河野洋平を証人喚問せよ!

河野洋平を証人喚問せよ!

蒟蒻問答

最初からデタラメ

堤 
さて、今回の本題に移るけど、アメリカ下院で「従軍慰安婦問題」に関して、日 本政府に「正式な謝罪」を求める決議案が提出されたね。
久保 
そもそも何でアメリカの議会で日本の問題をやっているんだ? 昔、松野頼三に聞いた話だけど、熊本に「呼ばれもせんのに、加藤清正」という言葉があったそうです。
何しろ、宴会であれ講演であれ加藤清正の出てこない時はない。芝居の忠臣蔵を 見 ていると、吉良上野介の後ろに突然、この加藤清正が怖い顔をして立っていたり する らしい。それだけで観客は拍手喝采するというんだ。
米下院はどう見ても、「呼ばれもせんのに加藤清正」だね。日本と韓国、いずれ が 吉良上野介か知らないが、アメリカが割って入る問題じゃない。
堤 
全くそれ自体がおかしいよなぁ。大体、マイク・ホンダなる人物が怪しげだ 。日 系の議員にこんな事を言わせる辺りは、アングロサクソンの狡猾さだねぇ。
久保 
日系人の立場というものもありますからね。アメリカなんかに住んでいろ いろ 気を使っているんじゃないか(笑)。日系人の票だけじゃ、心許無いしね。そも そも この慰安婦問題は吉田清治なる男が、「慰安婦狩りを行なった」という証言をし たか ら始まった。
堤 
吉田清治については安倍晋三が答弁ではっきり言っていましたね。 「この問題の発端として、吉田清治という人が、朝日新聞で?慰安婦狩り?をした と証 言したが、後にこの証言はデッチ上げだったことが判った」とね。
久保 
秦郁彦さんが済州島まで行き、現地調査した本『昭和史の謎を追う』など で、 はっきりデタラメだと論証ずみです。韓国でも済州島の地元紙・済州新聞(八九 年八 月十四日付)が独自取材で「吉田証言はでっち上げだ」と断定している。「関東 軍の 後方担当参謀が強制連行にあたった」とする他の著書の証言についても、「事実 無根」 (『現代コリア』九三年二・三号 加藤正夫論文)が明らかにされた。
つまり、やればやるほど証拠が出てこない。結局、日本でも韓国でも嘘だと証明 さ れた。河野談話の基礎となった吉田の告白は全て嘘だったわけだ。
堤 
安倍は河野談話について、「狭義の意味での強制性を裏付ける証言はなかっ た。 日本軍が人さらいのごとく強制連行したということを裏付ける証言はなかった」 と強 調している。
久保 
もっと簡単に「軍当局が直接関与することはなかった」と言えばよかった んで すよ。安倍は言葉を知らない(笑)。
堤 
久保ちゃんや俺にとっては既知の事実だけど、アメリカの下院の連中が勉強 不足 で知らないんだよ。日系のマイク・ホンダがしつこく発言するから、じゃあその 通り なんだろう、という感じになっているんだな。
産経新聞の古森義久特派員がこんな事を書いていた。河野が謝罪したからもうい い じゃないか、というのがアメリカの決議案反対派の寄って立つ基盤だけど、安倍 が河 野談話を否定するとその基盤がなくなってしまう。反対派は安倍の答弁に困惑し てい ると言うんだ。
しかし、そもそも事実が違うわけだから、そこから問題をご破算にしていかない と 話が始まらない。

