上越新幹線「秘密兵器」で鈍足を返上できるか
E7系試験車両の屋根に設置された「あの物体」
上越新幹線は1982年に開業し、東海道新幹線、山陽新幹線、東北新幹線・東京―盛岡間と並ぶ「既設新幹線」の1つだ。これらの新幹線は、「全国新幹線鉄道整備法」に基づく「整備新幹線」とは違って建設費も巨額である。それは駅の規模が大きいことや、途中駅には必ず通過線が設けられていることでも明らかだ。建設コストを抑えた整備新幹線とは格が違う。
しかし整備新幹線が最高時速260kmで建設されたのに対して、上越新幹線の最高時速は240kmにとどまる。全国の新幹線でいちばん遅い。これは上越新幹線・東京―新潟間の距離が短くて、航空機というライバルがいないことで、ほかの既設新幹線ほどスピードアップが重要視されなかったことが理由の1つだが、運用されている車両も東北新幹線からのお古ばかりで、冷遇されている感は否めない。
上越新幹線に最新型「E7系」が登場
そんな上越新幹線に2018年度からE7系が新製投入されることになった。上越新幹線に新造車が投入されるのは開業時に投入された200系以来となる。E7系については、北陸新幹線と共通仕様のグランクラス付き12両編成を11本投入するとだけ発表されているが、グランクラスはもとより、全席にコンセントを装備した車両ということで、上越新幹線のサービスアップが期待されている。
そしてE7系を使用した上越新幹線での試運転が2017年9月から始まった。この試運転についてJR東日本は沿線自治体に「上越新幹線の速度向上試験」とアナウンスした。E7系の営業最高速度は時速260km。設計上の最高速度は時速275kmだ。はたして、上越新幹線の最高速度引き上げは可能なのだろうか。