてしもたわぁ。
あっいや…ちゃうちゃうちゃうちゃう!ちゃう!痛〜っ!待ってくれ!リリコとは何にもない。
信じてくれ。
深い訳があるんや。
ぎょうさんの在庫と借金を抱えたあげくキースさんが逃げてしもたと。
でリリコさんの家で待ち伏せしてたと。
ホンマや!この家の斜め前がキースの家やったもんで…。
とにかくそういうこっちゃからキースを捕まえるまでこの人はうちが預かるさかい。
ほなうちもここにいさせて頂きます。
何で?何であんたまで。
ここで一緒に待たせてもらいます。
てんはどないしたんや?ちょっとごめんやっしゃ。
どなたさんで?金貸しやっとります。
ここの若旦さんにこの家土地を抵当に金お貸ししましたんや。
はっ…。
ええ加減諦めたらどうや?うちと藤吉の間にはまだまだあんたが知らん事がぎょうさんあるんや。
どんな事ですか?あんたみたいなお嬢さんに言える事やない。

(藤吉)待てキース!邪魔すんで!「待て」言うてるやろ!キース!藤吉郎!あんたなんて事してくれたんや!すまんお母ちゃん!今説明してる暇ないんや!あんたみたいな不肖の息子成敗したる!ごりょんさん!お母ちゃん!待ってくれ!藤吉は関係ない俺が悪いんや。
せめて在庫を売りさばいて金にできんかて走り回っとったんや。
ほな何で逃げたんや。
売り切るまでお前に顔向けできへん思ったからや。
もうどうでもええ!借金したのあんたやろ!覚悟!
(万丈目)あっああ〜!おのれ〜!よっ日本一!
(笑い声)何やのんこれ。
堪忍や!何でこんなアホな事!あのイカサマもんを売った業者に弁償してもらう事はできまへんのんか?契約書はここにあるんやが…。
ようこんなもんで…。
なんとかせんと…。
子どもの頃あの子を寄席に連れていったんが間違いやった。
へ?女好きの夫捜してなあの子の手ぇ引いて大阪中を捜し回ったんや。
疲れ果ててこのまま川に飛び込んだろか思うた時…。
あれ見たい!なあお母ちゃんあれ見たい!親子水入らずもこれが最後と思て落語見てな。
哀しいやらおかしいやらでわてもわろたわ。
(栞)この契約書に問題はないな。
訴えても無駄だ。
だまされたまま泣き寝入りせえいう事ですか?粗悪品を確認せずに契約した方が悪い。
目の付けどころは面白いが…。
よう分かりました。
ありがとうございます。
待ちなさい。
このままそんな男と一緒にいるつもりか?僕は間違えたのかもしれないな。
え?君はそいつといる方が幸せだと思ったからあの時僕は…。
うちは間違うたとは思いません。
僕はいつでも待ってるよ。
(ため息)ごりょんさん!?何してはりますの!店にある米だけでも全部売り切って金にするんや。
最後の一粒まで諦めまへんで。
俺がやる。
うちも。
おてんちゃんは店を頼む。
俺が一人で売ってくる。
「最後の一粒まで諦めん」か…。
北村屋です。
暮れの支度のお米は足りてますか?天野屋さんの方が安うしてくれててな。
すんまへんなぁ。
こんだけしか…金にならんかった。
(戸が開く音)お取り込み中のところえらいすんまへんな。
利息だけでも払てもらえまへんやろか?払えんようなら借金のカタ差し押さえっちゅう事になりまんなぁ。
この柱かてもうええたきつけになってしまいよるがな。
ちょっと待ち!ほんならわてを殺しなはれ。
(金貸し)え?この店はわての命や。
それを奪ういう事は死ねいうこっちゃ。
わてはこっから一歩も動きまへんで。
お母ちゃんの言うとおりや。
いっそこの家壊して…。
のけや!お母ちゃん!待ちなはれ!そんな事されたらもうかなわんがな。
今日はもうこれで帰るさかい。
ごめん!お母ちゃん大丈夫か?芝居や。
芝居!?ホンマはあのまんま振り下ろしたかったんちゃうか?え?わての事恨んでるんやろ。
俺が初めて覚えた芸が何か知ってるか?鳥の鳴きまねや。
お父さんの事でつらい顔してるお母ちゃんにわろうてほしいて一所懸命覚えたんや。
ホ〜ホケキョ!ホ〜ホケキョ!そやけどくだらん事するなてどなられた。
褒められた事なんていっぺんもない。
認めてほしかったんや。
お母ちゃんのためにここで一発当てたろて…あんな勝負したんや。
藤吉郎…。
ホンマにすんませんでした。