絶対に謝るな

久保 
タクシーの運転手が、新人研修でまず習うのは、事故の時の対応です。弁 護士 が教えにくるんですが、そこで最初に教えるのは「まかり間違ってもすみません と言 うな」ということなんですよ。事故を起こしたらまず「オマエが悪い!」と言い 、絶 対に謝ってはいけないと教えられる。
これは実は外交の基本です。自ら「I,m sorry」という馬鹿はいませんよ。小渕が 訪米した時「I,m Sorry(私は総理です)」なんて駄ジャレを言ったという話があ る けど、日本では謝るやつが首相なわけですよ。
日本人はその禁句をすぐに使う。「この辺で一旦謝ってくれれば顔も立つし、終 わ りにする」と言って謝らせるのは、韓国の常套手段ですよ。河野談話もまんまと その 手に引っかかった。
河野が謝ったのは決定的なミスだ。マイク・ホンダが「官房長官が謝っているじ ゃ ないか」とつけこんでくるのは、外交の論理として当然の行為です。タクシーの 運転 手が知っていることを、日本の外交は全く知らない。
堤 
慰安婦問題を遡っていくと、まずは教科書誤報問題で宮沢喜一の近隣諸国条 項が あり、中曽根の靖国へ行く・行かないの問題、同じ中曽根による藤尾(正行)文 相の 更迭事件があり、ついで河野談話、村山談話、そして国会の馬鹿げた謝罪決議に なっ た。すべて繋がっている。最初の対応を間違えた宮沢の罪は重いんだよ。

「こんな女に誰がした」

久保 
マイク・ホンダの心理を分析すると面白い。そこからアメリカ人の本質が 透か し見えてきます。
マックス・ウェーバー(『職業としての政治』)は「何度となく私の見ていると こ ろでは戦争責任や罪悪感をこねまわすことなどは病気にほかならぬ、性の領域で のマ ゾヒズムと同じ」「戦争が済んだ後で勝利者が、自分の方が正しかったから勝っ たの だと、品位を欠いた独善さでぬけぬけと主張するのは、騎士道精神に反する。国 民は 利益の侵害は許しても名誉の侵害、中でも説教じみた独善による名誉の侵害だけ は断 じて許さない」と言っています。
マイク・ホンダと米下院のアクションは、このマックス・ウェーバーの言葉に尽 き ていると思います。マイク・ホンダと吉田清治に共通しているのは、懺悔に名を 借り たマゾヒズムですよ。それが昂ずると、罪の意識をより劇的にしたいがために、 事実 無根の妄想を作り上げて、懺悔することで、自分だけは精神の救い、許しを求め よう とする。そのために、軍も仲間も祖国も貶めることになろうが知ったことじゃな い。
慰安婦問題とはこうしたマゾヒストたちの虚構に踊らされている政治的ファルス (笑 劇)なのです。
一方、マイク・ホンダがああいう発言をするアメリカ社会の大前提にあるのは「 ア メリカはこんなことをやらない」という倫理的潔癖性神話なんですよ。たとえば 第一 次世界大戦で、フランス戦線において、アメリカの援軍を迎えたフランス政府が 慰安 婦施設の設置を提案したら、米軍の司令官が「ことアメリカ軍に関する限り、そ のよ うなものは必要ない」と言下に断ったという話があります。
それは美談として敗戦後の日本にも伝わっていて、近衛文麿の秘書官・細川護貞 の 『情報天皇に達せず』によると、一九四五年八月二十一日の東久邇内閣の閣僚の やり 取りに次のような件があります。
「彼らの軍隊は、きわめて厳正にして、欧州上陸軍の行方不明者中半数は強姦せ るた め死刑となりたる者にて、家族の不名誉を思い、行方不明者とせるものなりと。 娯楽 設備につき、仏当局が米軍に申し出たるところ、キッパリとことわりたる例あれ ば、 我方もかくのごときことをなすべからず」と。
堤 
冗談じゃない! 終戦後、日本で、アメリカ兵による強姦事件が絶えなかっ た。 終戦の年だけで千百件を超えている。
銀座のママで「上海お春」と呼ばれた女傑がいた。日本の処女を守らなきゃいか ん と、有志を募ってトラックでアメリカ軍のキャンプに乗り込んだ。サァどうぞと 股を 開きに行ったわけだ。これぞ戦後の女子挺身隊ですよ。実際に会って、話を聞い たこ とがある。
久保 
堤さんに先に民間の実例を挙げられたけど(笑)、東久邇内閣の話はあく まで 建て前で、この閣議の三日前、八月十八日、つまり終戦の三日後には内務省警保 局長 から無線電話の秘密通牒でもって、占領軍相手の性的慰安施設の設営を全国に指 令し ていたんです。
これは神崎清の『戦後日本の売春問題』(社会書房)に詳しく書いてありますが 、 警保局長に「日本の娘を守ってくれ」と直接指示したのは当時、無任所大臣の近 衛公 です。その後、日を経ずして近衛は自決した。いわば置き土産の一つですよ。
国家で動いて予算は一億円。この一億は大蔵省の池田勇人(のちに首相)が出す 役 目だったんです。その時、池田は「一億で婦女子を守れるのならば安いものだ」 と言っ ています。

米軍専用の女郎部屋

堤 
しかし、池田が金を工面する役目だったとは知らなかったね。内務官僚とし て、 これに絡んだんだな。
久保 
そして作られたのが特殊慰安施設協会(通称RAA)です。この協会の発 足に あたって業者代表は皇居前で「天皇陛下万歳」を三唱したと神崎は書いています 。つ まり民間では「上海お春」のような人もいたけど、実際は国家が担保してやって いた わけです。
アメリカの占領政策は婦人解放と称して、日本の古い公娼制度を廃止した。しか し、 そのかわりに売春婦と売春制度を新たに設けた。そこでは「アメリカの将兵こそ 国際 的な需用者であり、情熱的な利用者であった」(神崎)。そんなことが本国に知 れた らキリスト教的な国民感情を刺激して、司令官の首まで飛びかねないと、GHQ は恐 れ、あくまで日本政府の自発的行為で押し通した。
しかし、実際は売春婦の提供と利用に米軍の司令官と日本警察の間で緊密な連絡 が あったばかりか、GHQの高官が米軍専用の女郎部屋の配当計画に乗り出し、売 春婦 の「調達命令」を出したというのです。
これが集団売春を拒否するアメリカ軍の輝ける伝統の真相ですよ。マイク・ホン ダ も米下院のアホどもも、善良な市民ぶるんじゃない!!
ちなみに共産党の徳田球一は当時、千葉駅前で、 「我が党は全国のパンスケ諸君に、マンコー(満腔)の敬意を表するものであり ます」 なんて演説したとアンジン(安東仁兵衛)がどこかで書いてましたよ (笑)。
この話で重要なのはその女性達の中で、「こんな女に誰がした」と歌こそ歌って も 強引に国家のせいにした者が、一人としていないということなんです。
エーリッヒ・フロム(『悪について』紀伊國屋書店)は、人間の復讐感情につい て 次のように言っています。「経済的、文化的、情緒的側面で完全に独立して生き るこ とができない人は、自尊心が傷つけられたり砕かれると、その回復の手段として 頼れ るものは一つしかない。つまり復讐が生涯の主目的となる。生産的に生きている 人は、 たとえ傷つけられ、侮辱され、被害を与えられても、生産的に暮らしている過程 その ものが過去の傷を忘れさせる」と。
一体、戦後六十年以上も経ってなお、韓国や中国の元慰安婦たちに「生産的に円 熟 した生活」を与えることができないのは日本国家の責任なのか? 僕は「私たち を年 老いた哀れな戦場の公娼に貶めるのか」と悲痛な叫びをあげた元慰安婦たちの心 情に 心から同情している。
彼女達は、実際は年月と共にひっそりと癒されていくはずだった。しかし、戦後 の 人道主義者とか平和主義者どもが暴いて傷口を開いて、塩を塗っている。
慰安婦を商売として、生活のためにやったなんて言える女性はいませんよ。言い た くないのに周りが騒いでいる。そうなると彼女は自分を欺くために、国家の責任 を追 及せざるを得なくなる。どういう理由があれ、結果として「身体を売り金銭を受 け取っ た」ことは「日本軍による強制連行」に結びつけることでしか世間にも、自分自 身に 対してさえも納得が得られないということでしょう。
堤 「こんな女に誰がした」というのはある意味、戦後日本の原点だね。これは菊 池 章子が歌った「星の流れに」という曲の一節です。彼女が新宿で店を開いている と聞 いて、行ってリクエストしたことがありますよ。涙なくして聞けなかったね。
さっき久保ちゃんが言っていた通り、「従軍」慰安婦なんてものはいなかったん だ。
これは実際に戦争に行った小野田寛郎さんが書いていますよ。ダイエーの中内Aに も 聞いたことがあるけど、そんなものはないと言っていた。中内が言うには一回二 円だっ たそうです。
久保 
当時の二等兵の給料は十円くらいだったから、一回二円とは結構な値段だ 。
堤 
中内によれば「彼女らは俺らなんかより、ずっといい暮らしをしていた。将 官ク ラスの収入を得て、家族には仕送りもして、要するに人類最古の職業に従事して いた だけですよ」と言っていた。「従軍慰安婦は強制連行だ」と意図的に騒いでいる 連中 は、そういう事実を、わざと伏せているとしか思えない。