藤吉さん?最後の一粒まで売ってやらんとこの米が不憫や。
俺が一粒も無駄にせんと売り切ってみせるさかいこれを北村屋最後の仕事としてやらせてくれ。
うちもやらせて下さい。
北村屋の米はいりまへんか!店じまいにつきお安うします。
ほんならただ同然か?すんまへん仕入れ値以下には一銭たりともまかりまへん。
それがこの米への精いっぱいの感謝の気持ちです。
辻の物売りがそんな高飛車で通るかいな。
そやけどその心意気買うたるわ。
米びつの分全部や。
おおきに!おおきに!あとちょっとどすな。
ああ。
よっ!おおキース。
残ったん全部もろてくわ。
え?晦日に払わなアカン長屋の家賃や。
今度は家主から逃げんとな〜。
ハハハハハ。
おおきに。
え〜これから花火をご覧に入れましょう。
ボ〜ン!サラサラサラサラサラサラ。
何やそれ!見た事ないわ。
「後ろうどん」。
よ〜っ!届いてないわ!
(笑い声)届いてない…。
最後の一粒まで売ってまいりました。
そうか。
おてんちゃんは里に帰り。
家なし職なし何の取り柄もない男が嫁さんをもらう訳にはいかん。
情けない!あんたさんには誰にも負けへんものがあるやないですか。
人を笑顔にしたいいう気持ちです。
うちはこの先が泥道やろうが地獄やろうが藤吉さんについていきます。
芸がそないに好きやったらいっそそれを商売にしはったらどうですか?笑いを商売て…。
うちはこれまで笑いに救われてきました。
世の中には同じように笑いが必要な人がぎょうさんいるんやないかて。
一緒に寄席を作りましょ。
何アホな事言うてんねや!ごりょんさんの最後まで諦めない心を学ばせて頂きました。
だから勝負してみたいんです!商いを甘う見るんやない!無鉄砲なんは分かってる!商いの才能はないけどみんなを笑わしたい思う気持ちは誰にも負けへん!今度こそ身ぃも心も捧げてみたい。
お母ちゃんがこの店にしてきたように。
わては認めまへんで!
それから啄子は家と土地を手放し全ての借金を返済しました
きっちり。
引っ越し代と当面の生活費にはなるやろ。
オニか…。
それ子どもん時の…。
いつの間にか大きゅうなってたんやなぁ。
信じて任せてくれはったこの店手放す事になってしまいました。
ホンマに申し訳ごわりませんでした。
ごりょんさん!うちに北村屋のごりょんさん修業をさせて頂けませんやろか。
え?これからも鍛えてほしいんです。
ごりょんさんが守ってきはった北村屋の名ぁを私らが必ずよみがえらせてみせます。
この目ぇでちゃ〜んと見届けるまで居座らしてもらうわ。
おてんちゃん!触ったらいかん!まだ嫁と認めた訳やありまへんで。
こっちやこっち!よいしょ!こっちやで!おう。
この立派な家。
ここが新しい家や。
よいしょ。
よいしょ!おおっ!お前ら…。
おう!ようこそ芸人長屋へ!
(一同)芸人長屋へ!芸人長屋?
そこは売れない芸人が集まる貧乏長屋でした
2017/11/11(土) 02:40〜03:00
NHK総合1・神戸
「わろてんか」一週間 第5週「笑いを商売に」[字]

北村屋の借金を自分が返済できたら、てん(葵わかな)との結婚を認めるよう啄子(鈴木京香)に訴えた藤吉(松坂桃李)に、キース(大野拓朗)からもうけ話を持ちかけられる

詳細情報
番組内容
北村屋のばく大な借金を知った藤吉(松坂桃李)は、自分が借金返済できたらてん(葵わかな)との結婚を認めて欲しいと啄子(鈴木京香)に訴える。だが使用人たちが次々と店を去り、さらに北村屋は窮地に。そんなときキース(大野拓朗)からもうけ話を持ちかけられた藤吉は、その話に乗ってだまされさらに借金を負う。姿をくらました藤吉を探すてんは、リリコ(広瀬アリス)と藤吉が一緒にいる場面を目撃し、ショックを受けてしまう
出演者
【出演】葵わかな,松坂桃李,広瀬アリス,徳永えり,大野拓朗,前野朋哉,枝元萌,藤井隆,高橋一生,鈴木京香
原作・脚本
【作】吉田智子

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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