河野洋平は国賊だよ

編集部 
マスコミが慰安婦の問題を大きく取り上げ始めたのは、加藤紘一(当時 ・官 房長官)の失言からです。
一九九一年八月に金学順という韓国の女性が元慰安婦だと名乗りをあげた。その 件 で、加藤が「慰安所への政府の関与はわからない」と言ってしまった。そこに朝 日が 「軍関与示す資料」が発見されたと報じた。驚いた加藤はすぐに「お詫びと訂正 」を し、時の総理・宮沢が韓国に行って「謝罪」と「反省」を繰り返すことになって しまっ た。
堤 
その時もそうだし、この間の国会でも「強制的に連行された」とか「家から 引き ずり出された」とか言われているけど、じゃあ、具体的に誰が家に来て引きずり 出し たのかわかっていない。「高橋」とか「村田」とか日本名を名乗っていたという 証言 があるけど、のちの大統領・朴正煕が「高木」と名乗っていたように、当時の朝 鮮人 には日本名を名乗っているのが多かった。引きずり出したのが日本人か朝鮮人か 、わ かったもんじゃない。
そんな中に出て来た唯一の自称・加害者が、例の吉田清治で、既に言った通り奴 の 証言は全くのデタラメだった。
慰安婦問題は元の元まで遡って明らかにしなければいけない。そのために一つ提 案 をしたい。昔、中国に漢奸裁判というのがあった。それの日本版で日奸裁判をや った らどうだ。宮沢、河野、村山の三人を証人喚問する。これは雑誌や私的なグルー プが やっても意味はない。国会の証人喚問でやらなきゃ駄目なんだ。
呼び出して、どういう根拠でああいう談話を出したのかを、改めて徹底的に糾明 す る。一番やらないといけないのは河野洋平だ。あんなに日本に迷惑をかけた男が いま や衆議院議長の席に坐っているなんてトンデモナイ話だ。国賊だよ。即刻、辞任 すべ きだ。
編集部 
河野洋平はこの件で絶対にインタビューに出てきませんが、自民党の「 日本 の前途と歴史教育を考える若手議員の会」で九七年に講演していて、そこでこん なこ とを言っています。
「文書、書類はありませんでした。ただ、資料がないんだからなかったんだ、と 決め られるかどうか」
堤 
要するに戦時の「空気」から「推測」しただけだ。河野の罪、万死に値する よ。
冗談じゃない。その河野洋平が政界の長者番付では、毎年のようにトップになる のも おかしな話じゃないか。
洋平の父、河野一郎は朝日新聞の校閲係だった。しかし校閲もせずに政治部に出 入 りし、あげく政治家となった人物。そんな男が平塚に豪邸を構えたけど、あくど い方 法で金儲けしないと建てられないよ。いかに政治がおいしい商売なのかというこ とだ。
後に、右翼の野村秀介に放火されて全焼しちゃって建て直した。
久保 
河野一郎も洋平も嫌われ者だよ。三木に聞いた話だけど、大磯に招かれ、 応接 間から庭の方を見やるとちょうど散歩帰りの吉田がステッキをくるくる回し、笑 いな がら歩いてくるのが見えた。「随分ご機嫌ですね」と言ったら「三木君は知らん のか!
今、河野の家が燃えているんだよ!」(笑)。
堤 
佐藤栄作も河野一郎の葬儀の帰り、車の中で女房の寛子に「これで日本から 悪い 奴が一人いなくなった」と呟いたそうだ(笑)。師匠の吉田茂から、よほど河野 のあ くどさを聞いていたんだろうね。
久保 
まぁ良くも悪くもオヤジの一郎は面白い男ではあった。しかし、息子の洋 平は ケチでかなわんよ。
堤 
そう、吝嗇なんだよ。小沢一郎と同じだ。
久保 
言うと思った(笑)。
堤 
だってね、陸山会を作り、都内十一カ所に不動産を持って、それを賃貸して 、十 億円とやらの資産を貯め込んだ。師匠の田中角栄も越山会を作って金をかき集め たけ ど、子分にバラ撒いたよ。小沢はバラ撒かない。貯め込むだけ。あれじゃ人がつ いて くるわけはない。あれは角栄に学んだというより、ゼニ丸こと金丸信に学んだん じゃ ないの。なァんだ、チンケな不動産屋が政治をやっていたんだ、といった感じだ な。

アメリカの東京裁判史観

編集部 
話を慰安婦に戻しますが、加藤駐米大使は「何度も謝っている」と発言 して いますが、あれもおかしいですよね。「謝る」というのは事実、強制があったか らだ と思われる。でも軍が売春婦を強制連行したなんて事実はないわけじゃないです か。
久保 
六者協議での北朝鮮への対応にしても、大使というのは一貫してだらしな いね。
堤 
事勿れ主義でその場を対処すれば、あとは退職金を貰って天下り。外務官僚 に限 らず不作為主義が官僚の通弊だからね。
久保 
北朝鮮の半分ヤクザみたいな大使に臆しちゃっている。あれじゃ外交にな らな いよ。外交官なんて堤さんみたいにケンカの強い奴がならなきゃ駄目だ(笑)。
ともあれ、米下院決議にしろ、マイク・ホンダにしろ、元慰安婦たちの訴えにし ろ、 背後にはもっと巨大な意思というか、策謀みたいなものが担保しているから出て 来た んです。
アメリカの裾野にあるのは、慰安婦の問題も、同時並行的に出て来た南京大虐殺 と 言われる事件の問題と絡んでいて、これらは一連のものです。
実は同じような仕掛けや策謀は東京裁判では日常茶飯事のように見られたもので す。
キーナンはニュールンベルグ裁判と同じ論法で日本を断罪するため強引に日本に 「人 道に反する罪」を押し付けようとした。そこでもともとありもしない南京大虐殺 をデッ チあげてくる。二十万しかいなかった南京で三十万人殺された、なんて土台無理 な数 字を出して裁こうとした。
それに対しインドのパル判事は「興奮した、あるいは偏見の目を持ったものによ っ て目撃され、曲説とか誇張とかを感ずることなくして読むことは困難。しかも日 本政 府・軍による計画、共同謀議を立証するための直接関係ある証拠は一つも提出さ れて いなかった」と言っています。
さすがのキーナンも「人道に対する罪」で裁くことは断念せざるを得なかった。 し かし「個々の日本人司令官および軍人の単独行動の結果ではなく、日本軍および 日本 政府の一般政策であったという結論に到達できる」と、強引にこうした認識に立 った 判決を下したのです。
今回も同じような話ですよ。情緒的に切り付けて、観念的に人道で裁こうとして い る。何故か。ニュールンベルグ裁判や東京裁判史観なるものが戦後のアメリカの 世界 支配を維持してきたからです。それを根拠に北朝鮮もイラクも批判してきた。「 今こ そ人道の立場に立って裁いてやる」なんて言っている。
折りしも三月十日は東京大空襲の記念日です。渡部昇一さんは、これはアメリカ 軍 によるホロコーストだと言ってました。広島・長崎の原爆投下なんて、ナチスの ジェ ノサイドに匹敵する暴虐極まるものです。
奴らはこの全てにおいて、いまだに謝罪一つしないくせに、韓国になりかわって 慰 安婦問題で、日本の謝罪を求める決議をしようとしている。こうなると、もう怒 りを 通り越してアホかいなと笑ってしまう以外ないね。

アングロサクソンの体質

堤 
何で今、アメリカからマイク・ホンダのような人間が出て来たのか。アメリ カに は何か企むところがあるんでしょう。僕はアメリカが軸足を日本から離していく 気配 を感じるね。
アメリカで書店周りをすると、つくづく感じるのは日本への関心の薄さです。ロ シ ア、ヨーロッパ、そしてチャイナに関する本は幅広い本棚の上から下までぎっし りあ る。日本関連の本はというと、一段だけ。下手すると三十冊くらいしかない。中 国関 連の五十分の一だ。いずれアメリカは中国に軸足を移していく。それを書棚が告 げて いるんだよ。
アメリカのベクトルは常に西へ西へ、だ。西部、太平洋、日本、そして中国へ。 か つての大統領ジョン・タイラーは清の皇帝に向けて国書を発した。
「わがアメリカは西に沈む太陽を追って、いずれ日本、そして黄海に達するであ ろう」 西への志向はアメリカのDNAだ。すでに日本はパッシング(無視)されつつあ る。
それの表れが南京であり、慰安婦問題だと思う。日本から巻き上げるものを巻き 上げ て終わり。お次は中国だと、日本を買い叩いた連中も言ってますよ。
久保 
にもかかわらず、小泉は「何があってもアメリカは日本を守ってくれる」 と言っ ていた。「北朝鮮が日本を火の海にするなんてアメリカが許しません」なんて、 かつ て日本を火の海にした国に期待することじゃないよ。
日露戦争直後、アメリカの対日感情はとてもよかった。ところがある日、突如と し て「黄禍論」が唱えられ大々的な排日キャンペーンがマスコミで展開され、カリ フォ ルニアでは日本人移民排斥が州議会で採択された。そしてそのまま対日戦争にま で続 いていく。「歴史はいかに早くひっくり返るか」とダグラス・スミス(『日本人 論の 深層』はる書房)は、この事件を克明に記述しています。
今の状況はこの頃と似ている気がする。急速に反日感情が大きくなってきていま せ んか。
堤 
サイクルになっているのかもしれないね。もともとアングロサクソンという 人種 はそういうところがある。たとえば日露戦争は、イギリスやアメリカが中国に進 出し たい時にロシアが出て来た。そこで日本と喧嘩をさせ、自分は日本を応援、後に 仲裁 役を演じておいしいところを持っていこうとした。これが上手くいかないから、 対日 戦争を想定したオレンジ計画を策定して、排日を煽った。
とにかくアングロサクソンのやることはエゲツない。日本はそういう人種の体質 を よくよく考えないと駄目だな。

安倍答弁の見事さ

編集部 
慰安婦問題について、三月五日の衆院予算委員会で民主党の小川敏夫は 「き ちんと謝罪しないと、日本が戦争に対する反省をしていないと受け取られる」と 主張 した。これに対し、安倍総理ははっきりとした答弁をしました。
「仮にアメリカ下院で決議案が通ったとしても、その決議案は客観的事実に基づ いて いない。決議があっても謝罪することはない」
堤 
見事な答弁じゃないか。さらに、 「戦後六十年の日本の歩みは高く評価されてきた。小川委員は日本の歩みを貶め よう としている。小川委員はこの決議案が正しいと思っているのか」 と切り返す場面もあった。小泉だったらこんな答えが言えましたか? だから俺 は 前から安倍はブレない、大丈夫だと言っているんだよ(笑)。河野談話だって引 き継 ぐと言ったけど、河野が談話を出した?事実?を引き継ぐということだ。引き継ぐ が、 内容の判断は歴史家がすることだと続けている。
安倍には呪縛された歴史認識を覆し、さらには憲法改正への筋道をつけて欲しい ね。
久保 
だったら最初からぐらつかなきゃよかったんだよ(笑)。
堤 
ぐらついてないんだってば。それは久保ちゃんの読みが足りないんだよ(笑 )。
安倍の言ってる事をよく吟味すれば、決してブレていない。
久保 
田中角栄政権時代のオイルショックの後、社会は混沌としていてどう動く かわ からない。年始の企画で「今年の政局」という欄を書くことになったので、三木 武夫 に来年はどうなりますか、と聞いたことがある。すると三木は「正直わしにもど うな るかわからん」と言うんだ。しかし、その後の三木のセリフがいい。
「しかしな、久保くん。どうなるかはわからないけど、わしがどうすべきかはわ かっ ている」 安倍はいまこの瞬間において、自分が何をすべきかわかっているかどうかが重要 な んですよ。
堤 
わかっていると思いますよ。「小泉さんは即効性のある劇薬、私は漢方薬で いき たい。気がつけば効いている風にしたい」。なかなかうまいこと言うじゃないか 。

放縦王を殺せ

久保 
前回、カーニバルと放縦王について言いました。放縦王とは「特に選ばれ て、 どんな振る舞いでも許される存在」ですが、付け加えると「一定の時間を過ぎた ら殺 されなければならない存在」でもあるのです。これは『乞食と王子』の物語でも 同じ ですが、放縦王が殺されることにより、「新しい時間」が甦る。
堤 
フレーザーの『金枝篇』にもその話は出てくる。イタリアの古い村リミニで 、古 代おこなわれた王を殺す儀式です。王を殺すことによって村人たちにカタルシス (浄 化作用)が生まれ、村落共同体が再生する。われわれ日本人だって、たとえば田 中角 栄がしょっぴかれた時、大騒ぎしている中でどこかカタルシスを感じていたはず だ。
王は殺されるべき存在なのに、前王である小泉は生き残り、なおかつしゃしゃり 出 てきて「俺が首相の時は暴風雨だった。官邸と党が一体となり、どんどん台風を 吹き 荒れさせたらいい。鈍感力でいけ」なんて言い出している。五年もやって、まだ 生乾 きの仏なんだ。久保ちゃんの言う通り、これは日本という共同体にとって不健全 だ。 早く成仏しろといいたいね。
久保 
これは山口昌男の説ですが、東條英機が処刑されることで戦前・戦中の全 ての 忌まわしい時間を?持っていってくれた?から、「戦後」という「新しい時間」が 甦る ことができた。「前の時間を殺す」という行為ほど重要なものはありませんよ。
堤 
しかしね、「新しい時間」を始めることができるのは、安倍しかいませんよ 。彼 は毎朝の閣議の前に何と言うか知っていますか?
「今朝のちょうにち新聞によれば……」
と、朝日新聞を「ちょうにち」呼ばわりして批判する。これぞ日本罪悪史観の払 拭 だ(笑)。こういう男が総理大臣をやっている、それだけでも万々歳だな。